「母子手帳」はいつもらう?流産の不安と、出生前診断で「遺伝カウンセリング」が絶対に必要な理由
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妊活お役立ち情報
目次
産院の予約が無事に済み、少しだけホッとしたのも束の間。 不妊治療を経て妊娠された方の中には、喜びと同じくらい、あるいはそれ以上に「不安」を感じている方が少なくありません。
「母子手帳をもらって、もしダメだったらどうしよう」
「高齢出産だから、出生前診断を受けるべきか悩む」
ネット上には「簡単にわかるNIPT」といった広告が溢れていますが、命に関わる検査を安易に受けることにはリスクも伴います。 今回は、妊娠初期に必ず直面する「母子手帳のタイミング」と、後悔しないための「出生前診断(超音波・NIPT)の向き合い方」について解説します。
1. 母子手帳は「いつ」もらいに行くのが正解?

「妊娠届出書」を役所に提出すれば母子手帳は交付されますが、実は「いつもらいに行くか」に明確な決まりはありません。しかし、多くの産婦人科医は「心拍確認後」や「分娩予定日が確定してから(妊娠8〜10週頃)」の取得を推奨しています。
なぜ「すぐ」ではないの?
これには、医学的・心理的な2つの理由があります。
- 医学的理由: 妊娠検査薬で陽性でも、子宮外妊娠や初期流産の可能性があるため、医師が「正常な妊娠の継続」を確認してから、申請を勧めるのが一般的です。
- 心理的理由: 不妊治療経験者に多いのが「母子手帳をもらった後に流産してしまったら、手元に残る手帳を見るのが辛い」という不安です。この気持ちに配慮し、より確実性が高まる9週〜10週頃(「9週の壁」を超える頃)に「そろそろ行ってきてね」と声をかける医師が多いのです。
リミットはあるの?
無理に急ぐ必要はありませんが、実務的な期限はあります。 それは「初回の妊婦健診(10〜12週頃)」までです。 この時期から助成券(妊婦健康診査受診票)が使えるようになり、高額な健診費用の負担が軽減されます。
医師から「次は妊婦健診ですね」と言われたら、その日までに交付を受けましょう。
2. 「9週の壁」と流産の不安

不妊治療を卒業しても、「検診のたびに心臓が動いているか怖くて震える」という方は非常に多いです。 いわゆる「9週の壁」とは、胎児の心拍や大きさが安定し、流産率がガクッと下がる一つの目安の時期を指します。
日本産科婦人科学会のデータなどによると、妊娠全体の流産率は約15%ですが、その多くは妊娠初期(12週未満)に起こります。しかし、心拍が確認された後の流産率は数%まで低下するという報告もあります。
不安になるのは、それだけお腹の赤ちゃんを大切に思っている証拠です。「今日、お腹にいてくれること」だけを見つめ、少しずつ親になる準備を進めていきましょう。
3. 妊娠初期の検査:染色体異常疾患と向き合う

妊娠初期、特に35歳以上の方が直面するのが、赤ちゃんの染色体疾患(ダウン症候群など)の可能性を調べる「出生前診断」です。 検査には大きく分けて2種類あり、それぞれの特徴を正しく理解する必要があります。
① 妊娠初期超音波検査(初期胎児ドック)
● 時期: 妊娠11週〜13週頃
● 内容: 精密な超音波検査(エコー)で、赤ちゃんの首の後ろのむくみ(NT)の厚さや、鼻骨の有無、心臓や大血管の血流の状態などを確認します。
● 特徴: 採血を行わず、エコーのみで全身の形態異常もチェックできるのがメリットです。認定資格を持つ専門医による検査が推奨されます。
② NIPT(新型出生前診断)
● 時期: 妊娠10週〜
● 内容: お母さんの血液から、赤ちゃんのDNA断片によって、21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーの可能性を調べる
● 特徴: 感度(発見率)が非常に高いのが特徴ですが、あくまで「非確定検査」です。
予約はいつ頃すればいい?
出生前診断は、受けられる週数が限られている検査です。そのため、「妊娠が分かってから考える」のではなく、早めに情報収集と予約の目安を知っておくことが大切です。また、検査を受ける前には、パートナーとの話し合いや、遺伝カウンセリングを受けることをお勧めします。
● 妊娠初期超音波検査(初期胎児ドック)
検査時期が妊娠11〜13週と限られているため、
→ 妊娠が分かり、心拍確認後(6〜8週頃)には予約を検討するのが一般的です。
特に専門医による検査は枠が限られていることもあり、早めの予約が安心です。
● NIPT(新型出生前診断)
妊娠10週以降から受検可能ですが、
→ 9週前後には情報収集・予約を始めると、希望の時期に検査を受けやすくなります。
事前に遺伝カウンセリングを受けてからの検査を強くお勧めします。
「まだ迷っている」「受けるか決めきれない」という段階でも、
まずは話を聞く・相談の予約を入れることが、選択肢を狭めないための一つの方法です。
4. 【最重要】NIPTは「どこで」受けるかが9割

