卵子提供のドナーになるための条件とは?日本と海外の違いを徹底解説
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妊活お役立ち情報
2025.12.24
卵子提供のドナーになるための条件とは?日本と海外の違いを徹底解説
目次
卵子提供における「ドナー」とは、ご自身の卵子を、子どもを持つことを望む第三者(レシピエント=卵子を受け取る側)のために、善意で提供する女性のことを指します。
この医療は、ドナーとなってくださる女性の善意と協力がなければ成り立ちません。そのため、卵子を受け取る側(レシピエシント)の安全と、生まれてくる子の福祉を守るため、ドナーになれる方には国内外で様々な条件が定められています。
「卵子提供とは?」でも触れた通り、日本国内での実施はドナーの条件が非常に厳しいため、多くの方が海外での治療を選択しています。
この記事では、「なぜ国内ではドナーを見つけるのが難しいのか」の理由でもある、日本と海外(台湾・アメリカ)のドナー条件の具体的な違いを、公的機関や学会の指針に基づき、詳しく解説します。
極めて厳格!日本国内における卵子提供ドナーの条件

現在、日本には卵子提供を直接定める法律はありません。そのため、日本産科婦人科学会(日産婦)の会告や、関連団体(JISART、OD-NET)の自主的なガイドラインに基づいて運用されています。これらの指針は、ドナーと生まれてくる子の双方を守るため、非常に厳格な内容となっています。
主な条件
年齢:
採卵時の年齢が20歳以上、35歳未満であることが望ましいとされています※1。
出産経験:
出産を経験していることを必須条件としています※2。これは、出産経験のない女性が採卵(卵巣刺激や採卵手術)を行うことによる身体的・精神的負担や、将来の妊娠・出産への潜在的な影響を考慮してのことです。
提供相手(最重要):
原則として、レシピエント(卵子を受け取る側)の姉妹、または友人に限定されています※2。見ず知らずの第三者(匿名ドナー)からの提供は、日本では原則として認められていません。
無償性の原則:
提供はあくまでも善意に基づくものであり、卵子の売買は固く禁止されています※1。ただし、ドナーの健康を守るために必要な検査費用や、通院・入院費、採卵に伴い仕事を休む場合の補償(実費弁済)は認められています※2。
提供回数:
ドナーの身体的負担を考慮し、採卵回数には制限が設けられています。
各種スクリーニング:
ドナーの健康と、母子への感染を防ぐため、詳細な医学的検査(感染症、遺伝性疾患のスクリーニングなど)や、心理的なカウンセリングが必須とされます※1。
【ポイント】
日本のドナー条件が「厳しい」と言われる最大の理由は、「出産経験のある、姉妹か友人に限る」という点です。この条件を満し、かつ善意で協力してくれる方をご自身で見つけることは、現実的に非常に困難であるため、多くの方が海外での治療に目を向けることになります。
海外における卵子提供ドナーの条件(国による違い)

海外では、国ごとに法律やガイドラインが整備されています。ここでは、日本からの渡航先として多い台湾とアメリカのドナー条件を比較します。
1. 台湾のドナー条件(公的管理)
台湾は、国が「人工生殖法」という法律でドナー制度を厳格に管理しており、安全性と透明性が高いのが特徴です※3。
- ・年齢: 20歳以上、40歳未満の健康な女性※3。
- ・出産経験: 不要です。未産の方でもドナーになることが可能です。
- ・提供相手: 匿名ドナーが基本です。法律により、ドナーとレシピエントは互いの情報を知ることができません( 出自を知る権利は認められていません )。
- ・謝礼(栄養費): 卵子の売買は禁止されていますが、ドナーの身体的・時間的負担に対し、最大99,000台湾ドル(約45万円)の「栄養費」を支払うことが法律で認められています※3。
- ・提供回数: 一人のドナーが生涯に提供できるのは原則1回のみ(レシピエントが妊娠しなかった場合、または妊娠したが流産した場合は再度提供可)と定められています。これは、近親婚のリスクを避けるためです※3。
- ・各種スクリーニング: 法律に基づき、非常に厳格な健康診断、感染症検査、遺伝性疾患(染色体異常など)のスクリーニング、心理評価が義務付けられています※3。
2. アメリカのドナー条件(民間主導・ASRMガイドライン)
アメリカは、州ごとに法律が異なりますが、全体としてはFDA(アメリカ食品医薬品局)がドナーの感染症スクリーニングを規制し、ASRM(米国生殖医療学会)が専門家集団としてのガイドラインを示しています※4 ※5。
- ・年齢: ASRMのガイドラインでは、21歳以上、34歳未満の健康な女性が理想的であると推奨されています※5。
- ・出産経験: 必須ではありません。台湾と同様、未産の方でもドナーになれます。
- ・提供相手: 匿名ドナー、非匿名(身元開示)ドナーのどちらも選択可能です。 これはアメリカの大きな特徴で、将来子どもがドナーの情報を知ることができる「オープン・ドナー」を選ぶこともできます。
- ・謝礼(報酬): ドナーの負担(時間、労力、リスク)に対して、金銭的な「報酬(Compensation)」が支払われることが一般的です。ASRMは、5,000ドルから10,000ドルの範囲が妥当であるとしていますが、学歴や人種などの条件によっては、これを超える高額な報酬が支払われるケースもあります※5。
- ・提供回数: ASRMは、一人のドナーからの提供回数を生涯で最大6回までとすることを推奨しています。これも近親婚のリスクを避けるための指針です※5。
- ・各種スクリーニング: FDAの規制に基づき、全ドナーは厳格な感染症検査を受ける必要があります※4。また、ASRMのガイドラインに基づき、詳細な遺伝カウンセリング、心理的評価が強く推奨されます※5。
【比較】ひと目でわかる日本・台湾・アメリカのドナー条件の違い

