妊娠と基礎体温の関係は?高温期の目安や上がり方、不妊治療中のグラフについて解説

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2025.12.29

カラダ

徹底解説│妊娠すると基礎体温はどう変わる?「ゆっくり上がる」「急に上がる」パターンの違い、高温期の目安は何度なの?

妊活を始めると、多くの方が毎朝の「基礎体温」を測り、そのグラフの変化に気持ちが左右されることもあるかもしれません。

「今月は体温の上がり方がゆっくりだけど、大丈夫かな?」「高温期に急に体温が上がったのは、妊娠のサイン?」「高温期って、一体何度くらいあれば安心なの?」「不妊治療をしている場合、体温の上がり方は違うの?」「妊娠したら、この高い体温はずっと続くの?」

基礎体温は、ご自身の体のリズムを知るための大切な手がかりですが、わからないことも多く不安になってしまいますよね。※[2]

この記事では、そんな妊娠と基礎体温に関する疑問について、体の仕組みから分かりやすく解説していきます。

【疑問①】なぜ妊娠すると体温が上がるの?

基礎体温が「低温期」と「高温期」の二相に分かれるのは、女性ホルモンの働きによるものです。※[4]

1. 排卵とプロゲステロン(黄体ホルモン)

生理が始まると、排卵(卵胞が育つ時期)までは、基礎体温は「低温期」となります。そして排卵が起こると、卵胞があった場所は「黄体(おうたい)」という組織に変化し、「プロゲステロン(黄体ホルモン)」というホルモンを分泌し始めます。※[1, 5]

2. 体温を上げる働き

このプロゲステロンには、体温を上げる作用があります。※[1, 3, 5] そのため、排卵後は基礎体温が上昇し、「高温期」に入ります。これは、受精卵が着床しやすいように子宮内膜をふかふかに保ち、妊娠の準備を整えるための大切な期間です。

3. 妊娠した場合としなかった場合

  • 妊娠しなかった場合: 排卵から約2週間後、プロゲステロンの分泌は減少し、体温は下がります。そして、準備されていた子宮内膜が剥がれ落ち、生理が始まります。※[5]

  • 妊娠した場合: 受精卵が着床すると、妊娠を維持するためにプロゲステロンが分泌され続けます。その結果、基礎体温は下がらずに「高温期」が持続します。※[1]

一般的に、この高温期が17日以上続く場合は、妊娠の可能性が考えられます。(※[1]では16日以上と記載)

【疑問②】体温の上がり方「ゆっくり上がる」「急に上がる」のはなぜ?


排卵後、高温期へ移行する際の体温の上がり方には個人差があります。

「昨日まで低温期だったのに、今日から急に体温が上がった!」という方もいれば、「3〜4日かけて、階段を上がるようにゆっくりと体温が上がっていく」という方もいらっしゃいます。

これは、排卵後にプロゲステロンの分泌が本格化するまでのスピードや、体温がそれに反応するスピードに個人差があるためと考えられています。※[1, 4](※これら文献のメカニズムからの解釈)

「急に上がらないと妊娠しないのでは?」と心配されるかもしれませんが、上がり方のスピードと妊娠のしやすさに直接の関係はありません。

大切なのは、上がり方のスピードよりも、最終的に「低温期」と「高温期」の二相にはっきりと分かれていることです。

【疑問③】高温期は「何度」が目安?


「高温期は36.7℃以上ないとダメ」と聞いたことがあるかもしれませんが、これも誤解されやすいポイントです。

大切なのは「何度か」よりも「低温期との差」

体温は人によって個人差が非常に大きいです。もともとの平熱が低い方であれば、高温期でも36.7℃に届かないことは珍しくありません

最も重要なのは、ご自身の「低温期」と比べて「高温期」の体温がしっかりと上昇しているかどうかです。

一般的に、低温期と高温期の体温差が0.3℃以上あれば、プロゲステロンがきちんと分泌され、排卵が起こっている一つの目安となるといわれています。※[1]

ただし、起床後すぐでなかったり、就寝中の汗のかき方などでも基礎体温は変動しますので、高温期なのに、低温期並みの体温になってしまうことも少なくありません。

1週期だけの変化で体の状態を判断することなく、数周期の大まかな状態を把握するための参考程度に捉えてください。

【疑問④】不妊治療(体外受精)だと、体温の上がり方は違うの?