ここで強くお伝えしたいのが、NIPTを受ける施設の選び方です。 近年、「美容外科や皮膚科などで、採血だけで簡単に検査できる」と謳う「認可外(非認証)施設」が増えていますが、安易に利用することにはリスクがあります。
NIPTを受ける際は、必ず日本医学会が認定する「認証基幹施設」や「連携施設」を選び、「認定遺伝カウンセラー」や専門医のカウンセリングを受けることを強く推奨します。
理由は以下の3点です。
① NIPTは「確定診断」ではない
NIPTは精度の高い検査ですが、結果は「陽性/陰性」といった確率で示されます。年齢によっては、検査で「陽性」が出ても、実際には赤ちゃんに異常がない「偽陽性」の可能性も十分に含まれます。
専門知識がないまま「陽性」の文字だけを見ると、必要以上に混乱し、パニックに陥ってしまうリスクがあります。
② 「陽性」が出た時のサポート体制
認可外施設の中には、結果をメールで通知するだけで、その後のフォローがない施設もあります。
一方、認可施設では、陽性だった場合にどうするか、確定診断(羊水検査)に進む際のリスクや手続き、そして何より「ご夫婦がどうしたいか」という意思決定を、遺伝カウンセラーが対面で支えてくれます。
③ 適切な情報提供
「安心を買うため」に受けた検査で、逆に不安のどん底に突き落とされるケースが後を絶ちません。
「この検査で何がわかり、何がわからないのか」を事前に正しく理解するためにも、遺伝学のプロフェッショナルであるカウンセラーの存在は不可欠です。
5. 「もし陽性だったら?」受ける前にパートナーと話す

出生前診断は、受けることがゴールではありません。 最も大切なのは、「検査を受ける前に、パートナーと『もしも』の話をしておくこと」です。陰性であっても、妊娠出産育児はいつ何が起こるかわかりません。
新しい命についての向き合い方をパートナーとしっかり話し合うことは、今後の家族の未来にとって、とても大切なことです。
- ・もし陽性だったら、確定検査(羊水検査)を受ける?
- ・万が一、障害がある可能性があったら、産む?お別れする?
- ・二人の考えにズレはない?
答えが出ないことも多いですが、この話し合いを避けたまま検査を受けるのは大変危険です。 自分たちだけで抱えきれない時は、前述の遺伝カウンセリングを利用してください。専門家は決して答えを押し付けず、二人が納得できる結論を出せるよう整理してくれます。
まとめ:不安なことは専門家へ。命と向き合う準備期間

母子手帳をもらうタイミングも、出生前診断を受けるかどうかも、すべては「新しい命を迎えるための準備」です。
ネット上の情報だけに頼らず、不安な時は主治医や認定遺伝カウンセラーに相談してください。 正しい知識と専門家のサポートがあれば、漠然とした不安は「覚悟」や「準備」へと変わっていくはずです。
【主な参照・引用元】
- 公益社団法人 日本産科婦人科学会 「出生前検査認証制度等運営委員会」NIPTを実施する医療機関(基幹施設・連携施設)の一覧
- 厚生労働省 NIPT等の出生前検査に関する情報サイト
- 一般社団法人 日本遺伝カウンセリング学会 認定遺伝カウンセラー制度について
- FMF (Fetal Medicine Foundation) 妊娠初期超音波検査(NT計測等)の国際的な認定基準について
監修
助産師
吉田敦子
赤ちゃんをお迎えする身体は、妊娠を継続していくカラダであり、出産し、育児をしていくカラダです。安心して赤ちゃんをお迎えできる身体は、楽な妊娠生活や安産、楽しい育児の生活につながります。助産師や医師をはじめとする妊娠出産育児の専門家たちへ、母子のフィジカルケアを20年にわたり伝えてきました。私と一緒に、ご自身のからだの変化を楽しみながら妊活ボディーメイクをしていきましょう!助産師・看護師(NPO)母子フィジカルサポート研究会代表理事 / 認定講師トコカイロプラクティック学院 准講師 (整体師・RDM®プラクティショナー)
伝統医学応用研究所認定 フェミニンケアセラピスト母と子の整体院 Mommy&Baby 妊活ボディーメイクセラピスト助産師あつこのHP https://www.mommybaby-atsuko.com/

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