仕事と不妊治療の両立は難しい?絶対に押さえておくべき5つのポイント

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2026.04.28

不妊治療

仕事と不妊治療の両立は難しい?絶対に押さえておくべき5つのポイント

「子どもは欲しいけれど、今の仕事を辞めたくない」「頻繁な通院で、職場に職場に迷惑をかけてしまうかも…」と、仕事と不妊治療の両立に悩んでいませんか?

厚生労働省の調査によると、仕事と不妊治療の両立ができずに離職したり、雇用形態を変えたり、治療をやめてしまっている人は26.1%*にものぼるという厳しい現実があります。

しかし、会社や病院の制度を正しく知り、適切なアクションを起こすことで、働きながら不妊治療を続けることは可能です。この記事では、仕事と不妊治療を両立するために「明日から具体的に何をすべきか」、絶対に押さえておくべき5つのポイントをわかりやすく解説します!

なぜ「働きながら不妊治療」は両立が難しいのか?


そもそも、なぜ仕事と不妊治療の両立はこれほどまでに難しいのでしょうか。主な理由は以下の3つに分けられます。

スケジュールの壁(頻繁で突発的な通院)

不妊治療と仕事の両立で多くの方が直面するスケジュールの壁。
治療は月経周期や卵胞の発育状況に合わせて進むため、あらかじめ通院日を確定することが難しく、直前の受診や頻繁な通院が必要になるケースも少なくありません。


まずは、治療ステップごとの基本的な通院目安を見てみましょう。

【治療ステップ別:通院の目安】

治療のステップ 月経周期ごとの通院日数 1回あたりの診療時間
一般不妊治療(タイミング法・人工授精) 2日〜6日 1〜2時間程度
生殖補助医療(体外受精・顕微授精) 4日〜10日 +半日〜1日の通院が1〜2日 1〜3時間程度 ※手術を伴う場合は半日から1日必要(無麻酔採卵の場合もあるため)

※男性も、検査や人工授精・体外受精の当日に0日〜1日程度の通院が必要になります。
表の通り、ステップが進むにつれて通院日数は増えていき、スケジュールの調整もより難しくなっていきます。
それぞれの治療段階で、通院が「仕事にどのような影響を与えるのか」を具体的に見ていきましょう。


一般不妊治療(タイミング法・人工授精)の仕事への影響 :排卵日を予測しながら受診するため、「明日か明後日、診察に来てください」といった急な通院が発生しやすいのが特徴です。 1回の診察自体は1〜2時間程度ですが、予約をしていても待ち時間が長く、トータルで2〜3時間かかることも珍しくありません。 そのため、短時間でも仕事を中抜けする必要があり、スケジュール調整の難しさを感じやすい段階といえます。

生殖補助医療(体外受精・顕微授精)の仕事への影響 :体外受精では、特に「採卵周期」において通院の負担が大きくなります。排卵までの約2週間で、平均4〜6回程度の通院が必要とされます。
・排卵誘発と経過観察 複数の卵子を育てるために排卵誘発剤を使用し、卵胞の発育状況を確認します。 そのため、数日に一度、場合によっては連日の通院が必要となり、注射や採血、超音波検査を行います。
・採卵日当日(仕事調整の山場) 採卵日が確定するのはおおよそ2日前と直前です。 処置自体は15〜20分程度ですが、麻酔を伴うため術後の安静が必要となり、当日は仕事を休むケースがほとんどです。
・胚移植 採卵後、受精卵を凍結した場合は別の周期で胚移植を行います。 移植自体は短時間で終わることが多いものの、通院日の調整や精神的な負担が加わります。

メンタル・身体の壁(治療の副作用とストレス)

検査や投薬などにより、体に大きな負担がかかります。排卵誘発剤やホルモン剤の影響で、頭痛、日中の眠気、吐き気、倦怠感などの体調不良に悩まされる方も少なくありません。

また、ゴールの見えない治療の継続や、期待と落胆の繰り返しによる精神的な負担が、両立を難しくさせる最も多い理由として挙げられます。

職場の壁(周囲への気遣いと言いづらさ)

職場にもよりますが、30代以降からはとくに、重要なポジションを与えられたり、責任を求められることが多いのが一般的です。

その背景がなくとも 「急な遅刻や休みで同僚に迷惑をかけて申し訳ない」「プライベートなことなので上司に伝えづらい」といった心理的ハードルがあります。職場での不妊治療への理解不足や心無い言葉への恐れから、一人で抱え込んで限界を迎えてしまうケースも多いのです。

こうした壁を乗り越えるために、次の「5つのポイント」に沿って会社と病院へ具体的な対策を打っていきましょう。

仕事と不妊治療を両立する!絶対に押さえておくべき5つのポイント


不妊治療と仕事の両立を成立させるためには、いくつかのポイントを押さえておくと安心です。さっそく見ていきましょう。

ポイント1:会社の就業規則や両立支援制度をフル活用する

まずは、自分の勤めている会社に柔軟な働き方ができる制度がないか確認しましょう。

  • ・フレックスタイム制や時差出勤: 通院時間に合わせて出退勤時間をずらせるため、半休を取らずに済むことがあります。

  • ・テレワーク(リモートワーク): 通勤時間を削減でき、通院の前後でも働きやすくなります。

  • ・時間単位・半日単位の有給休暇: 1〜3時間程度の通院時に非常に役立ちます。

  • ・不妊治療休暇・積立休暇制度: 消化しきれなかった有給休暇を、不妊治療の際に特別休暇として使える制度を設けている企業もあります。

  • ・休職制度: 雇用関係を維持したまま一定期間の就業義務を免除する制度です。シフト固定職(医療・福祉・保育職等)の方は、時間単位・半日単位の有給休暇の利用が難しい場合があるため、この制度を利用するケースがあります。


