妊活における『当帰芍薬散』の効果と適した体質って?
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妊活お役立ち情報
妊活中に、体質を改善するために漢方を活用したいと考える人もいるでしょう。しかし、自分の体質に合っていないと、逆効果になることもあるようです。
そこで「妊活に良い」と聞く「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」について、薬剤師で国際中医専門員の住吉忍さんが解説します。どんな体質タイプの人に向き、どのような効果が期待される漢方なのでしょうか?
妊活における漢方の重要性と体質の見極め方

漢方は、一人ひとりの「体質」に合わせて処方されます。体質は人それぞれ異なるため、同じ薬でも効果の出方が異なります。また、体質に合わなければ、効果は期待できません。
つまり、一般的に「妊活に良い漢方」と言われているからといって、必ずしもご自身の体質に合った漢方だとは限らないのです。 中医学では、「気」「血」「水」という身体を作る基本的な要素と、身体を活動させる臓腑「五臓六腑」の状態から体質を判断します。
例えば、エネルギーの気が滞っている「気滞(きたい)」、血が不足している「血虚(けっきょ)」、水分が巡らず滞っている「水滞(すいたい)」などです。体質を正しく見極め、自分に合った漢方を選ぶことが重要です。
妊活中に使える漢方『当帰芍薬散』とは?その特徴と効果

当帰芍薬散は、血虚や水滞の改善に役立つ漢方薬です。血虚は血が乏しく、不足している状態で、しばしば貧血と混同されますが、中医学では血液だけでなく栄養も含みます。
水滞は水の巡りが悪く、水分代謝が低下している状態を指します。 当帰芍薬散は妊活だけでなく、妊娠中も服用でき、安胎作用があるとされています。ただし、必要がない場合は無理に飲む必要はありません。
含まれる生薬の大まかな働きですが「当帰」は、血を増やして血流を促進する作用があります。
「芍薬」は血に関連する痛みや月経痛を和らげる効果が期待されます。他にも、「茯苓(ぶくりょう)」「白朮(びゃくじゅつ)」「沢瀉(たくしゃ)」が水分代謝を改善し、「川芎(せんきゅう)」が血流を良くしてくれます。
当帰芍薬散が妊活に効果的な体質タイプ:血虚と水滞の特徴

当帰芍薬散が適している体質は、「血虚」と「水滞」タイプです。具体的にそれぞれの体質の特徴を見ていきましょう。
血虚の特徴
- ● 顔色が悪い
- ● 爪が割れやすい
- ● 疲れやすい
- ● 経血が少ない
- ● 貧血と言われたことがある
- ● 月経期に不調を感じやすい
水滞の特徴
- ● 雨の日に不調を感じる
- ● むくみやすい
- ● 尿の回数が少ない
- ● 頭痛や頭重感がある
- ● めまいがある
ただし、これらの特徴をすべて持っているからといって必ずしも該当するとは限りません。他の体質である可能性もありますので、専門家に相談して確認することが大切です。
妊活中に当帰芍薬散が合わない場合のリスクとは?

体質が血虚や水滞ではない場合、当帰芍薬散は逆効果になることがあります。
例えば、体内に熱がこもっている「血熱」タイプや、身体の潤いが不足している「陰虚」タイプの方が当帰芍薬散を服用すると、のぼせや乾燥感、胃もたれなどの不調が現れることがあります。
妊活中に当帰芍薬散を使用する際は、体質に合っているかどうかを確認することが重要です。
当帰芍薬散を服用するタイミング
市販されている当帰芍薬散の多くは、1日に2回または3回、食事の前(食事の約30分前)または食事と食事の間(食後2時間以上経ってから次の食事までの間)に水または白湯で服用することが推奨されています。
一方で、妊活に関連して当帰芍薬散を用いる場合には、これらのタイミングに加えて、より具体的な時期に服用することが示唆されています。
例えば、「胚移植後」や「排卵後」といったタイミングで、体質によっては、着床を促したり、むくみを軽減したりする目的で処方されることがあります。
当帰芍薬散を服用する期間
市販薬として当帰芍薬散を服用する場合、効果を感じるまでの期間は、一般的には1ヶ月程度を目安とされています。
もし1ヶ月ほど服用しても症状の改善が見られない場合は、一度服用を中止し、医師、薬剤師、または登録販売者に相談することが推奨されています。
ただし、効果が現れるまでの期間は、個人の体質や症状によって異なります。
妊活において特定の目的で服用する場合の期間については、より短い例が挙げられています。
例えば、「排卵後から着床が期待される時期までの約2週間」といったケースや、状況によっては「次の月経が来るまで継続する」といった方法もあります。
ただし、これらはあくまで一例であり、すべての方に当てはまるわけではありません。
当帰芍薬散を服用する際の注意点
当帰芍薬散を含む漢方薬は、個々の体質や症状、治療の目的に合わせて選ばれるものです。
そのため、最適な服用タイミングや期間も人によって異なります。特に胃腸が弱い方など、服用に注意が必要な場合もあります。
また、当帰芍薬散が不妊治療における万能薬というわけではなく、他の漢方薬との組み合わせが必要になるケースも考えられます。
ご自身の体質や症状に合った適切な服用方法や期間について、また、現在医師の治療を受けている方が服用を検討する際には、必ず医師、薬剤師、登録販売者、あるいは漢方の専門家にご相談いただくことが重要です。
妊活をサポートする漢方の選び方:専門家に相談する重要性
漢方を選ぶ際には、自己判断ではなく、専門家に相談することが推奨されます。専門家のなかにも、それぞれ専門分野があります。
例えば、不妊治療、更年期障害、消化器系、メンタル面などそれぞれです。妊活であれば、その分野を専門としている方のほうが、西洋の医学の知識もあり、適切なアドバイスまたは治療を受けることができます。
多くの方の場合、西洋医学の治療を受けながら漢方を併用するケースになると思うので、そういった内容をしっかり理解している医師にみてもらうのが理想です。
SNS上では、不確かな情報が多く、当帰芍薬散についても適切ではない発信を見かけることがあります。「これが妊活に良い」と書いてあっても、「良い人もいるけれど、すべての人に適しているのではない」と冷静にとらえていただけたらと思います。情報に振り回されないように、専門家の相談なども活用し、正しい知識を持って妊活を進めていきましょう。
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本日お話をおうかがいした方
ウィメンズ漢方
薬剤師/国際中医専門員
住吉 忍
相談薬局で生まれ育ち、薬剤師となる。自身も不妊治療を経験し、妊活、女性のヘルスケアを専門に対応するため、ウィメンズ漢方(https://ninkatsu-ayumi.com/facility/1330/)創業。複数の不妊治療専門クリニックの漢方外来を担当し、西洋医学の不妊治療に適した漢方処方の提案を得意としています。

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