不妊治療の薬の飲み忘れ|クロミッド・注射など種類別の対処法まとめ
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妊活お役立ち情報
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不妊治療を進めるうえで、お薬は大切なパートナーです。「ちゃんと飲まなきゃ」と分かっていても、忙しい毎日の中で「あっ、飲み忘れちゃった!」とヒヤッとすることは、誰にでも起こり得ます。飲み忘れに気づいた瞬間、「治療に影響があったらどうしよう…」と大きな不安に駆られてしまいますよね。この記事では、そんなあなたの不安を少しでも和らげるために、
・不妊治療で使われる薬の種類と一般的な服用期間
・薬を飲み忘れた時の正しい対処法
・飲み忘れを防ぐための簡単な工夫
について、分かりやすく解説していきます。
不妊治療で使われる薬と一般的な服用期間の目安

不妊治療で処方されるお薬には、様々な種類があり、それぞれが妊娠に向けて大切な役割を担っています。まずは、代表的なお薬と、どのくらいの期間服用することが多いのかを知っておきましょう。
※ここで紹介する期間はあくまで一般的な目安です。実際の服用期間は、治療計画や体の状態によって一人ひとり異なりますので、必ず医師の指示に従ってください。
- 排卵誘発剤(クロミッド、フェマーラ:内服薬/hMG製剤、FSH製剤:注射薬)
卵胞(卵子のもと)を育てて排卵を促すお薬です。
内服薬の服用期間の目安:月経3日目または5日目から5日間程度
注射薬の目安:卵胞の発育状況に応じて、連日または隔日で数日〜10日間程度注射します。 - 排卵を抑える薬(点鼻薬:スプレキュア、注射薬:セトロタイドなど)
主に体外受精で、ベストなタイミングで採卵するために、意図しない排卵を抑えるお薬です。
服用期間の目安: 治療法(ロング法、アンタゴニスト法など)によって大きく異なりますが、数日間~数週間にわたり使用します。GnRHアゴニスト(スプレキュアなど)とGnRHアンタゴニスト(セトロタイドなど)は、使用時期も効果も異なります。 - 着床を助ける薬(デュファストン、ルトラール、ルティナス膣錠など)
黄体ホルモンを補充し、受精卵が着床しやすいように子宮内膜をふかふかの状態に保つお薬です。
服用期間の目安: 高温期(排卵後)から妊娠判定日まで、10日間~2週間程度服用を続けることが多いです。妊娠が成立した場合は、さらに妊娠12週ごろまで継続して服用することもあります。 - 月経周期を整える薬(プラノバールなど)
ホルモンバランスを整え、治療計画をスムーズに進めるために使われます。
服用期間の目安: 移植周期の準備などで、10日~21日間程度服用します。
これらのお薬は、あなたの体の状態や治療計画に合わせて処方されています。だからこそ、決められた期間、決められた通りに服用することがとても大切なのです。
【重要】薬を飲み忘れた!そのとき、どうすればいい?

万が一、薬を飲み忘れてしまった場合、一番大切なのは「慌てず、自己判断しないこと」です。そして、「まずはクリニックに電話で連絡する」のが最も安全で確実な対処法です。
そのうえで、一般的な対処法の基本を知っておくと、いざという時に落ち着いて行動できます。
まずは落ち着いて!基本的な対処法

飲み薬(経口薬)の場合
1. 気づいた時点ですぐに飲む:飲み忘れに気づいたら、その時点ですぐに忘れた分を1回分だけ服用してください。
2. 次の服用時間が近い場合:次の服用時間まで4〜5時間しかないなど、時間が迫っている場合は、忘れた分は飛ばしましょう。そして、次の服用時間に通常通り1回分だけを服用してください。
3. 絶対に2回分を一度に飲まない:焦って2回分をまとめて飲むと、ホルモンバランスが急激に変化し、吐き気などの副作用が強く出ることがあります。絶対にやめましょう。
注射薬・点鼻薬・膣坐薬の場合
これらの薬は、飲み薬以上に時間の正確性が求められることが多いです。特に、採卵の時間を決める注射(hCG注射など)は、時間がずれると治療計画に大きな影響が出ます。
自己判断で時間をずらしたりせず、何時ごろに忘れたかを正確に伝え、必ずクリニックの指示を仰いでください。
【薬の種類別】飲み忘れた時の具体的なQ&A

Q. クロミッドやフェマーラを飲み忘れました
A. 気づいた時点ですぐに1錠飲んでください。次の服用時間が近い場合は、忘れた分は飛ばして大丈夫です。5日間飲むべきところを4日しか飲めなかった場合でも、自己判断で翌日に2錠飲むなどはせず、まずはクリニックに相談しましょう。
Q. デュファストンやルトラールを飲み忘れました
A. これらのお薬は、血液中のホルモン濃度を一定に保つことが大切です。基本的な対処法は他の飲み薬と同じですが、1日以上忘れてしまうと不正出血が起こることもあります。気づいたらすぐにクリニックへ連絡してください。
Q. 体外受精の点鼻薬(スプレキュアなど)を忘れました
A. 排卵を抑えるための重要なお薬です。忘れた時間によっては、排卵が起こってしまうリスクがあります。すぐにクリニックへ電話し、いつ忘れたのかを正確に伝えましょう。
飲み忘れでどんな問題が起きるの?
飲み忘れは、治療の段階によって様々な影響を及ぼす可能性があります。
・卵胞がうまく育たない
・計画通りに排卵しない
・子宮内膜が厚くならず、着床しにくくなる
・不正出血が起こる
・採卵がキャンセルになる
もちろん、1回忘れただけで必ずこうなるわけではありません。しかし、リスクを避けるためにも、飲み忘れに気づいたらすぐにクリニックへ連絡することが、あなたと未来の赤ちゃんのために最も大切な行動です。
もう忘れない!飲み忘れを防ぐための3つの工夫

「次こそは忘れないようにしたい…」そんなあなたのために、今日からできる簡単な工夫をご紹介します。
1. 飲む時間を決めてアラームをセットする
「朝食後」「寝る前」など、毎日の生活習慣とセットにし、スマートフォンのアラームやリマインダー機能を活用しましょう。
2. お薬ケース(ピルケース)を活用する
1週間分を曜日ごとに分けておけば、飲んだかどうかが一目でわかります。「あれ、今日飲んだっけ?」という不安も解消できます。
3. 家族やパートナーに協力してもらう
「夜のお薬、飲んだ?」など、一声かけてもらうようにお願いするのも良い方法です。一人で抱え込まず、ぜひ周りを頼ってみてください。
飲み忘れても自分を責めないで。まずはクリニックへ一本の電話を
不妊治療中は、ただでさえ心も体もデリケートな時期です。薬の飲み忘れで、自分を責めてしまうかもしれません。でも、一番大切なのは、その後の対処です。
「薬を飲み忘れたら、まずはクリニックに電話する」
これを覚えておくだけで、いざという時に落ち着いて行動できます。あなたの不安な気持ちに寄り添い、専門家として的確なアドバイスをくれるのが、かかりつけのクリニックです。
本日お話をおうかがいした方
ウィメンズ漢方 薬剤師/国際中医専門員
【記事監修】住吉 忍
相談薬局で生まれ育ち、薬剤師となる。自身も不妊治療を経験し、妊活、女性のヘルスケアを専門に対応するため、ウィメンズ漢方(https://ninkatsu-ayumi.com/facility/1330/)創業。複数の不妊治療専門クリニックの漢方外来を担当し、西洋医学の不妊治療に適した漢方処方の提案を得意としています。

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