【流産について①】妊娠初期にリスクが高い流産。流産に種類がある?原因は?
ARTICLE
妊活お役立ち情報
2025.01.15
不妊治療
【流産について①】妊娠初期にリスクが高い流産。流産に種類がある?原因は?

目次
妊娠初期にリスクが高いとされる流産。突然の出血や腹痛があった場合、どのように対応していけば良いのでしょうか。流産の原因や種類について、不妊症看護認定看護師の小松原千暁さんが解説します。
はじめに。流産に関する正しい知識をつけましょう。
流産に関する正しい知識として届くことを願って、お伝えします。もしかしたら、ご覧になっている方で、流産の経験がある方がいるかもしれません。つらくなるようでしたら、読むのをやめてください。
流産を知る前に①妊娠を判定するホルモンhCGとは?
はじめに、妊娠の判定について説明したいと思います。hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)とは、胚が子宮に着床したら、赤ちゃんの袋(胎嚢)の胎盤の絨毛組織から分泌されるホルモンです。着床後、毎日1.5~2倍に増えていきます。
自宅で妊娠判定をする場合、市販の尿検査キットで月経予定日の1週間後からできます。hCGの値が、25~50mIU/ml以上で陽性反応になります。医療施設へ行き、診断してもらいましょう。
ART(生殖補助医療)の場合は、医療施設によって妊娠判定日は異なります。例えば、排卵日を0日、妊娠2週0日(妊娠暦)として、3日~5日に初期胚や胚盤胞を移植したら、7日(3週5日)~9日(4週0日)に判定するのが一般的です。血液のhCG検査にて値が25mIU/ml以上あれば、陽性と判断し、経過を予測します。
流産を知る前に②hCG値と胎嚢や胎児心拍が見える確率
学会で発表された論文の数字となりますが、妊娠4週0日でのhCG値と子宮内に赤ちゃんの袋が見える確率を紹介します。hCG値が100以上あった場合は約98%、20~39の場合は約38%の確率で、赤ちゃんの袋を見ることができます。同様に、胎児心拍が見える確率はhCG値が100以上で約89%、20~39で約28%です。
さまざまな論文と合わせると、胚移植7日目(3週5日)でhCG値が50、胚移植9日目(4週0日)でhCG値が100あれば、ほぼ胎嚢や胎児心拍は確認できます。一方、胚移植7日目でhCG値が10~20、胚移植9日目でhCG値が20~40と値が低めの場合は、胎嚢の確認は3割、胎児心拍の確認は2割ほどの確率です。成長がゆっくりの場合があるので、経過をしっかりみていきましょうということになります。
流産を知る前に③妊娠後の胎児の順調な成長について
4週0日は、hCG値での判断で超音波検査をしても子宮内にはまだ何も見えません。5週0日になると、胎嚢が見え始めます。6週0日には胎嚢がだんだん大きくなってリングのような卵黄嚢にダイヤのような胎芽が見えて、心拍が確認できます。8週0日になると、一般の妊婦検診先へ転院します。
流産とは。流産の割合と、流産の時期はいつ頃が多い?
流産とは、妊娠したにもかかわらず、妊娠の早い時期に赤ちゃんが亡くなってしまうことです。妊娠12週未満の早期流産、妊娠12週以降から22週未満の後期流産があります。
日本産科婦人科学会によると、妊娠後の流産の割合は15%です。そして妊娠した女性で流産の経験がある方は40%と多いです。流産の時期は12週未満が80%で、そのほとんどが10週未満と早い時期になっています。
流産の原因で多い胎児の染色体異常とは?
