グレードの見方を完全解説!4AAや5ABなど数字の意味は?【胚盤胞の評価編①】
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妊活お役立ち情報
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体外受精治療を受けている方にとって、「胚グレード」という言葉を一度は耳にするものかもしれません。
今回のシリーズでは、胚グレードの中でも特にご質問が多い、「最初の数字」についてわかりやすく解説していきます。
まず、よく寄せられる質問としては次のようなものがあります。
「凍結できたのが5ABでした。ネットでは4AAや4ABの成功例が多いのですが、やはり妊娠率は低くなるのでしょうか?」
「3BBで凍結されたのですが、4ではないと良くないのでしょうか?」
A・B・Cといったアルファベットの評価はなんとなく理解できても、最初の数字が何を意味しているか分からないという方が多いようです。そこで今回は、胚グレードのおさらいとともに、この数字の意味について詳しく説明していきます。
胚グレードとは?

まずは胚グレードの基本から見ていきましょう。
体外受精では、採卵で得た卵子と精子が受精したあと、子宮に戻す前に「胚(受精卵)」の状態を観察します。その際に胚の形や発育の様子を客観的に評価したものが「胚グレード」です。
いわば、受精卵の「見た目の通信簿」のようなものです。
評価の良い胚ほど、妊娠や出産につながりやすく、流産の可能性も低くなる傾向があることがわかっています。
① 初期胚グレード(Day2〜3)
胚の評価には大きく分けて2種類あります。ここが混乱しやすいポイントなので整理しましょう。
1つ目は、採卵から約3日目までの「初期胚」と呼ばれる段階の評価です。
正常に発育している胚であれば、以下のようになります。
- ・採卵2日目:2細胞〜4細胞
- ・採卵3日目:8細胞前後

初期胚の評価はグレード1〜5(G1〜G5、V1〜V5など)で示され、1が最も良い状態、5が形態的に良くない状態とされます。
初期胚の場合は、「数字が小さいほど良い(1が最高)」と覚えてください。
また追加評価のポイントは、
- ・時期に合った細胞数か
- ・細胞の大きさが均一か
- ・フラグメント(細胞分裂時に出る破片)が少ないか
となります。
例えば、培養3日目で通常8細胞になっていてほしいところ、4細胞しかなく、フラグメントが多い場合には、グレードは低くなります。

↑Day2 フラグメントがやや多いため、グレードは低くなります。
② 胚盤胞グレード(Day5〜6)
ここからが今回のメインテーマです。
採卵から5〜6日ほど経つと、胚は「胚盤胞」という状態に成長します。
胚盤胞は以下の2つの主要な細胞集団から構成されます。
- ICM(内部細胞塊):将来赤ちゃんになる部分
- TE(栄養外胚葉):将来胎盤になる部分
そして、それぞれが A・B・C の3段階で評価され、
↑高い評価A は細胞数が多く密な状態
B は平均的
↓低い評価C は細胞数が少ない
と判断されます。
また、ICMとTEを包む内部には「胞胚腔(ほうはいくう)」という空間があり、その広がり具合によって1〜6の数字で評価されます。
胚評価の最初の数字に良し悪しはあるの?
最初の数字は、「胚盤胞の成長段階」を表しています。
初期胚とは違い、数字は良し悪しではなく「大きさ(ステージ)」を表すため、数字が大きいほど成長が進んでいることになります。イメージとしては、卵の殻を破って中身が出てくるまでの「実況中継」です。
1:初期胚盤胞
胚盤胞になったばかりの状態。つまり、胎児になる部分や胎盤になる部分がつくられはじめています。
2:胚盤胞
1に比べて胎児や胎盤部分がわかるようになってきています。
3:完全胚盤胞
2よりもはっきりと胎児と胎盤部分がわかれます(2よりも全体に大きく広がっています)。
4:拡張胚盤胞
3の状態よりも大きく拡張してきています。細胞をさらに増やし細胞の拡張と収縮を繰り返しながら、卵の殻(透明帯)を破ろうとしています。(全体的にパンパンに膨らみ、孵化直前の状態です)
5:孵化中胚盤胞
透明帯を破り、細胞が外にでてきます。(いわゆる「孵化」が始まり、中身が飛び出し始めた状態です)
6:脱出胚盤胞
完全に透明帯から細胞が外に出てきます。(殻を脱ぎ捨てて、完全に外に出ています)
重要なのは、4以上になると着床に適した状態に近づくということと、胚盤胞は最終的に6の状態で着床すると考えられていることです。
このことから、多くのクリニックでは4の段階で凍結・移植を行います。
ただし、2や3(まだ殻の中にいる状態)だからといって妊娠しないわけではありません。
凍結・移植後、体内で4→5→6と成長していくことは十分あり得ます。
アシステッドハッチングについて
重要なのは、胚盤胞は最終的に6の状態で着床すると考えられていることです。
つまり、6の状態でない場合は、移植した後、細胞がスムーズに殻から外へ出て、子宮内で6になるように手助けする必要があります。
そのため、移植前には「アシステッドハッチング(AHA)」を行います(殻を破りやすくするお手伝い)。
この処理は、以下のいずれかの方法で行われます。
- ・レーザーを卵の殻に照射する(最も一般的)
- ・薬剤を利用し、卵の殻を溶かす
- ・ガラス製のピペットを用いて卵の殻を割く
どの方法で行われてもごく短時間で終わりますが、薬剤は胚への悪影響が考えられる点、ガラス製ピペットを用いた方法では手技にテクニックがいる点から、レーザーを利用して卵の殻に穴を開ける方法が一般的です。
レーザーの照射範囲は、胚の外側に限られるため、胚そのものに影響を与える可能性は低いとされています。世界中で多くの施設で広く行われている、胚への負担が極めて少なく安全性も確立された方法と考えられています。
成長スピードとグレード(D5とD6)

