子宮内フローラについて#2 子宮内フローラの検査結果が悪くても菌環境は改善できる!
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妊活お役立ち情報
2024.05.09
不妊治療
子宮内フローラについて#2 子宮内フローラの検査結果が悪くても菌環境は改善できる!
妊娠や出産に関係する子宮内フローラについて、子宮内フローラ検査を提供するVarinos株式会社CEOの桜庭喜行さんが最新情報と検査現場の経験知よりお届けします。前回は子宮内フローラが一体なんなのか、また検査がどのような検査なのかについてお伝えしました。今回は、検査結果が悪かった場合に子宮内フローラは改善できるのか、改善のために行われる治療などについてお話します。
>>子宮内フローラについて#1 妊娠率・生児獲得率に関係する“子宮内フローラ”とは?こちら
子宮内フローラ検査の結果で改善のための治療は?
不妊治療中に子宮内フローラ検査を実施して結果が良かった場合、不妊の原因はその他にあるということが分かります。一方で、子宮内フローラ検査の結果が悪かった場合、どうしたら良いのか。このケースについて説明していきたいと思います。
子宮内フローラ検査の結果報告書には子宮内のラクトバチルスの割合や、他にどのような菌がどのくらいの割合でいるかが記載されています。そして、ラクトバチルスが90%以上か未満かでカテゴリー分けされます。
医師は子宮内フローラ検査の結果に応じて、その人に適した治療を行います。
子宮内の菌環境に応じた治療法
子宮内フローラ検査の結果が悪かった場合、医療機関では主に3つのケースで治療が行われます。いずれも多くが改善できると言われています。
ラクトバチルスが少ないケース
ラクトフェリンという栄養素を補うことで、ラクトバチルスが増えやすい環境に整え、改善を図ることができます。ラクトフェリンについては後述しますが、菌ではなく、母乳に含まれている鉄結合性糖タンパク質です。
治療した方がよい特定の悪玉菌が検出されたケース
悪玉菌は何もしないとなかなか消えてくれません。そのため、抗生物質を使うと良いことが分かってきています。悪玉菌を排除した上で、ラクトバチルスを増やすためラクトフェリンなどを摂取すると改善の効率が良いとされています。
ラクトバチルスが全くいないケース
ラクトバチルスが0%というケースはよくあります。ショックを受ける方もいらっしゃると思いますが、多くの場合、ラクトバチルス自体を摂取して増やしていき、ラクトフェリンなどで補助していくことで改善すると言われています。
意外な子宮内フローラが乱れる要因と対策
そもそも子宮内フローラはなぜ乱れるのでしょうか?主な要因として、喫煙、ストレス、生活習慣、そして抗生物質の4つが考えられています。それぞれを説明していきましょう。
子宮内フローラが乱れる要因1:タバコ
子宮内フローラにとって、喫煙はネガティブファクターであることが分かっています。まずは禁煙をお勧めします。
子宮内フローラが乱れる要因2:ストレス
ストレスが、どのように菌環境を変えているかはまだ明確なことは分かっていませんが、免疫の状態が悪くなり、悪玉菌の増加と関係していると考えられています。
子宮内フローラが乱れる要因3:生活習慣
生活習慣で最近言われているのが、洗いすぎは良くないのではないかということです。清潔に保つためには、しっかりと洗ったほうが良いと思われている方もいるかもしれません。過度に洗うことで、大事なラクトバチルスまでもいなくなってしまい、酸性環境が保てず、悪い菌が増えてしまうこともあると言われています。
子宮内フローラが乱れる要因4:抗生物質
抗生物質は、悪玉菌だけに効くわけではありません。善玉菌にも効いてしまい、善玉菌も減らしてしまいます。そのため子宮内の菌環境を良くするという点では、医師の指示のもと、うまく使わないといけません。
