体外受精を中心にした最先端の生殖補助医療を提供|広島HARTクリニック【前編】
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妊活お役立ち情報
2024.08.02
不妊治療
体外受精を中心にした最先端の生殖補助医療を提供|広島HARTクリニック【前編】

生殖補助医療(ART医療)に特化した広島HARTクリニック。患者さんにとっての「ラストリゾート(最後の砦)」として、体外受精を中心に、胚移植、卵子・精子・受精卵の凍結保存など、最先端で専門的な技術を集積し、それを最大限活用した不妊治療を行っています。
院長の向田哲規先生に、妊活の歩み方編集部がお話を伺いました。
不妊治療により妊娠し出産した患者さんの喜びに触れ生殖医療の道へ
編集部:広島HARTクリニックの特徴を教えてください。
向田先生:当院では、一般不妊治療は基本的に行わず、体外受精を中心とした不妊治療のみを行います。患者さんにとってのラストリゾートとして、私が産婦人科医師となって40年かけて習得した専門知識・技術である生殖補助医療に特化しています。
卵子や精子、胚、凍結胚の管理を行うART Laboは最先端の技術・機器を導入し、常にソフト面、ハード面を進化・発展させています。長年の不妊治療で結果が出ず悩み・苦しんできた患者さんが、なんとか自分たちの子どもを持ちたいと願って来院される難治性不妊治療を専門としたクリニックです。
編集部:向田先生が生殖補助医療を専門にするきっかけについてお伺いしたいのですが、子どもの頃から医師になりたかったのでしょうか?
向田先生:最初から医師になりたかったというより、私自身は、もともとアマチュア無線とか電気、機械関係が好きだったんですね。瀬戸内海が見える広島で生まれ育ち、親は公務員だったので医師の家庭で育ったわけでもありません。ただ高校で進路を決める際に、太平洋の青い海があるところに行きたいと思ったんです。
それで高知県で学校を探して、高知医科大学に入学しました。医学部は6年間あるということで、その間にやりたいことをいろいろ決めようと。学生時代はテニス部やヨット部に所属して活動していました。
編集部:そうだったんですね。充実した大学生活を経て、生殖医療の道を選んだ理由は、何だったんでしょうか?
向田先生:人の誕生に向き合う治療は、幸せに立ち会うことが多いと感じたのが理由のひとつです。中でも生殖医療に興味を持ったのは、なかなか授からないご夫婦が授かった時の喜びに接したことがきっかけです。ご夫婦だけではなく、おじいちゃんやおばあちゃん、親御さんを始め、周囲の人も心から喜んでいたのが印象的でした。
そんな喜びにつながる医療は天職として極める価値があるのでは?と思ったからです。その分野を極めるのであれば、その時点での最先端の知識・技術を習得したいと思い、海外に行こうと。それで体外受精の技術が進んでいたアメリカに留学しました。
アメリカで不妊治療をとことん習得。帰国後は広島HARTクリニックに。
編集部:アメリカは、どちらに留学されていたのでしょうか?
向田先生:高知医科大学の産婦人科医局に海外留学ルートがあって、1988年にマイアミ大学の生殖医療部門で体外受精プログラムに1年半ほど関与しました。まだ日本では体外受精がそんなに行われていなかった頃です。
その後、いったん帰国したのですが、極めるにはもっとアメリカで学びたいと思い、今度はニューヨーク、ニュージャージー州の不妊治療専門のプライベートクリニックに行きました。そこは体外受精も腹腔鏡も不妊治療に関するすべての治療対応を行う施設で、5年ほど臨床に携わりながら滞在しました。フットワーク軽く、あちこちに足を運んで、新しい情報や知識を取り入れていきました。
編集部:その後、日本に帰国されて広島に?
向田先生:そうです。せっかくアメリカで不妊治療や体外受精に関する研究や臨床を続けてきたので、一般的な産科や婦人科に戻るという選択肢はなく、今まで得た体外受精の知識・技術を生かしたいと思い、1996年に広島HARTクリニックに勤務しました。
帰国して所属した施設は、1990年に高橋克彦先生が、入院を必要とせず外来診療クリニック形態で体外受精を日本で最初に手掛けたプライベートクリニックで、故郷広島にあったのは幸運なことでした。
編集部:当時の日本では、民間クリニックが体外受精を行うことは珍しいことだったんですね。
向田先生:1990年頃までの日本では、大学病院など入院施設のある総合病院等で体外受精を行うことが一般的でした。総合病院というとどうしても手術日と手術の枠が各診療科で決まっているわけで、しかしながら体外受精の治療は、この日と前もって決められるものではないですよね。
いつ排卵が起こるのか、その人の卵胞(発育)の状態に合わせてやらないといけないわけです。やはり、それぞれの患者さんに合わせて個別化していく必要があり、月曜から土曜日まで毎日採卵が可能なプライベートクリニックの役割は大きいと感じていました。腹腔鏡手術を併用して行っていた採卵が、経膣超音波診断装置を用いて外来対応で可能になり、入院の必要がなくなったのも大きかったと思います。
広島HARTクリニックは「私たちにしかできないこと」を大事に
編集部:向田先生が広島HARTクリニックに入られて30年近くになるのですね。2011年に院長となり、2015年には事業継承。体外受精を中心に生殖補助医療に特化したクリニックとしてどんどん進化されていますね。
向田先生:クリニックのホームページにもありますが「私たちにしかできないことがあります」ということを大事にしていきたいと考えています。不妊治療は保険診療の適用にはなりましたが、私たちは着床前胚染色体異数性検査;PGT-Aを中心とした不妊治療などの先端技術を駆使し、他院でいろいろ治療してもなかなか妊娠できないといった方に究極の生殖補助医療を提供しています。
基礎体温のタイミング企画とか人工授精とか一般不妊治療は施行していませんしません。それらは他の多くのクリニックで受けることができるので、私たちは私たちにしかできないことで不妊患者さんに最高の治療を提供すべきと考えています。
編集部:向田先生の方向性がはっきりしているのは、アメリカ留学の経験も大きいのでしょうか?