社内の就業規則を確認するか、人事労務の担当者に「少しの時間だけ仕事を抜けられる制度がないか」を確認してみましょう。

ポイント2:言いづらい場合は「不妊治療連絡カード」を使う

会社や上司へ詳細を説明しづらい場合でも、厚生労働省が作成した「不妊治療連絡カード*2」を活用してみるのも一つの手です。

医師に治療内容や通院回数、配慮してほしい事項を書いてもらい、人事や上司に提出するツールです。

不妊治療連絡カードはこちらから取得できます

上司へ伝える際の具体的な工夫

  • ・「2日前ルール」を共有する: 体外受精に進む場合、「手術日(採卵日)は医療上の特性でおおよそ2日前に急に決まる」とあらかじめ伝えておきましょう。

    ・採卵日は「全休」前提で伝える: 採卵当日は麻酔の影響や痛みがあり、帰宅後も安静に過ごす必要があるため、半休で午後から出社するよりも「1日休み」を前提に業務調整をお願いする方が安全です。

ポイント3:働きながら通える「病院の選び方」を知る

幾度となる通院が必要となるため、通いやすさは非常に重要なポイントです。 ただし、通いやすさだけで選ぶのではなく、ご自身の求める治療方針と合っているかを前提に、その中で無理なく通えるクリニックを選ぶことが大切です。 有名だからという理由だけで、職場から通いにくい場所を選ぶと、かえって負担になることもあります。


・夜間や休日に受診できるか:
平日夜間(21時や22時まで)や、土日・祝日も診療しているクリニックを選ぶことで、仕事帰りや休みの日に通院しやすくなります。最近では、夜採卵を行っているクリニックもあるので、チェックしてみましょう。

・待ち時間対策ができるか:
予約していても2〜3時間待つことは珍しくありません。Wi-Fiがある待合室や、外出可能なシステムを導入しているクリニックで、待ち時間にリモートワークができる環境を確保するのも一つの手です。

ポイント4:医師へ仕事のスケジュールをしっかり相談する

病院が決まったら、自身の仕事の都合を医師にしっかり伝え、負担を減らす工夫がないか相談しましょう。


・自己注射を選ぶ:
体外受精の排卵誘発では連日通院して注射を打つ必要がありますが、自宅で打てる「自己注射」が可能な病院を選べば、通院回数を劇的に減らせます。

・仕事のピークを伝える: どうしても外せない仕事がある場合は事前に相談し、治療計画やスケジュールをある程度コントロールできないか確認しましょう。

ポイント5:ポイント5:保険適用や助成金など、経済的支援を活用する

不妊治療は経済的な負担も重くのしかかりますが、最近では支援制度が拡充されています。


・不妊治療の保険適用:
2022年4月から、人工授精や体外受精・顕微授精などの基本治療が公的医療保険の対象となりました。原則3割負担となり、体外受精は年齢や回数に制限がありますが大きな助けになります。

・国の交通費助成: 全国どこに住んでいても不妊治療を受けられる環境を目指すという目的で、[妊産婦等に対する遠方の分娩取扱施設等への交通費等支援事業]において2026年4月より、自宅から最寄りの不妊治療実施施設まで片道でおおむね60分以上かかる夫婦(事実婚を含む)を対象に、保険適用となる生殖補助医療や男性不妊治療の通院費が補助されます
[補助率は実費の8割で、1年度あたり最大10回(男性不妊治療は5回)まで利用可能]

・高額療養費制度: ひと月にかかった医療費が上限額を超えた場合、超過分の金額が支給される制度です。

・自治体の助成金: 保険適用外の「先進医療」を組み合わせて受けた場合、自治体によっては独自の助成金制度を設けています(例:東京都の先進医療助成・国の助成に先駆けて、京都府や兵庫県などで交通費助成を実施)。また、不育症や、一般不妊治療であっても、自治体によって助成がある場合もあるので、お住まいの自治体のホームページで「不妊治療×助成金」と検索し、自分が対象になる支援制度がないか確認しておきましょう。

一人で抱え込まず、会社と病院の制度をフル活用しよう


「仕事」か「不妊治療」かの二択を迫られる時代から、少しずつ「両立」をサポートする社会へと変わりつつあります。

両立を成功させるための第一歩は、一人で抱え込まないことです。まずは、「会社の就業規則を調べる」「夜間診療や待ち時間で仕事ができる病院を探す」「不妊治療連絡カードをダウンロードしてみる」といった、今日からできる小さなアクションを起こしてみてください。
会社や病院をうまく味方につけて、少しでも負担のない不妊治療を進めてみてください。

不妊治療と仕事 両立できていますか?--両立支援ガイドブック―(不妊治療をしている方・考えている方向け)

*2 不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック

記事監修

日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー・臨床検査技師

笛吹和代(うすいかずよ)さん

日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー 臨床検査技師 1979年生まれ。滋賀県在住。2011年に不妊治療と仕事の両立に悩み前職を退職。翌年男児を出産。自身の不妊治療退職をきっけかに一人で悩む人を少しでも減らしたいと2015年に個人事業主として活動を開始。不妊で悩むカップルや働く女性向けに健康や妊活・不妊に関する相談や学びの場を提供。妊活・不妊治療の進め方や、クリニック選びのポイント、不妊治療と仕事の両立についてなどの個別相談も行っている。また不妊治療が理由で退職しなくても良い社会を目指して、法人向けにセミナーなども行う。コラム執筆やセミナー登壇などを通して幅広く、妊活や不妊治療に関する情報を伝えるために活動している。
2021年2月 「あきらめない妊活」キャリアと不妊治療を両立させる方法を出版
https://amzn.asia/d/07CuD6RN

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