1. ドナーの要件(誰が提供できるか)
- ・日本(学会指針): 姉妹・友人のみ
- ・台湾(人工生殖法): 匿名の第三者
- ・アメリカ(ASRM指針): 匿名の第三者 / 非匿名(身元開示)も可
2. 年齢
- ・日本(学会指針): 20~34歳
- ・台湾(人工生殖法): 20~39歳
- ・アメリカ(ASRM指針): 21~34歳(推奨)
3. 出産経験
- ・日本(学会指針): 必須 ※2
- ・台湾(人工生殖法): 不要
- ・アメリカ(ASRM指針): 不要
4. 提供回数
- ・日本(学会指針): 制限あり
- ・台湾(人工生殖法): 原則1回(近親婚防止)※3
- ・アメリカ(ASRM指針): 6回まで(推奨)※5
5. 金銭の授受
- ・日本(学会指針): 実費弁済のみ(無償)※2
- ・台湾(人工生殖法): 栄養費(最大9.9万TWD)※3
- ・アメリカ(ASRM指針): 報酬($5,000~$10,000推奨)※5
6. 出自を知る権利
- ・日本(学会指針): 認める方向(ガイドライン)
- ・台湾(人工生殖法): 認めない(法律)
- ・アメリカ(ASRM指針): 選択可能(ドナーによる)
卵子提供の条件と、海外を選ぶ理由

卵子提供の制度やドナーの条件は、国によって大きく異なります。この違いが、海外での卵子提供を検討する理由のひとつになっています。
- ・日本: 国内では、法的な制度が整っておらず、原則として「出産経験のある姉妹や友人」など、個人的な関係のある方に限られます。 そのため、ドナーを見つけるハードルが非常に高く、提供を受けられる機会が限られています。
- ・台湾: 国の法律に基づいた匿名のドナー制度が確立しています。 ドナーは厳しい健康・年齢基準を満たす必要があり、費用(栄養費)にも上限が定められているため、安心して利用できる環境が整っています。 また、台湾ではすでに凍結保存された卵子(凍結卵子バンク)を利用できるケースも増えており、採卵を待たずに治療を開始できる点が特徴です。
- ・アメリカ: ドナーの選択肢が最も豊富で、国籍・人種・学歴・性格など、多様な条件から選ぶことができます。 「非匿名(オープンドナー)」を選択できる制度もあり、将来的に子どもがドナーと連絡を取れるケースもあります。
一方で、ドナー報酬が高額なため、費用は他国に比べて高くなる傾向があります。 また、ドナーの卵子を凍結保存して提供するプログラム(凍結卵子バンク)も一般的で、日程の柔軟性が高いのが特徴です。
このように、卵子提供ドナーの条件は、国によって大きく異なります。
- ・日本: 「出産経験のある姉妹・友人」に限られるため、ドナーを見つけるハードルが極めて高い。
- ・台湾: 国の法律で管理された匿名のドナー制度があり、費用(栄養費)も上限が定められている。
- ・アメリカ: ドナーの選択肢が最も豊富で、「非匿名(オープン・ドナー)」も選べるが、ドナー報酬が高額になる傾向がある。
日本国内ではドナー条件が厳しく、提供者を確保することが非常に難しいため、ドナー制度が整備された台湾やアメリカを現実的な選択肢として検討する方が多いのが実情です。
出典
- ※1: 日本産科婦人科学会 「ヒト胚および卵子の凍結保存と移植に関する見解」(平成15年)および関連する会告・ガイドライン
(補足: 日産婦は、ドナーの年齢やスクリーニングの必要性について基本的な指針を示しています。) - ※2: 一般社団法人 JISART(日本生殖補助医療標準化機関) 「卵子提供についてのQ&A」および「非配偶者間体外受精(卵子提供)に関するJISARTガイドライン」
(補足: JISARTは日産婦の会告に加え、出産経験や親族・友人に限定するなどの、より具体的な運用ガイドラインを定めています。) - ※3: 台湾 衛生福利部 國民健康署 「人工生殖法」(中華民国96年3月21日公布、107年1月3日修正)
(補足: 台湾の法律。第8条でドナーの年齢(20-40歳)、第13条で栄養費(9.9万TWD)、第19条で提供回数、第21条でドナーの健康評価について規定しています。) - ※4: U.S. Food and Drug Administration (FDA) (アメリカ食品医薬品局) 「CFR Title 21, Part 1271: Human Tissues, and Cellular and Tissue-Based Products (HCT/Ps)」
(補足: FDAは卵子を「HCT/Ps(ヒト細胞・組織製品)」とみなし、ドナーの感染症スクリーニング(病歴聴取、身体検査、検査)を厳格に義務付けています。) - ※5: American Society for Reproductive Medicine (ASRM) (米国生殖医療学会) Committee Opinion "Repetitive oocyte donation" (2020) および "Financial compensation of oocyte donors" (2021)
(補足: ASRMは米国の生殖医療における最大の専門家団体であり、ドナーの推奨年齢(21-34歳)、提供回数(最大6回)、適切な報酬($5,000-$10,000)に関する倫理的・医学的ガイドラインを発表しています。)
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