向田先生:そうですね。日本はどちらかというと「みんながこうしているから自分もこうする」という考え方が多いかもしれませんが、多民族国家のアメリカは、それぞれの価値観が違うのが当たり前で「自分が正しいと思うことをやって進む」といった考え方になります。
宗教や文化が違うので、例えば休日ひとつとってもそれぞれの民族で異なるわけです。そういう環境で医療を提供していくことも、アメリカ留学中に見てきました。海外での経験が今、いきているのかもしれないですね。
良い医療を提供するために心掛けていること
編集部:毎日お忙しいと思いますが、お休みの日は何をしてリフレッシュされているのですか?
向田先生:良い医療を提供するためには、自分の時間も必要だと考えています。クリニックは朝8時から始まって、午後5時には終わります。夜遅くまでの診療は行っていません。人はそれほど長い時間集中することは出来ないため、長時間の診療対応は今まで通りと惰性で流す傾向になりがちであり、スタッフにもメリハリをつけるように言っています。
私の場合、休みの日は、テニスをしていることが多いですね。あとは散歩したり、走ったり、ヨット部だったので海に出たり、ゴルフ(友人との付き合い程度)もしたりして体を動かすことを中心に過ごしています。家でゆっくり本を読んでのんびりと過ごすというのはできなくてどちらかというと苦手で、とにかくじっとしていられないんですよね。夜早く寝て、朝5時くらいに起きています。
今が最高、ということがない不妊治療。常に新しい技術の習得や知識を探求
編集部:良い医療を提供するために、今後チャレンジしていきたいことはありますか?
向田先生:不妊治療というのは、科学技術に伴ってどんどん進歩していくじゃないですか。不妊治療ほど科学技術の進歩に伴って進化していく医療分野は少ないと思います。そのため、現在が最高レベルであるという事はなく、常に新しい技術を取り入れ、有効性・安全性を高める必要があります。今が最高ということはないんです。
フットワーク軽く、どんな人がいて、どんなことがあるのか、常に新たな情報を入れておくことが必要だと思っています。それにはまずチャレンジというよりも、自分が元気であることが大事だと感じていますね。頭と体が十分動かせるよう、新たなことが吸収できるような体制でいたいです。
編集部:これからも向田先生は止まることなく、自らどんどん動いていくということですね。
向田先生:はい。どんどん動いていきたいですね。例えばiPS細胞を含めた幹細胞を用いて生殖細胞を作り出す研究などは目覚ましく進んでおり、自分の分野に限らず国際学会などに参加して、いつ頃、この技術が使えるのかといったことを関係する研究者の方と話したりして、どんどん新しい情報や知識を得たいと思います。毎日同じ臨床ばかり続けている医師も少なからずいますが、新しいものを取り入れるためには、自分から動いてみることが大事だと感じています。
編集部:クリニックについてはいかがでしょうか?
向田先生:当院には培養士が12人いて、現在年間約1000件の体外受精のための採卵を施行しています。培養室には大型タイムラプス培養・観察システム3台をはじめ、培養室で胚の詳細な観察、顕微授精、PGT-Aのための胚生検を行うためのマニュプレーター付きの倒立顕微鏡が4セットもあり、年間約2000件くらいまで余裕をもって対応できる規模の設備と人員を配置しており、一つひとつ丁寧に対応していくことを優先しています。
夕方5時までなのでスタッフも集中して精度の高い技術を提供できていると思います。集中できて、疲弊しません。難しい患者さん一人ひとりに納得のいく治療が提供できるように、クリニックの臨床状況にさらなる充実を図るのが、自分の使命だと思っています。
前編は、患者ファーストな治療に邁進する向田先生のルーツをお伺いしました。
次回後編は、患者さんの気持ちに寄り添ったこだわりについてお話をお伺いします。
施設情報はこちら
本日お話をおうかがいした方
広島HARTクリニック
向田哲規先生
不妊症治療に携わって得られる生き甲斐は、より良い治療法を習得しそれを難しい症例に用いて、赤ちゃん誕生という目標に到達する手助けができた瞬間であり、その経験が臨床医としての糧になっていると思います。不妊症の原因および治療法は千差万別であるため最終的には御夫婦が納得した治療法にて組むべきであり、その為の説明を充分行うよう心がけておりますので、いつでも御相談ください。
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