生理の血の色が変わる理由|月経の状態から体質を見分けよう#2

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2024.03.14

東洋医学

生理の血の色が変わる理由|月経の状態から体質を見分けよう#2

女性の体のバロメーターのひとつである月経。中医学の視点より「月経の状態から体質を見分ける」ことをテーマに、漢方薬剤師で国際中医専門員の住吉忍さんが解説します。前回は「理想的な月経」の目安を紹介しました。今回は「経血の色」からわかる体質の見分け方をお届けします。

 

同じ体質でも血流の悪い原因は人それぞれある

本題に入る前に、体質のとらえ方についてお話をしたいと思います。たとえば、ご自身の体質を「血流が悪い」と感じているとします。ただし「血流が悪い」と一概に言っても、その原因はさまざまです。

 

そもそも血が足りないのか、血がドロドロしているのか、または血の状態に問題はないけれど、血圧が低くて血をめぐらせるパワーがないのかなど。人それぞれ血流の悪さの原因に違いがあります。そのあたりを前提とした体質の見分け方ということで、お話を進めていきます。

 

経血の色で見分ける体の状態

経血の色の違い

 

 

経血の色に関しては、医学的なエビデンスに基づいたお話ではなく、中医学的な経験則としてとらえていただきたいと思います。「経血の色が悪いから、病気になるもしくは不妊になる」ということではなく、中医学の分類で用いられる体質を見分けるために、経験的に参考とされてきた考え方となります。

 

普段、月経をよく観察することはないかもしれませんが、ご自身のナプキンに付いている経血の色を見てください。時間が経つと、血は黒っぽい色にはなるのですが、ご自身の経血の色が、黒っぽいのか、淡い色なのかなどを確認します。画像の色が正確な色を反映しているとは言えないのですが、参考にしてください。

 

まず、画像左の黒っぽい色の場合は、体が冷えていて血流が悪いことが考えられます。一方で、画像右の薄い色の場合は血が足りない状態で、中医学でいうところの「血虚(けっきょ)」になります。また赤みが強い場合は、熱がこもっている人が多いです。中医学では「血熱(けつねつ)」と言い、月経痛も重くなることがあるのですが、それぞれの体質別の特徴は、後ほど解説します。

 

薄すぎもせず、どちらかというと暗めの赤、画像でいうと、真ん中あたりの色が健康的な月経の色になります。

経血の色と粘度が変わる理由

経血の色や粘度は、月経周期や体調によって変化します。主な理由は以下の通りです。

要因

説明

酸化

経血は空気に触れると酸化し、色が濃く(茶色や黒っぽく)なります。月経の始まりや終わりかけに見られる茶色っぽい血は、排出されるまでに時間がかかった古い血液であることが多いです。

血液の量

経血量が多いときは鮮やかな赤色、少ないときはピンク色や茶色っぽくなる傾向があります。

ホルモンバランス

ホルモンバランスの変動も、経血の色や量、粘度に影響を与えることがあります。

子宮内膜の状態

剥がれ落ちる子宮内膜の厚さや状態によっても変わります。

粘液との混合

経血は、子宮頸管からの粘液や腟分泌物と混ざり合って排出されます。これにより、色や粘稠度が変化することがあります。

経血が黒っぽい、茶色のとき

月経の始まりや終わりによく見られます。これは、血液が子宮内にとどまる時間が長く、空気に触れて酸化したためです。少量で、期間の最初や最後に見られる場合は通常心配ありません。 しかし、月経期間を通して黒っぽい血が続く場合や、塊が多い場合は、血行不良や冷えが関係している可能性も考えられます。中医学では「寒凝血瘀」や「気滞血瘀(きたいけつお)」の状態を示唆することがあります。

経血が真っ赤、または赤黒い

説明・中医学的解釈

鮮やかな赤色(真っ赤)

新鮮な血液がスムーズに排出されているサインです。月経期間の中盤、経血量が多いときによく見られます。

暗めの赤色(赤黒い)

鮮やかな赤色より少し時間が経過した血液ですが、これも正常な範囲内です。

非常に濃い赤黒い色

中医学では、体内に余分な熱がこもっている「血熱」の状態を示すことがあります。イライラしやすい、のぼせやすいなどの症状を伴うこともあります。

経血がピンク色

経血量が少ないときや、経血と子宮頸管粘液が混ざったときに見られます。月経の始まりや終わりかけ、または排卵期出血で見られることもあります。 色が薄く、量も少ない状態が続く場合は、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が少ない可能性や、中医学でいう「血虚(けっきょ)」(血液が不足している状態)のサインかもしれません。貧血気味、疲れやすい、めまいなどの症状を伴うことがあります。

経血がオレンジ色

経血が子宮頸管粘液と混ざると、オレンジ色に見えることがあります。 ただし、かゆみや強い臭いを伴う場合は注意が必要です。細菌性腟症やトリコモナス腟炎などの感染症の可能性も考えられるため、婦人科の受診をおすすめします。

経血が灰色

灰色がかった経血は、感染症のサインである可能性が高いです。特に、魚のような生臭い臭い、かゆみ、発熱、下腹部痛などを伴う場合は、細菌性腟症などが疑われます。早急に婦人科を受診してください。

経血が水っぽい

経血が非常に薄く、水のようにサラサラしている場合、経血量が少ないサインです。ピンク色の経血と同様に、「血虚」の状態やホルモンバランスの影響が考えられます。

経血が塊になる

月経血にレバーのような塊(凝血塊)が混じることは、特に経血量が多い日に起こりやすい現象です。これは、子宮内膜が剥がれ落ちる際に出血が多く、血液をサラサラにする抗凝固作用が追いつかずに血液が固まってしまうためです。

  • 小さい塊: 時々見られる小さな塊は、通常心配ありません。

  • 大きい塊: 親指大以上の大きな塊が頻繁に出る場合や、経血量が異常に多い(過多月経)場合は、子宮筋腫や子宮内膜症、ホルモンバランスの乱れなどが隠れている可能性もあります。

  • 中医学的な視点: 中医学では、血行が悪く滞っている「瘀血(おけつ)」の状態と考えます。冷え(寒凝血瘀)やストレス(気滞血瘀)、体内の熱(血熱)などが原因となることがあります。月経痛が強い場合も多いです。

気になる症状がある場合は、自己判断せず婦人科で相談することが大切です。

 

次回は、血塊や血量からの状態から体質を見分ける方法について解説します。

>>血塊や血量から知る「月経からのメッセージ」

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