これら子宮内フローラが乱れる要因をなくすためには、生活習慣はもちろん食習慣も見直しが必要です。
子宮内フローラを整える救世主「ラクトフェリン」
また近年の研究で子宮内フローラを整える成分として、ラクトフェリンが注目されています。前述しましたが、妊娠に大切な善玉菌のラクトバチルスが少ないケースにも用いられることがあります。
ラクトフェリンは、殺菌作用もある鉄結合性糖タンパク質。つまり鉄と結合する性質があります。実は、悪玉菌は鉄を餌にして増殖します。そこでラクトフェリンが鉄と結合して餌を奪うことで、 悪玉菌が増殖しにくい環境を作ると考えられています。子宮内の菌の環境を整えるために重要な役割をする成分です。
ラクトバチルスのサポーター「ラクトフェリン」に期待される働き
妊娠や出産において悪影響を及ぼし、細菌性腟症の原因と言われる悪玉菌は、増殖する際に餌として鉄が必要です。鉄と結合する性質があるラクトフェリンはこの餌となる鉄を奪うため、悪玉菌が増殖しにくい環境を作り、妊娠に大切な善玉菌ラクトバチルスを増やすことに力を貸してくれます。
ラクトフェリンは母乳、特に初乳に多く含まれている成分です。生まれたばかりの赤ちゃんを病原菌やウイルスから守ると言われています。また涙の成分のひとつであり、子宮頚部でも分泌されています。
ラクトフェリンは食事からの摂取は難しい?
ラクトフェリンは乳製品に含まれていますが、すべての乳製品に豊富に含まれているわけではありません。熱に弱い栄養素であることから、加熱処理された市販の牛乳やチーズには、残念ながらほぼ含まれていません。
加えてラクトフェリンは胃液に弱い性質があります。赤ちゃんは胃の消化機能が未熟なため腸まで ラクトフェリンが届くのですが、大人は日々の食事からラクトフェリンを十分に摂取することは難しいと言われています。サプリメントなどで補っていくと良いでしょう。
ラクトフェリンは検査前や妊娠中にも摂取して良いの?
ラクトフェリンについて、当社によくいただくご質問を紹介したいと思います。「子宮内フローラ検査を受ける前からラクトフェリンのサプリメントを摂取しても良いか?」ということです。答えは「摂取して良いです」。ラクトフェリンは妊娠や出産以外にも、免疫力を高めたり、炎症を抑えたりするなど、さまざまな効果が期待されています。
また「妊娠してからもラクトフェリンを摂取したほうが良いか?」との質問もよくいただきます。こちらも「摂取したほうが良いです」が答えです。もともと早産予防として注目を集めていた栄養素です。着床のみならず、出産まで赤ちゃんが過ごす子宮の環境を整えておくとは大切なので、継続摂取することが望ましいと考えます。
ただし、牛乳が原材料なので、乳アレルギーの方は医師と相談をしながら、また他の病気を治療中の方も医師と相談してから摂取いただけたらと思います。
自分の子宮内フローラに合わせてラクトフェリンを上手に活用
誤解されやすいのですが、子宮内フローラを考えた場合、ラクトフェリンを摂取していればすべて良いということではありません。子宮内の菌環境に応じた治療で触れましたが、ラクトバチルスが子宮内に全くいない場合はラクトフェリンをどんなに摂取しても、ラクトバチルスは増えません。
ラクトフェリンはラクトバチルスのサポーター的な存在だとイメージいただけたらと思います。医師の治療のもと、補っていってください。
また悪玉菌をラクトフェリンによって根本的に倒すことはできません。子宮内フローラ検査で、妊娠や出産に悪影響を及ぼす悪玉菌がいた場合は、まず医師による治療が必要です。治療を進めていきながら、ラクトフェリンでサポートして子宮内の菌環境を整えていきましょう。
以上、妊娠や出産に関係することが注目される子宮内フローラについて、子宮内フローラ検査の内容も交えてお届けしました。
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