卵子提供での不妊治療。卵子数や胚盤胞到達率、妊娠率は?#2|NUWA生殖医療センター

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2024.06.14

不妊治療

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卵子提供での不妊治療。卵子数や胚盤胞到達率、妊娠率は?#2|NUWA生殖医療センター

不妊治療を経験した東尾理子が、妊活に役立つ情報・施設・取り組みなど、関係者にさまざまな角度から質問を投げかけ深掘りしていく連載です。

 

今回は台湾で初のグループ生殖医療センター「NUWA生殖医療センター(以下、NUWA)」台北院の沈孟勳(シェン・モンシュン)副院長と東尾理子の対談を、全6回でお届けします。

 

前回は台湾の卵子バンクや卵子提供について伺いました。

 

>>卵子バンクとは?台湾の卵子提供による不妊治療事情#1はコチラ

 

2回目は、卵子提供を用いた不妊治療の妊娠率や胚盤胞到達率、胚移植の個数やドナー変更ができるのかなどについてのお話です。

 

NUWAでの卵子提供による不妊治療の妊娠率は9割超

東尾NUWAでは、卵子バンクの卵子提供による不妊治療の妊娠率はどのくらいなのでしょうか?ドナーやレシピエントの年齢にもよるのかもしれませんが、いかがでしょう?

 

沈先生:子宮の状態さえ良ければ、レシピエント側の年齢にかかわらず、NUWAの統計では妊娠率は92%にのぼると出ています。なぜこんなに高い妊娠率を維持できているかというと、私たちはドナーの卵巣機能やその他の必須条件がOKかどうかを厳しく選定しているからです。レシピエントの方の子宮内の環境をしっかり整えれば、胚移植した後の成功率は大変高いものとなります。

 

東尾卵子提供による不妊治療の患者さんは、何回目の胚移植で妊娠されていますか?

 

沈先生:もちろん私は1回で成功させてあげたいと考えています。ただどうしても難しいケース、奥さまの体の状況の関係などで、うまくいかないこともあります。胚移植の前に必要な検査を行いますが、体外受精でも卵子提供でも、想像通りにいかない状況はどうしても発生します。

例えば奥さまの状態も胚の状態も良かった、でも残念ながら妊娠に至らなかった時、私たちは原因が何かをしっかりと突き止めることで更なる失敗を避ける必要があります。

 

PGT-Aは必ずしも必要なわけではなく、選択制で

東尾そうするとPGT-Aは必ず行うものなのでしょうか?それとも選択して行うのものなのですか?

 

沈先生:私たち医師は、必ずレシピエントの方にPGT-Aのメリットを伝えますが、すべてのレシピエントにPGT-Aが必要かというとそうではありません。この検査の目的は、早めに染色体異常の有無を調べることです。

 

ドナーは若いので、胚の異常の確率は低いのですが、100%問題がないとは言えません。

例えば、胚の見た目がとてもきれいだったとしても、妊娠した後に染色体異常による流産が起こってしまう状況もあります。そのようなことを避けるために、また1回での妊娠率をあげるために、PGT-Aを選択できます。医師にご相談ください。

 

卵子バンクのドナーから提供される卵子数と胚盤胞到達率

東尾卵子バンクのドナーから提供される卵子は、一般的に何個くらいあるのでしょうか?目安として教えていただけたらと思います。

 

沈先生:基本的にドナーの多くは卵巣機能が大変良い状態なので、過去には30〜40個、50〜60個採れたという極端な例がありました。最近の私たちが提供する卵子の数は、状況が良ければ、20個近くになります。

 

ただ私たち医師が考えなくてはいけないことは、融解後の生存率が高ければ果たしてこれほど多くの卵子を採る必要があるのかどうかということです。

これはまた別の話にはなりますが、状況が良ければ20個近くの卵子をお使いいただけるということです。

 

東尾良い状況で提供いただいた卵子20個あるとしたら、何個くらいの胚盤胞ができるものなのでしょうか?

