特別養子縁組当事者から支援者、そして親へ。みそぎさんが語る「ルーツ辿り」と「家族の形」

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2026.07.17

患者の声

【当事者インタビュー】特別養子縁組で育ったみそぎさんが語る「ルーツ辿り」と家族の形

特別養子縁組で家族に迎えられ、現在は特別養子縁組家庭支援団体「Origin」の代表を務めるみそぎさん。ご自身の「ルーツ辿り」における葛藤や、真実告知を受けた際の率直な思い、そしてご自身が親となって感じる「家族の形」についてお話を伺いました。

不妊治療を経て特別養子縁組を検討されている方や、ご自身のルーツについて悩む当事者の方へ向けた、実体験に基づく貴重なメッセージをお届けします。

愛されて育った幼少期から一転、突然の「真実告知」


- まずは、みそぎさんの生い立ちについてお伺いします。幼少期はどのようなお子さんでしたか?また、どのようなご家庭で育たれましたか。

幼少期は明るく、元気で、早生まれだったこともあり甘えん坊な愛されキャラでした。乳児院にいた記憶はなく、養親の実子であることを疑ったこともありませんでした。幼少期のうちは養親は過保護でかなりの愛情を注がれて育ちました。また、母方の祖父母が大好きでおじいちゃんっこ、おばあちゃんっこでした。


- ご自身が「特別養子縁組」でご家族に迎えられたという事実を知ったのは、いつ、どのようなきっかけだったのでしょうか。

高校二年生の冬で、受験勉強に追われており、何度やっても解けない数学の問題があった際に、私を指導していた養父が怒って「お前は俺のこどもじゃないから解けないんだ」と口を滑らせたのがきっかけで自分が養子だと知りました。


- その事実を知った時、率直にどのように感じられましたか。また、そのことでご両親との関係性や、ご自身のお気持ちに何か変化はありましたか。

縁組であることに妙に納得しました。養父は私に勉強を教え始めた小学5年生のころから日常的にイライラしており、怒っていない日はなく、私によく手をあげるようになりました。

勉強のミスくらいでなぜそこまで常にイライラするのか不思議に思っていたので、養父の中に「俺の子だったらこれくらいできるはずなのに」というモヤモヤがずっとあってそれを抑えていたのだと知って納得がいきました。


養親との関係は良くはありませんが、真実告知が直接的なきっかけではありません。縁組は関係なく、単純に自分の受けてきた仕打ちを思うと信頼できないというだけです。


加えて、自分が養子縁組に出された理由をいろいろと考えて自分の命の価値を自問自答しながら落ち込む日々が続きました。

長い時間をかけて自問自答を繰り返し、自分の生い立ちを辿っていく中でたくさんの支援者との出会いもあり、少しずつ自分の人生を前向きにとらえることができるようになってきました。

手探りで進めた「ルーツ辿り」と直面した壁


- ご自身の生い立ちやルーツについてご自身で調べられた経験はありますか?もしあれば、その過程で感じたことや、直面した壁などについて教えてください。

大学生時代に自分の従前戸籍や住民票を見て、そこに記載のある住所を訪問するなどして親探しをしたことがあります。また、児相に対する情報開示請求で自分が遺棄されたことや家裁での審判に関わる資料を見つけることができました。

そもそもどうやったら自分の生い立ちに関する情報が得られるのか誰も教えてくれませんでしたし、調べても出てきませんでした。誰に相談していいかもわからず八方塞がりでした。また、ルーツ辿りの中で相談できる人がいなかったのも辛かったです。

生い立ちを知っていく中で、自分の人生を捉え直す材料がそろっていき、もちろん落ち込んだり精神的に参ってしまったこともありましたが、最終的にポジティブに生きていくことができているので、ルーツ辿りをしたおかげだなと思っています。

「3歳からの真実告知」当事者が語る、子どもに伴走することの重要性


- ご自身の経験を踏まえ、お子さんへの「真実告知」はいつから行うべきだと思いますか。また、その理由も合わせてお聞かせください。

真実告知は3歳ごろからというのが一般論ですが私も賛成です。こどもに伝え始めるのが早いほど、子どもがその真実と向き合うのに寄り添う期間が増えます。こどもは真実を知ってからが大変なので、自立して家を出るよりも前にどれだけ養親さんが伴走できるかがこどもの捉えなおしの成功率を左右します。

また、真実告知をしたからと言って翌日から頼れる伴走者になれるわけではなく、親としての信頼感とは別軸の養親としての信頼感を子どもに感じてもらう必要があります。

そう考えると3歳に真実告知を始めても実際に子どもの葛藤に伴走できる期間は思っているほど長くはないのだと思います。遅くなれば遅くなるほど苦しむのは子どもだと思います。

