お腹を切らない新しい選択肢「HIFU(ハイフ)」とは?生理痛の我慢が招く子宮筋腫・腺筋症のリスク

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2026.10.02

不妊治療

生理痛を我慢しないで!お腹を切らない子宮筋腫・腺筋症の治療法「HIFU(ハイフ)」

【この記事のポイント】
  • ・重い生理痛や経血量の増加は、子宮筋腫子宮腺筋症のサインの可能性がある
  • ・子宮全摘出などの手術を避ける、新しい治療の選択肢として「HIFU(ハイフ)治療」が注目されている
  • ・HIFU治療は超音波で病巣をピンポイントに焼くため、お腹を切らない(傷が残らない)
  • ・体への負担が少なく、日帰りでの治療が可能で翌日から仕事復帰する人もいる
  • ・生理痛の我慢は危険?子宮筋腫と子宮腺筋症とは

生理痛の我慢は危険?子宮筋腫と子宮腺筋症とは


東尾:
毎月の生理が重い」とか、あと「ナプキンが追いつかない」等。
私もそうだったんですが、痛み止めを飲むというのが当たり前で、「みんな飲んでるから、もうこれ(痛み)は仕方ないかな」と我慢してる人が多いと思うのですが、実はそれは子宮筋腫とか子宮腺筋症のサインかもしれません。ということで、今日はお腹を切らずに治療ができる選択肢があるということで堤先生にお話を伺います。

堤先生は東京大学の産婦人科の教授から山王病院の病院長、国際医療福祉大学の教授を務められて、今は杉山産婦人科のこのHIFU室の室長ですね。

 

堤先生:はい。室長と呼んでいただければ。

東尾:HIFUの責任者ですよね。日本でHIFUを広めようとしていただいている先生です。どうぞよろしくお願いします。

堤先生:産婦人科医として長年、子宮筋腫、子宮腺筋症に取り組んできました。大きな傷から小さな傷、腹腔鏡に取り組んできたわけですが、今回、新しく「HIFU(ハイフ)」という、お腹を切らない治療に出会って、この杉山産婦人科で5月から治療を開始しております。HIFUの治療器械は薬機法未承認で、現在自由診療でおこなっています。

 

東尾:お腹を切らない。もう本当びっくりしました。腹腔鏡でもすごいな、と思ったのに、お腹を切らないで治療ができるなんて!と。そもそも、筋腫とか腺筋症というのはどういう病気なんですか?

堤先生:子宮という大事な臓器は筋肉でできているのですが、筋肉のコブができるのが子宮筋腫ですね。また、子宮腺筋症というのは、子宮内膜という内側にあるべきものが壁の中にめり込んできたり、あるいは子宮内膜と一緒で外側から増殖する。

すると、子宮筋腫もそうですけれども、子宮腺筋症の場合特に痛みの物質を出すとか、あと特に不妊との結びつきも強いんですね。最近、増えている傾向があり、不妊との問題というのがクローズアップされていると思っています。

子宮筋腫・子宮腺筋症、見逃してはいけないサインとは?


東尾:
どんな自覚症状があると疑った方が良いのですか?

堤先生:まず子宮筋腫の場合は、徐々に大きくなってきて生理の量が増えるとか。

東尾:大きくなるのは自分では分からないじゃないですか。ということは、生理の量が増えたら?

堤先生:「あ、最近前より生理の量が増えたな」と思ったら、何か筋腫でもできてるのではないか、と疑ってもらうのが1つの目安です。生理の量が特徴なのが筋腫だとすると、生理の痛みが強いのが腺筋症です


東尾:
生理痛っていうことは、生理の時だけの痛みですか?それとも普段からの痛みですか?

堤先生:生理の時の生理痛が強くなるのと、腺筋症って痛みの物質を出すので、排卵の頃ですね。エストロゲンが上がると腺筋症が活性化して痛みの物質が出る。ですから最近、生理の時だけじゃなくて排卵痛なのか、排卵の頃痛むなって言ったらそれは1つ腺筋症を疑う項目だと思います。

東尾:じゃあ貧血などはどうですか?

