杉山産婦人科の培養室に潜入!胚培養士の仕事&最新設備とは?
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妊活お役立ち情報
東尾理子が不妊治療でとっても高い実績を誇る「杉山産婦人科」に訪問。培養室の取り組みについて、実際にどんな設備があって、どのように胚培養士の方が働いていらっしゃるのか杉山先生にお話をお伺いし、培養室を見学してきました。
謎に包まれている胚培養士とは?
東尾:杉山先生、本日はどうぞよろしくお願いいたします。
杉山先生:よろしくお願いします。
東尾:培養士さんって治療しているとなかなか顔を見れないというか、お会いしないので、謎に包まれてるんですよ。先生に比べて培養士って人数って多い少ないとかあるんですか?
杉山先生:培養士って言ってもあのどこまで免許持ってるかとか。
東尾:そう。
杉山先生:あと結構、事務的なことが非常に多くて。例えば、卵のダブルチェックに免許はいらないわけですし。卵を触る人精子を触る人とか、総勢で 40名ぐらいが担当しています。
東尾:実際に今先生がおっしゃった、免許というか、培養士に国家資格がないことは知ってるんです。ということは、各クリニックで資格制度などがあるんですか?
杉山先生: 確かに免許がないので。 例えば東尾さんがやりたいって言ったらできるんですよ。
東尾: そうでしょ? 私が顕微授精をやりたい!って言ったら、法的には違法じゃないんですよね。
杉山先生:そうなんです。一応法律では医師の監視下に、っていうのも、ちろんあるんですけど。
東尾: はい。
杉山先生: 長年当院がオープンしてから27 年ぐらい経つのですが、その時からいた者(胚培養士)もいますし、 途中から入ってくる方や新卒がいるのですが、やはり初めは、いくら前にいた病院の技術が良くても、病院によってやり方が違ったりするので、研修期間っていうのをきちんと設けて、合格して、っていう(プロセス)がありますね。
東尾: 研修期間ってどれぐらいなんですか?
杉山先生:新卒だとやっぱり3年5年ぐらい。
東尾:おお~!
杉山先生:ほかの病院で十分な戦力だと言われてる人だと、3カ月から半年ぐらい。やっぱ慣れていかなければけないので。
例えばこの卵をどうやって扱うとか、顕微授精する時に精子を仮に調整したら、何分待機してから行うとか。あと卵子を凍結して溶かす時にどれくらいスピーディにやるとか、ダブルチェックは 2人でいいのか、3 人がいいのかとか、全然クリニックによって違うんです。
東尾:胚培養士さんに成績ってあるんですか?
杉山先生:あります。やっぱり受精率ですね。何%受精するか。特に顕微授精。 これは絶対に差があると思います。
それからその受精卵が胚盤胞まで到達する、受精した後ですね、パーセント。よく到達率と言います。 これは培養室の差もあると思いますが…。でも実は医師が良い卵子を取ってこないといけないので。
医師のせいでもあるんですけど、でも、採った瞬間に卵子の良し悪しって、わからないんですよ。 まだ受精していない卵子は、成熟しているか、成熟していないかだけなんですよ。
東尾:はい。
杉山先生:成熟してるから良い卵子とは限らないじゃないですか。 これはもう医師の技術だと思うんですけど、これが測れないんですよ。そうすると培養士の誰がやったら受精率が高いとかにかかってくる。
東尾:聞くんですよ、噂で。 どの胚培養士さんだと、すごい受精率が高い、っていうお話とか。
杉山先生: 当院だと、そんなに差がほぼないです。そこまで行かないと(実力が伴わないと)顕微受精に携われないから。
受精卵の融解も胚培養士の腕が問われる!
東尾:ちょっと話が戻るかもしれないですけど、最初は精子の分別などから始めてって、顕微授精が1番難易度が高くなるのですか?
杉山先生:顕微授精と卵子を溶かす、ということです。
東尾:卵子を溶かす??
杉山先生:受精卵って一回凍結保存されて 融解して移植するじゃないですか。その「溶かす」っていう技術とか。凍らせるっていう技術もすごくテクニカルなちょっとしたことです。
東尾:もうちょっと(詳しく)聞かせてもらっていいですか?
杉山先生:例えば、すぐにこの培養液につけて何秒経ったら、こっちに移す、といった作業も秒単位、秒単位なんですよ。 お料理の現場でも何分とかあるじゃないですか。でもそれが、究極にこだる方の場合、料理 1分とか2分とかですよね。 それを卵子だと「秒」でやるわけです。
施設・設備で培養成績は変わる?
東尾:施設とか機械で変わってきたりするものですか?
