妊活EDとは?「タイミング日に勃たない」原因と夫婦でできる対処法【泌尿器科 看護師監修】
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妊活お役立ち情報
目次
- 「普段は問題ないのに、排卵日だけ勃たない」—それは妊活EDかもしれません
- 妊活EDは決して珍しくない——データが示す事実
- なぜ排卵日に勃たなくなるのか——背景にある「3つの圧力」
- ①心理的圧力:性交が「義務」になる
- ②男性の役割意識と自責感
- ③社会的な沈黙
- 「話せない理由」は、ダメではなく「守っている感情」
- 夫婦でできる対処法と、頼れる治療
- プレッシャーを分散する:
- 補助手段を味方につける:
- ED治療薬という選択肢:
- 「ネットで安く買う」前に知ってほしい——個人輸入の落とし穴
- ネットのED治療薬は「約6割が偽造品」
- 万が一のとき、公的な救済も受けられない
- 必ず医療機関で、正規のルートを
- まずは「話してみる」ところから——気軽に相談できる窓口
- まとめ
- 参考文献
妊活EDという言葉を聞いたことがあるでしょうか?今回は、妊活EDについて、泌尿器と男性不妊のクリニック不妊症看護認定看護師、看護師長、菅野伸俊さんの監修のもとお届けいたします。
「普段は問題ないのに、排卵日だけ勃たない」—それは妊活EDかもしれません

「なんでもない時はとても元気なのに、いざ排卵日のことを言われると、挿入する前に『頑張らなきゃ』と思ってしまう。そう思えば思うほど、できなくなるんです」
——これは実際に相談に来られたある男性の言葉です。
妊活EDとは、妊娠を目的とした性交のプレッシャーやストレスによって、勃起などの性機能が一時的または継続的に低下する状態を指します。加齢や病気による通常のEDとは、原因も現れ方も大きく異なります。
| 通常のED | 妊活ED | |
|---|---|---|
| 主な原因 | 身体的・加齢・基礎疾患など | 精神的(心因性) |
| 発症パターン | 徐々に、慢性的に | 妊活開始後に急に |
| 性交への意欲 | 低下していることが多い | 意欲はあるが困難 |
「意欲はあるのにできない」
——この矛盾こそが妊活EDの特徴です。
だからこそ、多くの男性が「自分は病気なのか」と一人で戸惑い、抱え込んでしまいます。
妊活EDは決して珍しくない——データが示す事実
「自分だけが情けない」と感じる方は少なくありません。しかし、これは想像以上に多くの夫婦が直面している課題です。
不妊・流産・妊娠準備で受診した男性1,256名を対象とした研究では、EDの割合は、これから妊娠を目指すグループ(プレコンセプションケア群)では9.3%だったのに対し、不妊群では30.6%、流産群では27.0%にのぼりました。対象者の平均年齢は約32歳で、30代前半でこの有病率はかなり高い数字といえます。*
つまり、妊活・不妊に取り組む夫婦の3組に1組近くが、何らかの勃起の悩みを抱えている可能性があるということです。あなたのパートナーが一人で悩んでいるのではなく、多くの人が通る道なのです。
なぜ排卵日に勃たなくなるのか——背景にある「3つの圧力」

妊活EDの原因の多くは心因性、つまり心理的なものです。その背景には、大きく分けて3つのプレッシャーが存在します。
①心理的圧力:性交が「義務」になる
排卵日が「やらなきゃいけない日」に変わり、「今日ダメだったら、また1か月後…」という焦りが生まれます。医師から「今日と明日に性行為をしてください」と具体的な指示が出ることで、性交そのものが妊娠のための"作業"のように感じられてしまうのです。
②男性の役割意識と自責感
「自分がしっかりしないと」という責任感、「男としての役割を果たせていない」という無力感。セックスの失敗を、男としての失格であると捉えてしまう方もいます。
③社会的な沈黙
男性同士で「性」や「妊活」を語る文化は、ほとんどありません。恥やタブーとして扱われるテーマだからこそ、「誰にも言えない」「一人で抱え込む」状態が続き、EDの悪循環へと進んでしまいます。
「話せない理由」は、ダメではなく「守っている感情」

パートナーが妊活について口を閉ざすとき、それは無関心や逃げではありません。むしろ、表には出しにくい感情を必死に守っている状態です。
「情けないと思われたくない」という恥ずかしさ、「パートナーをがっかりさせたくない」という申し訳なさ、「このままずっと子どもができなかったら…」という怖さ。男性にとって性機能は「存在価値」とすら結びつきやすく、沈黙は自分を守る"最後の砦"になっていることがあります。
支える側の第一歩は、「話せない理由」を"ダメ"と責めるのではなく、"守っている感情"として受け止めること。 「笑顔だけど目が笑っていない」「話がすぐ終わる」「『大丈夫』が逆に気になる」
——そんなサインに気づいたら、問い詰めるのではなく、そっと寄り添う姿勢が大切です。
夫婦でできる対処法と、頼れる治療