 

堤先生:はい。生理ってだんだん増えてくると、気がつかないでいるうちに貧血が進むということもよくありますよね。急に貧血になると倒れてしまうので、分かるかもしれないのですが、ヘモグロビンが12g/dLあったのが10になって9になって8になって…と、少しづつ減っていくと、最近疲れやすいな、とか、階段登ったら息が切れる、などが起きてきます。そのような症状は1つ筋腫のサインかもしれないと思っていいですね。

東尾:どういう、一線を超えたらというか、受診の目安にした方が良いですか?やっぱり、生理痛とか我慢しちゃうんですよね。

堤先生:そうです。生理だからって我慢してるのが積み重なると、もう、思いがけず大きな子宮筋腫になってしまったり、手術もなかなか難しいですね、と言われるようなことになりますよね。

ですから、月に一度の生理は子宮からの1つの情報だと思って、何か異変があったら健診というか受診ですよね。年に一度は子宮がん検診も受けていただきたいんですけれども、それだけではなくて。

何か気づいた時、生理の量が多い、あるいは生理の痛みが強い、排卵の頃だけどなんか痛みが強いとか。そういった症状が何かあったら、気軽にできれば婦人科を受診していただきたいです。

東尾:婦人科って気軽じゃないんですよ、先生。

堤先生:そうなんですよね。気軽にしていく、ということ、それも1つの理子さんの使命だと思って。


東尾:そうですよね。我々の使命ですよね!


東尾:それで、我慢しすぎると、どんなことになっちゃうんですか?症状が進むと。

堤先生:症状が進むと、結構、気がつかないうちに、もう触ったら分かる、となると、相当大きくなっています。

東尾:脂肪しか感じないんですけど(笑)。硬かったりするんですか?

堤先生:硬かったりするものが「あれ?」と思ったら、これは筋腫が大きくなったかな、と思っていただいたほうが良いです。

東尾:やっぱり触ってわかるとなると、相当大きくなってるわけですよね。

堤先生:はい。そうすると治療の選択肢も、一般的にはそこまで大きくなると子宮全摘を従来は勧めていましたね。今は機能温存、不妊との関係もありますので筋腫だけ取るという手術が主流にはなってきてると思うんですけど。

お腹を切らない治療法「HIFU(ハイフ)」とは


東尾:
そして今日お話を伺いたいのが我々の後ろにあるこの機械ですね。すごく大きいですね。思った以上に。色々穴も開いていたり。

堤先生:ええ、そうですね。ここから超音波で検査と同時に治療を行う、と。

東尾:検査と同時に治療。先生、まずこの名前を教えてください。

堤先生:HIFU治療機ですね。JC300という最新の機材でございます。

東尾:どんなことができるんですか?

堤先生:先ほどは子宮筋腫、子宮腺筋症の治療と言いましたけれども、肝臓がん、すい臓がん、前立腺がん、乳がんとかですね、世界では悪性腫瘍にもうかなり利用されておりますね


東尾:
あ、そうなんですか。このHIFU治療っていうものが。


堤先生:
ええ、先日、大阪公立大学が肝臓がんの治療に超音波HIFUを導入するというのがニュースになってました。


東尾:
仕組みはどうなってるんですか?仕掛けは。切らないんでしょう?

堤先生:切らないですよ。ですから超音波で筋腫あるいは腺筋症の病巣を見つけて、そこに強い超音波を当てるんですね。そうすると虫メガネの原理ですよね。局所に超音波を集めたら熱で溶けるじゃないですか。だから超音波で「ここ」っていうところにピンポイントに当てて溶かしちゃうわけですね。

東尾:狙いを定めて。

堤先生:超音波で見てそこに打つので、他のところには影響せず局所的な治療ができる。必要なところを焼いていくということになります。

東尾:HIFUって聞くとやっぱり美容のHIFUを1番にイメージするんですけど、全然違うものなんですか?

堤先生:超音波を使うという点では同じですよね。ただ出力が全然違うので、美容のHIFUの場合は筋膜を引き締めるような仕組みだと思うのですが、強力な超音波は筋腫あるいは腺筋症の細胞を溶かしてしまう。同じ原理で肝臓がん、すい臓がん、乳がん、前立腺がんにも世界では行われてます。

日帰り可能で体への負担が少ないHIFUのメリット


東尾:
今までの内容をお伺いすると、切らなくて、良いことしかないように聞こえるんですけど、もっとメリットを知りたいのと、やっぱりデメリットもあるんじゃないか?と思うのですが。

堤先生:日帰りなわけですよ。終わりました、で、ちょっと休んでいただいて翌日から働いている人もいますし、歩いて帰れます。小走りで帰る人は走らないでくださいってね(笑)、と伝えていますけど。麻酔剤を使っていますから。



東尾:お話しながらやるんですか?