成長スピードも評価対象になります。
すでに体外受精治療をされた方もご経験があるかもしれませんが、施設から「D5 4AA」「D6 5BB」といったように、胚評価だけではなく、D5, D6といった表記をされることがあると思います。
これは、それぞれ、Day5、Day6とよばれ、培養5日目・6日目に凍結したものという意味です。
一般的には、同じグレードであれば、培養6日目に凍結した胚より培養5日目に凍結したもののほうが妊娠率は高いとされています(早く育つほうが生命力の強い傾向があると考えられています)。
D5、D6の胚では、「4の状態」(拡張し、細胞の塊が透明体の外へ出ようとする段階)になっているのが望ましいとされています。
D5の時点で「3の状態」であれば、1日ほど様子を見てD6で拡張するかどうかを確認したうえで凍結することができます。一方で、D6でも「3の状態」のままの場合は、翌日までの追加培養による改善が見込みにくいため、その時点で凍結に進むことが一般的です。
これは、D6までに十分な拡張が見られない胚は、統計的に妊娠率がやや低い傾向があるためです。
「妊娠しない」という意味ではありませんが、移植の優先順位としては「他の胚より後になる」ことは知っておかれると良いでしょう。
胚グレードの施設ごとの違い

胚グレードはあくまでも基準で使用されていますが、「グレードが良ければ必ず妊娠する」というわけではありません。最高の評価であるAA胚であったとしても、60%程度の妊娠率とされています。
グレードは「あくまでも見た目の評価」です。一番重要なのは、胚盤胞細胞内の染色体、いわゆるDNAです。染色体に異常があれば、着床しない、着床しても流産してしまう可能性が高いことが知られています。
勿論、見た目(形態)の評価が高い胚ほど、染色体異常のリスクが低い傾向にあるのは事実です。が、『低い=ゼロ』というわけではありません。実際には、胚評価が高くとも染色体異常のある胚はありますし、反対に形態評価が低くても染色体に異常のない胚も存在します。
こういった背景もあり、より染色体異常の少ない胚を選択するために、クリニックによっては以下を組み合わせた独自の総合評価を用いていることもあります。
- ●先ほどお伝えした胚の形態評価
- →成長段階「数字」・細胞評価「アルファベット」・成長スピード「Day5もしくはDay6」)
- ●クリニック独自の評価
- ●タイムラプスインキュベーターで記録された発育過程
- ●タイムラプスインキュベーターに付属するAIによる胚評価システム
それぞれの情報を組み合わせ、より妊娠につながりやすい胚を選べるように工夫されています。
まとめ
胚グレードは、治療の方針を立てる上で大切な情報のひとつですが、あくまでも“見た目”の評価です。
治療の成功には、胚そのものの力だけでなく、子宮の環境、ホルモン、タイミング、そして医師や胚培養士の判断など多くの要素が複雑に関わっています。
不安なときや疑問があるときは、遠慮せず医師や胚培養士にご質問してみてください。治療の理解が深まることが、安心にもつながります。
本日お話をおうかがいした方
塚田寛人
大学卒業後、検査会社にて動物検査業務に従事。その後、医療法人三秀会中央クリニックにて胚培養士として勤務。また、クリニック開業時の培養室立ち上げにも参画。現在は川越レディースクリニックで医療部マネージャーを務めながら、高度生殖補助医療(体外受精)や妊活に関するオンライン相談を行い、患者様支援に幅広く携わっている。

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