妊活EDは、適切な理解と対処によって改善が期待できる状態です。男性一人が「義務」や「責任」を背負い込む必要はありません。また女性にも知っていただきたい大切なことがあります。
パートナーが勃起しないことは決して自分に魅力がない訳ではありません。また妊活では「今月はこの1回しかない」というプレッシャーが大きくなりがちです。
しかし、その焦りや不安、落胆した態度や不機嫌な様子が伝わると自分を追い込み、かえって勃起しにくくなってしまうことがあります。これが妊活EDの大きな特徴の一つです。
プレッシャーを分散する:
排卵日「当日だけ」に賭けるのではなく、前後数日間、リラックスしたスキンシップの機会を増やすことで、一発勝負の緊張感をやわらげられます。
補助手段を味方につける:
どうしても難しい日は、シリンジ法(専用キットで精液を注入する方法)や人工授精という選択肢もあります。「いざとなったら別の方法がある」という安心感が、プレッシャーを軽くします。
ED治療薬という選択肢:
心因性EDに対しては、PDE5阻害薬(バイアグラ・シアリス)が有効とされ、ED診療ガイドラインでも中心的な治療法に位置づけられています。ED治療薬が妊娠に悪影響を及ぼすことはありません。
2022年4月からは、勃起障害を伴う男性不妊症に対して、一定の要件を満たす場合にバイアグラとシアリスが保険適用となりました。適用には、泌尿器科で5年以上の経験がある医師の診断や、本人またはパートナーが6か月以内に不妊治療を受診していることなど、複数の条件があります。詳しくは受診先の医療機関にご確認ください。
「ネットで安く買う」前に知ってほしい——個人輸入の落とし穴

「病院に行くのは恥ずかしい」「手軽に安く手に入れたい」——そんな理由から、インターネットの通販サイトや個人輸入代行でED治療薬を買おうとする方は少なくありません。しかし、これには大きなリスクがあります。
ネットのED治療薬は「約6割が偽造品」
バイアグラなどのED治療薬は、日本では医師の処方が必要な医療用医薬品です。ドラッグストアで市販薬として買うことはできません。そして、ネットで流通する海外製品には、偽造品が非常に多く含まれています。
製薬会社4社の合同調査を紹介する厚生労働省の情報によると、インターネットで入手したED治療薬の約6割が偽造品だったと報告されています。
偽造品は、有効成分がまったく入っていなかったり、逆に過剰に含まれていたり、有害な不純物が混ざっていたりすることがあり、見た目で本物と見分けるのはほぼ不可能です。国内外では、偽造ED治療薬による重篤な健康被害や死亡例も報告されています。
万が一のとき、公的な救済も受けられない
さらに見落とされがちなのが、医薬品副作用被害救済制度の問題です。医療機関で正規に処方された薬を適正に使って重い副作用が出た場合、この公的制度で医療費などの救済を受けられる可能性があります。
しかし、個人輸入した製品による健康被害は、この制度の対象外です。「安く済ませたつもり」が、健康と家計の両面で大きな代償になりかねません。
必ず医療機関で、正規のルートを
ED治療薬は自己判断で入手せず、必ず医療機関で医師の診察を受けたうえで、安全な正規品を使ってください。オンライン診療に対応する医療機関も増えており、通院のハードルは以前より下がっています。
まずは「話してみる」ところから——気軽に相談できる窓口
「医療機関でも話せなかった」「ネットで調べても不安が消えない」
——妊活や性の悩みは個別性が高く、限られた診察時間では扱いきれないことも少なくありません。
本記事を監修した菅野伸俊さんは、オンライン相談窓口「おとこの保健室」を運営しています。日本初の「男性」不妊症看護認定看護師として、妊活・性機能・パートナー関係の悩みを、男性の視点から丁寧にサポートする相談サービスです。
排卵日を意識した性行為がつらい、妊活が原因でパートナーとぶつかってしまう、勃起が維持できなくなってきた。
——そんな声に、専門家が寄り添います。オンラインなので自宅から相談でき、カメラをオフにしたままでも、ご夫婦一緒でも参加できます。
一人で、あるいは二人だけで抱え込む前に、まずは安心して"話してみる"ところから始めてみませんか。
まとめ
妊活EDは、意欲がないのではなく「頑張りたいのにできない」状態であり、その多くは心因性です。3組に1組近い夫婦が経験しうる、決して特別ではない悩みです。
大切なのは、責めることでも、一人で抱えることでもありません。「話せない理由」を感情として受け止め、夫婦で情報を共有し、必要なときは専門家の力を借りること。そして治療薬に頼るときも、安全な正規のルートを選ぶこと。それが、赤ちゃんを授かるという共通のゴールへの、前向きな一歩になります。
一人で悩まず、専門家にそっと相談してみてください。それが、二人の妊活を少し軽くする一歩になるはずです。
参考文献
*Yu X, Zhang S, Wei Z, Zhang X, Wang Q. Prevalence of sexual dysfunction among the male populations who seeking medical care for infertility, pregnancy loss and preconception care: a cross-sectional study. Sci Rep. 2022;12(1):12969. doi:10.1038/s41598-022-17201-3.
記事監修
泌尿器と男性不妊のクリニック
不妊症看護認定看護師/看護師長
菅野伸俊
日本初の「男性」不妊症看護認定看護師(日本看護協会認定)。男性の不妊症看護認定看護師は全国でわずか2名という希少な資格保有者。25年以上にわたり生殖医療に従事し、2万人以上の患者を支援。男性不妊・ED・射精障害・夫婦の関係支援を専門とし、オンライン相談「おとこの保健室」も運営している。

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