 

 

沈先生:基本的に年齢が若いドナーの数字になりますが、胚盤胞到達率は少なくとも7~8割とのデータが出ています。もちろん期待通りにいかないこともありますが、それでも少なくとも半分は胚盤胞になります。状況が良ければ、NUWAでの融解後の卵子生存率は少なくとも95%はあります。

そこから受精をし、受精の成功率は少なくとも80%。そこから胚へと培養する流れとなります。20個の卵子があったとして、そのうち10個の胚盤胞に育てることは、NUWAでは難しいことではありません。

 

台湾では年齢によって2回目の胚移植個数に制限も

 

東尾その先の流れでいくと、10個の胚盤胞を必要であればPGT-Aに出し、返って来たものを移植するということですね。1回目の移植で授かれたらうれしいけれど、正常胚が残っていて2回目の移植をする場合、何か決まりがあれば教えてください。また凍結胚の保管料もかかってきますよね。

 

沈先生:まず保管料についてですが、初年度は卵子提供治療の費用に含まれています。2年目、3年目になると別途保管の費用がかかります。そして1回目の移植が失敗に終わった場合、次は何個の胚を移植するかは医師と相談する必要があります。台湾では現在保険適用となり、個数に制限がかかります。36歳以上であれば、最多で2つまで移植することができます。

 

 

東尾例えば36歳で2回目の移植する場合、3つは難しいということですね。最多2つと決まっている理由は何でしょうか?

 

沈先生:実は、台湾では以前から多胎妊娠の割合が高すぎる状況にあります。したがって体外受精治療には保険が適用されますが、年齢と移植個数に制限があるのです。多胎妊娠を減らすことを私たちも目指しています。以前は3つから4つを移植することもあり、それは妊娠率を上げるものでした。

しかし胚のグレードが良く、ドナーの年齢が若く、更にPGT-Aを取り入れる場合は、そこまで多くの個数を移植することはお勧めできません。一番良いのは、PGT-Aをパスしたグレードの良い胚を1つ移植して1回で妊娠することではないでしょうか。

 

卵子提供での不妊治療でドナーを変えることは可能?

東尾例えば、卵子提供による不妊治療で1回失敗し、再度トライするとなった場合、胚盤胞はまだ残っているけれど、違うドナーに変えてチャレンジする選択肢はありますか?

 

沈先生:最初のドナーが提供した卵子をすべて使い終わったけれど、妊娠することができなかった場合は、別のドナーを探すことができます。台湾ではドナーが提供した卵子でレシピエントが出産に至った場合、そのドナーは二度と他の方に卵子を提供することはできません。提供された卵子とそれでできた胚はレシピエントのものになります。

もし1回目の移植で妊娠できなくても余剰胚はレシピエントのものとなり、もちろんその胚は続けて移植することができます。

 

東尾そうすると、余剰胚がある状態では、レシピエントは別のドナーを選べないということですね。ドナー側には採卵回数の規定はあるのですか?最初のレシピエントが出産に至らなかった場合、そのドナーの方は新しいレシピエントのドナーになれるものなのでしょうか?

 

沈先生:提供した卵子でレシピエントが出産に至らなかったのであれば、そのドナーの方は新しいレシピエントに再び卵子を提供するドナーになることは可能です。ただしドナーになるのも大変なことで、卵子を採る注射などでしんどくなることもあります。

なので、最初に提供した卵子でレシピエントが出産に至らず、かつドナーの方が再び卵子を提供しても良いと思う場合には、ドナーになることはできます。

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台湾の卵子提供をするドナーの妊娠率の高さに驚きですね。

また、提供卵子のおおよその個数や、移植の数、そして、上手くいかなかった場合の対策などもお話いただきました。

次回は、実際に日本から卵子提供を受ける事になった場合の受け入れ体制や、医師、スタッフなどの気になる点についておうかがいしていきます。→#3はこちらから

 

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