堤先生:(お話しながら)痛くないのに余分なお薬は使わないのですが、「やっぱりちょっと痛いです」と患者様が言えば、少し痛みを和らげるお薬を増やすとか、そういう調整はしますね。
麻酔薬の影響が消えるのに2時間ぐらいは終わってからリカバリーで休んでいただきます。
その上で、痛み止めを必要な場合は飲んでもらうのですが、ほとんどの方が痛み止めも飲まないですよね。

東尾:終わってから?翌日もですか?

堤先生:そうですね。心配だったら(痛み止めを)差し上げて、1錠ぐらいは飲んだという方はおられますけど。全く鎮痛剤もいらないっていうのは、私も長年産婦人科医として筋腫治療をしてきて、ちょっと驚きのところがありますね。

普通は開腹手術ですと10日間入院して、1ヶ月は仕事休むんですね。ところが腹腔鏡ですと6日弱の入院で、2、3週間休むじゃないですか。それを計算すると、いわゆる労働力の損失になるわけですよね、皆さん働いてるから。そういう面からも非常に優れた治療だと思うので、しっかり取り組まなくちゃいけないと思って頑張っています。

知っておくべきHIFUのデメリットと安全性


東尾:
HIFU治療のデメリットは何ですか?

堤先生:デメリットと言えることはですね、初期の段階で開腹手術や腹腔鏡にはない合併症があったんですね。それは超音波が空気に当たると熱を持つんですよ。

お腹と機械の間を水で満たしてるんですけど、空気の泡粒があったりするとそこで熱が出て火傷された人がいたんですね、昔のデータで。ですから今は特に慎重に空気の泡粒をなくして、お話しながら「皮膚が熱かったりしますか」っていうのを聞いて、完全に予防はできているのですが。唯一、そのHIFUの他の治療に比べてのデメリットとしてあったのは「皮膚やけど」というのがありました。

東尾:それくらいなんですね。あとはその照射する先生の技術が大切?

堤先生:超音波で見てリアルタイムに「ここに打ちます」と患者さんに言ってから行うので、人によっては痛みを感じるけど、全然痛くないという方もいるし、そういう方の場合は鎮痛剤も少なくて済みますね。

東尾:なるほど。今回は3シリーズに渡ってお届けしたいんですけども、とりあえず今回第1回はまず生理痛とかそういうことは我慢しなくていいっていうことですね?

堤先生:そうですよね。生理だからって我慢してるとその病気が進行して、治療もそれなりに大変になってしまうということですよね。

東尾:次回は、この子宮筋腫を取った後とか、妊活、妊娠する時に大丈夫なのかなっていう、子宮筋腫と妊娠の関係をお届けしたいと思います。ありがとうございました。

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子宮筋腫・腺筋症のHIFU(ハイフ)治療に関するよくある質問

Q. HIFU(ハイフ)治療とは何ですか?
A. 超音波を病巣(子宮筋腫や子宮腺筋症)にピンポイントで集め、熱で細胞を溶かす治療法です。お腹を切らないため傷が残らず、体への負担が少ないのが特徴です。

Q. 入院は必要ですか?
A. 日帰りで治療が可能です。従来の開腹手術(約10日間の入院)や腹腔鏡手術(約6日間の入院)と異なり、治療後は数時間のリカバリーを経て帰宅でき、翌日からの仕事復帰も可能です。

Q. 治療中の痛みはありますか?

A. 鎮痛剤を使用し、医師と会話をしながら痛みの具合を確認して進めます。術後の痛みも少なく、痛み止めを飲まない患者さんも多くいます。

Q. デメリットやリスクはありますか?

A. 過去のデータでは超音波が空気に当たって熱を持ち、皮膚やけどを起こす事例がありました。しかし現在では、空気の泡をなくすなどの慎重な処置により、完全に予防されています。

本日お話をおうかがいした方

(一社)婦人科HIFU研究会代表理事/杉山産婦人科世田谷

堤治

1950年生まれ。
東京大学医学部卒業後、卵子や子宮筋腫などの研究に従事し、東京大学産科婦人科学教室教授、山王病院院長を歴任。日本受精着床学会、日本産科婦人科内視鏡学会などの理事長を務め、産前産後ケアや子育て支援にも尽力してきた。著書『愛子さま誕生までの300日 堤ノート』(小学館)

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