不妊治療の有無、特に体外受精(胚移植)の場合、基礎体温の上がり方やグラフの解釈は、自然妊娠を目指す場合と大きく異なる点があります。

1. 自然妊娠(またはタイミング法・人工授精)の場合

体温の上昇は、ご自身の「排卵」によってできた黄体から分泌されるプロゲステロンによって起こります。※[1, 5] そのため、体温の上がり方はご自身のホルモン分泌のパターンを反映します。

2. 体外受精(特にホルモン補充周期の胚移植)の場合

この治療法では、お薬(点鼻薬や内服薬)で排卵を意図的に抑制していることが多く、その場合ご自身の黄体が存在しません。

体温を上げるために必要なプロゲステロンは、「膣剤」や「注射」、「内服薬」などの薬剤として補充します。※[7]

そのため、自然な体温上昇とはメカニズムが根本的に異なります。

薬剤(特に膣剤)は、子宮に直接作用し血中濃度は上がりますが、基礎体温には反映されにくく、「薬を使っているのに体温が(低温期と比べて)上がらない」ということも珍しくありません。

結論:

体外受精の治療中(特にホルモン補充周期)は、使用する薬剤の影響が非常に大きいため、基礎体温のグラフや「上がり方」は妊娠経過を正確に反映しません。※[7](※治療メカニズムからの解釈)

この場合の妊娠経過やホルモン状態は、基礎体温ではなく、血液検査(ホルモン値)や超音波検査で医師が確認・判断します

【疑問⑤】妊娠すると、上がった体温は下がらないの?


「妊娠したら、ずっと高温期が続くの?」と疑問に思われる方も多いでしょう。

結論から言うと、高温期は妊娠期間中ずっと続くわけではありません。

妊娠が成立すると、プロゲステロンの働きで高温期が続きますが、これは主に妊娠初期(〜12週未満)の間のことです。※[6]

一般的に、妊娠12週から15週ごろになると、胎盤が完成に近づいてきます。胎盤がホルモンを作り出す役割を安定して担うようになると、基礎体温は徐々に下がっていき、高温期は終わりを迎えます。

(注意点)妊娠確認後の基礎体温について

高温期が続いていることで妊娠の可能性に気づくことができますが、病院で妊娠が確認された後は、基礎体温を測り続ける必要は必ずしもありません。

なぜなら、妊娠初期は体調も不安定であり、体温が測定誤差や体調によって一時的に下がることがあります。そのわずかな変化を見て「体温が下がった、赤ちゃんは大丈夫だろうか」と過度に心配してしまう可能性があるからです。

妊娠の経過については、基礎体温のグラフではなく、医師の診察によって確認していくのが最も確実です。※[6](※妊娠初期の管理に関する一般的な見解として)

妊娠すると基礎体温はどう変わるのか│まとめ

  • 1.妊娠すると、妊娠維持ホルモン「プロゲステロン」が分泌され続けるため、基礎体温の「高温期」が持続します。※[1, 5]

  • 2.高温期への体温の上がり方(「ゆっくり」でも「急」でも)は個人差であり、妊娠のしやすさとは直結しません。

  • 3.高温期の体温は「何度」という絶対的な数字よりも、「低温期と0.3℃以上の差」があるかどうかが目安になります。※[1]

  • 4.体外受精(特にホルモン補充周期)では、薬剤でホルモンをコントロールするため、基礎体温は妊娠経過を反映しにくくなります。※[7]

  • 5.妊娠によって続いた高温期は、胎盤が完成に近づく妊娠12〜15週ごろには徐々に落ち着いていきます。※[6]

  • 6.基礎体温はあくまでご自身の体を知るための一つの目安です。※[2] グラフの小さな変化に一喜一憂しすぎず、ゆったりとした気持ちで過ごしてくださいね。

参照文献

本日お話をおうかがいした方

ウィメンズ漢方 薬剤師/国際中医専門員

住吉 忍

相談薬局で生まれ育ち、薬剤師となる。自身も不妊治療を経験し、妊活、女性のヘルスケアを専門に対応するため、ウィメンズ漢方(https://ninkatsu-ayumi.com/facility/1330/)創業。複数の不妊治療専門クリニックの漢方外来を担当し、西洋医学の不妊治療に適した漢方処方の提案を得意としています。

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