孤立を防ぎたい。支援団体「Origin」設立と見えてきた課題


- 現在は特別養子縁組家庭支援団体「Origin」を立ち上げられましたが、この団体を設立しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか。

自分自身が出自を辿る際、自分の生い立ちと向き合う際に孤独だったので、同じような想いをする子どもが少しでも減ればという思いで始めました。

また、特別養子縁組制度は、縁組成立後の支援のなさをはじめ、まだ不十分なところも多い制度です。その制度をよりよく変えていくためには、大人になったこども当事者の声が重要だと考えました。こども当事者が自身の経験や想いを発信できるような支援も実施したくて始めました。

- 「Origin」では、具体的にどのような活動を行っていますか?また、活動を通して出会う当事者の方々からは、どのような声や悩みが聞かれますか。

月に一回の養親サロン・養子サロン(オンライン)、年数回の対面形式サロン、勉強会やサロン等への講師派遣、個別相談受付をメインに活動しています。活動を通して出会った当事者からは、「自分以外にも同じような境遇の人と出会ったのははじめて。一人ではないと思えてよかった。」といった声が多く聞こえます。

- みそぎさんご自身のご経験や、現在の活動を通して、日本の社会や制度に対して「もっとこうなってほしい」と感じることがあれば教えてください。

制度としては、養子縁組成立後の支援がないことが最も大きな課題だと考えます。また、養子縁組家庭に対して思うことは、完璧を求めすぎないでほしいということです。

養子縁組をしたからこそ、第三者から少しでも「親として失格」だと思われたくないという思いが強く、養親さんが必要以上に自分に厳しい家庭も多くみられます。もちろん、子どもの福祉のためにやらねばならないことはあります。

ただ、それを家庭の中だけで完結させようと無理していては、子どものためにもならず、養育が辛いものになってしまいます。縁組後の支援が拡充され、養親さんが養育を家庭内で完結させなくてもよいと思える社会になればよいなと思います。

親になって気づいた「家族の形」と、未来の養親へ


- みそぎさんご自身もご結婚され、お子様がいらっしゃるとブログで拝見しています。ご自身が「親」という立場になられて、家族というものに対するお考えに変化はありましたか。

面白いことに、子どもが生まれると「血のつながり=家族」という感覚を強く実感する自分もいました。ただ、私は自分の生い立ちから、それは思い込みであり驕りだと知っています。

血がつながっていようと繋がっていなかろうと、家族には信頼関係を築きながら少しずつなっていくものなので、血がつながっていることに慢心せずに、こどもからみて自慢の家族になれるように精進していきたいと思います。

- 不妊治療を終えた方の中には、特別養子縁組を考える方が一定数いらっしゃいます。そのような方々が養子縁組を迎えるにあたって、当事者の視点から何かアドバイスはありますか。

十月十日以上の期間子どもを待ち続けている不妊治療中のご夫婦には、積もり積もった愛情があると思います。そしてそれは間違いなく、縁組したお子さんを養育していくうえでの大きな武器です。ただ、それを子どもに伝えるときに、愛情ではない何かに変わっていないか、それを常に自問自答してほしいなと思います。

愛情が大きいがゆえに、伝え方を間違うと子どもを壊す可能性もあります。愛情が大きすぎる期待に変わっていないか。愛情が理想の押し付けになっていないか。愛情がこどもの気持ちをかき消していないか。愛情を愛情として伝えられれば、怖いものはありません。

ルーツに悩む当事者へ「同じ仲間が必ずいる」


- 最後に、ご自身のルーツについて悩んでいる当事者の方へ、メッセージをお願いいたします。

私は、自分のルーツを辿ることで傷つきましたが、自分のルーツを辿ったからこそ今前向きに生きていられます。一人で自分のルーツを辿るのは苦しい場面もあると思います。Originはそんな方の力になりたくて生まれた団体です。困ったら気軽にご連絡ください。力になります。

ご自身のルーツを辿った後、それをどのように捉えるか。それを今後の人生の中でどう整理していくのか。一緒に考えていければと思います。同じような仲間が、身近ではないかもしれませんが必ずいます。ご連絡お待ちしております。

本日お話をおうかがいした方

一般社団法人特別養子縁組家庭支援団体Origin

代表

みそぎさん

特別養子縁組家庭で育ったこども當事者。
生まれた日に遺棄されているところを保護され乳児院に入所。その後児相のあっせんで特別養子縁組成立。真実告知は高校生のころで、社会人になったタイミングで當事者団体であるOriginを立ち上げ代表を務める。

一般社団法人特別養子縁組家庭支援団体Origin
2020年4月発足のこども當事者団体。
毎月オンラインでの養親サロン・養子サロンを開催しており、年に数回東京と福岡で対面形式のサロンも開催。
Xアカウント:https://x.com/Origin73686845

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