杉山先生:例えば昔で言うと「培養器」ですね。培養する機械って 冷蔵庫とか、ワインセラーみたいに開けると、100人分とか入ってるんですね。
東尾:はい。
杉山先生:でも開ける度に温度も変わるし、出したり、閉まったりして、1日100回200 回の開閉をするんですよ。そうすると、温度の管理をしていても、ぐちゃぐちゃなんですよね。
東尾:そうですよね。冷蔵庫を開けて。閉めて、ですと。
杉山先生:最近はもう開けないで、個別培養といって、 1 人のお部屋を作って、そこに入れっぱなし。そこに小型カメラが付いていて、ずっと監視できていて「個室」です。
東尾:ああ~!!個室培養なんですね!
杉山先生: はい。もう今それが主流になっています。だからこの10年間で拡段に培養成績が変わりました。
杉山先生が患者様に配慮していることは?
東尾:先生が患者さんに配慮してることはありますか?
杉山先生: 不妊治療って、もちろん結果が良ければいいのですが、経過も大事。で、諦めちゃう人とか、マイナスなことになっちゃう人もいらっしゃるから、僕は「仕事との両立」と「ご夫婦関係」は、すごく個人的に気にしてます。
(仕事を)休んで上手くいくなら、絶対休んでいただきたいのですが、僕たちが「明日休めますか?」って言うと本当は休めないのに、医者には「大丈夫です」っておっしゃる方が、多分いっぱいいると思うんですよ。
東尾: 言っちゃう!で、家に帰って「明日どうしよう、 どうしよう」ってなる。そこから考えます。
杉山先生:普通にこちらもそれを信じちゃうんです。(患者さんが)「明日来れる」って言うから。「あ、来れる?本当に来れますか?本当は休みにくいんじゃないですか?」って僕は性格的に聞いちゃいます。
東尾:優しい。
杉山先生:それでどっちがいいか。「じゃあ明後日でもいいけど。こういうリスクがある」とか「明日来るとこういうメリットがある」っていう。 そうすると大体、明後日でも大丈夫だったりするケースが多いんですけどね。
東尾:うん。なるほど。
杉山先生:こちらは1% のミスも怖いので、患者さんに「先生が明後日って言ってから来たのに、排卵終わってた!」って、怒られちゃうので。
東尾:それはもう怒ります。先生のせいにします。
杉山先生:そうなっちゃうので、やっぱり「早め早めに、いっぱい来てくれ」って言う医者は多いんですよ。
東尾:なるほど。そうですね、その先生の気持ちもわかりますね。
杉山先生:そのような、ちょっとしたことに気を使っています。
東尾:杉山先生は何といっても、メールで、もう3 秒で先生から返信が来るのですが、未だにですか?
杉山先生:1日100件。平均で50、 多い時100件ぐらい。
東尾:どこに返信する時間があるんですか?
杉山先生:常に携帯を見てます。
東尾:本当に杉山先生の、病院に質問することができることが、すっごい(患者にとっては)安心感なんですよね。
杉山先生:それって、こちらも安心です。 患者さんが何を感じていて「こんなこと聞いていなかった」って、後で、お互い不穏な空気になるぐらいなら、メールで済めば。
東尾: もう、それが本当に、杉山先生、いつも優しいな、と思って。
杉山先生:それが仕事なんです。 もう移動中でもできますし。
東尾:いつもありがとうございます。 最後になるんですけども、今から私、培養室を後で見に行かせていただくんですけど、ここは見といて、ここをよくチェックして、っていうポイントはありますか?
杉山先生:それはやっぱり最新の機器が揃ってる、ということですね。
東尾:最新の!?すごい。
杉山先生:「今ある最高のもの」です。
東尾:楽しみに見学行ってきます。 ありがとうございました。
東尾理子が、培養室を見学している動画は↓からご覧ください。杉山産婦人科の培養室をしっかり観察&ご説明をしていただいていますので、気になる方はチェックを!
▶目次
00:00 オープニング
00:44 謎に包まれている培養士とは?
04:07 受精卵の融解も培養士の腕が問われる!
04:48 施設・設備で培養成績は変わる?
05:35 患者様に配慮していることは?
07:56 培養室に潜入
17:12 杉山先生よりメッセージ
この記事の動画はこちらから
本日お話をおうかがいした方
杉山産婦人科
理事長
杉山力一先生
1994年、東京医大を卒業。当時より生殖医療に従事し1999年北九州セントマザーに国内留学し、体外受精の基礎を学ぶ。実家の分娩施設、杉山産婦人科に併設し、2001年に不妊治療専門の杉山レディスクリニック開院、2007年に分娩、生殖医療、内視鏡手術を行う総合施設、杉山産婦人科世田谷を開院。2011年杉山産婦人科丸の内開院。2018年杉山産婦人科新宿開院。
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