流産の原因は、胎児の染色体異常が約70%と最も多く、母体因子が約20%、原因不明が約10%となっています。この胎児の染色体異常のうち、約90%が偶発的発生の染色体数的異常で、約10%が親から引き継ぐ染色体の構造異常です。
胎児の染色体異常について少し詳しく説明します。正常の染色体は卵子が46XXで23Xと23Xに、精子が46XYで23Xと23Yに分離します。この23X同士が結合することで46XXになります。
染色体の数的異常とは、この23Xが、1本少ない22Xや1本多い24Xに分離を起こすことです。年齢が高い卵子に見られます。1本ではなく、2本多かったり少なかったりするケースもあります。着床して、胎嚢が見えるところまではありますが、心拍が確認できません。
染色体の構造的異常とは、染色体の一部が入れ替わってしまうことです。見た目は46XXなのですが、中身が少なかったり、多かったりします。こちらも着床はできますが、成長できません。
母体因子の流産の原因
流産の原因の約20%を占める母体因子については、次のようなことが考えられます。
・抗リン脂質抗体症候群
・血液凝固異常
・同種免疫異常
・子宮奇形
・卵管水腫
・内分泌異常
・子宮内フローラの異常
流産の種類にはどんなものがある?
流産には、生化学的流産、稽留流産、進行流産があります。それぞれの特徴を説明します。
生化学的流産とは
妊娠反応が陽性後、超音波検査で胎嚢が子宮内に確認できる前に流産。治療は必要がなく経過を観察します。
稽留流産とは
胎児は死亡しているが、まだ出血・腹痛などの症状がない場合。子宮内容除去手術、または自然排出をみる、ということもありますが、割合としては少ないです。
進行流産とは
不全流産と完全流産の2つがあります。不全流産とは、子宮内容物の排出が始まってはいるものの、一部がまだ子宮内に残存している状態。出血や腹痛が続いていることがあり、早めに除去手術をすることが多いです。完全流産は、子宮内容物がすべて自然に出てしまった状態。出血や腹痛は治まっているので、経過観察で対応することが多いです。
反復流産と習慣流産
流産が2回繰り返してあった場合を反復流産と呼び、不育症検査の検討を推奨されます。3回以上繰り返した場合、習慣流産と呼び不育症検査を推奨します。
妊娠初期の出血について
妊娠初期は、子宮内の血液が豊富で出血しやすい状態です。今までなかった赤ちゃんの袋が成長する違和感で収縮がしやすい状態といえます。もし出血してしまったら、色や量、持続経過を観察してください。
色を確認する
茶色の場合は子宮が収縮して出血し、膣へ移行し、溜まっていたものが出てきた古い血液、ピンク色の場合は、子宮内から出血が起こり、膣に溜まらず出てきた粘膜と混ざり薄まった血液、赤色の場合は子宮内から出血が起こり、膣に溜まらず出てきた血液である可能性があります。
量を確認する
少ない場合は、子宮の収縮は今ではないことが多いです。月経のように多い場合は子宮収縮が数時間前から起こっている、トイレでぽたぽたと血が落ちる場合は、今、子宮収縮が起こっていると言えるでしょう。
腹痛があるときは経過観察を!
腹痛がある場合は、その痛みの強さと持続経過を観察してください。しくしく痛いのか、ずきずき痛いのか、または下痢の収縮するような痛みがあるのかどうかなど。
腹痛を感じたら、起こったときよりも安静にすることが大切です。
例えば動いていたら座って安静に、座っているなら、横になって安静にしましょう。安静に休んでみて、どうだったのか。自分の体の状態を観察していきます。
出血が少量で、痛みも治まった場合は、次回受診時に医師に伝える対応で良いでしょう。しかし出血量が多かったり、安静にしても治まらなかったりした場合は、カルテのある医療施設に電話相談します。
出血や腹痛があること、イコール流産ではありません。
落ち着いて診察券の番号、氏名、妊娠週数、いつから、腹痛の状態を伝え、どう対応したら良いかを相談しましょう。
この記事の動画はこちらから
本日お話をおうかがいした方
不妊症看護認定看護師/生殖医療コーディネーター
小松原 千暁
不妊治療の専門クリニックに勤務して20年、妊活をしている方の母的存在になれるように日々頑張っています。 不妊治療は時間もお金もかけて頑張って通院するのですから、一緒に勉強して自分達の歩く道を自分達で決めてみませんか?
テーマ:
会員限定記事
会員限定の記事です。
ログインしてからご覧ください。会員登録は無料です。
RANKING⼈気記事
KEYWORDタグ一覧人気のタグ
CATEGORY