日本から台湾で卵子提供を用いた不妊治療を受けるまでの流れ#4|NUWA生殖医療センター

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2024.07.26

不妊治療

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日本から台湾で卵子提供を用いた不妊治療を受けるまでの流れ#4|NUWA生殖医療センター

 不妊治療を経験した東尾理子が、妊活に役立つアイテムや取り組みについて、関係者にさまざまな角度から質問を投げかけ深掘りしていく連載です。

今回は台湾最大規模のグループ生殖医療センター「NUWA生殖医療センター(以下、NUWA)」台北院の沈孟勳(シェン・モンシュン)副院長と東尾理子の対談を、全6回でお届けします。

前回は卵子提供での不妊治療を行うNUWAのスタッフや体制などについて伺いました。

4回目は、台湾で卵子提供を用いた不妊治療を受ける場合、実際に何を準備しどう進めたらよいのかについてです。

 

>>卵子バンクとは?台湾の卵子提供による不妊治療事情#1はこちら

>>卵子提供での不妊治療。卵子数や胚盤胞到達率、妊娠率は?#2はこちら

>>卵子提供での不妊治療。台湾のNUWA生殖医療センターの特徴 #3はこちら

 

卵子提供での不妊治療。初診の渡航前に準備しておくこと

 

 

東尾:NUWAで卵子提供での不妊治療を行うと決めた場合、台湾に行く前に準備しておくものはありますか?

 

沈先生:海外の患者さまの場合は、初診に来る前に、夫婦の身分証明書としてパスポート、結婚の証明書として戸籍謄本などをご準備ください。その他に私は、患者さまに以前の診療記録があれば、お持ちくださいとお伝えしています。例えば以前のクリニックでの採卵個数やAMHの数値、エコー検査の結果などです。お持ちであれば初診日にご持参いただきたいです。

 

 

東尾:初診日の予約はNUWAのホームページやメールなどでできましたよね?

 

沈先生:初診の日は、事前にEメールやそのほかの方法で日時を確定できます。初診の際、ご主人は精子凍結をされるかどうか、奥さまは初診日に子宮鏡検査をされるかどうかなど、前もって初診日の予定を立ててしまいます。そうすることで後はマッチングが無事に済めば、その後の過程もスムーズに進んでいきます。

 

東尾:台湾に着いてからは、どんな資料や手続きが必要になるのでしょうか?

 

沈先生:卵子提供治療の場合は、まず同意書ですね。それから事前に準備いただいたご夫婦双方の身分証明書、海外の患者様の場合はパスポート、結婚の証明としての戸籍謄本です。

 

台湾人の患者さまの場合は、台湾の公証役場にいって家系図を申請する作業がありますが、海外の患者さまであれば家系図の申請はいりません。少し面倒なのが申請の手続きですね。海外からの患者さまが台湾で卵子提供の治療を受けますという内容で、台湾政府の担当部署に申請を出す必要があります。

この申請が通るまでには3〜4週間かかります。

 

 

東尾:病院と同時に、役所のようなところに患者さん自らが持っていくということですね。すべて日本語で大丈夫なのか、言葉が通じるかが心配です。

 

 

沈先生:大丈夫です。このような手続きや申請などは、私たちのほうで協力させていただきます。日本語が堪能なスタッフが、患者さまの初診やその後の過程においても付き添って通訳をいたします

 

必要となる同意書などの書類はNUWAで準備しておりますので、日本語カウンセラーがご夫婦に付き添って役所に向かって申請を行います。日本で開催する説明会にご参加いただけると、医師による個別カウンセリングがありますので、参加者の方はどのような流れで治療が進んでいくのかがわかると思います。

 

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→NUWA生殖医療センター卵子提供説明会‐大阪

日時:2024年7月28日(日)午後1時~5時

場所:インターコンチネンタルホテル大阪 医師との個別カウンセリングあり(無料)

お申し込みはこちらから→https://reurl.cc/0vKa8A

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卵子提供での不妊治療。期間はどのくらいかかる?

 

東尾:卵子バンクから卵子提供のドナーを選ぶ期間は、どのくらいかかるものなのでしょうか?

 

沈先生:説明会の参加者で医師と個別カウンセリングをされるご夫婦は、例えば何度もIVFをされた方など、台湾で卵子提供での不妊治療を受けることに心の準備ができていることが多いです。そういった心の準備ができている方の最短で言えば、説明会当日に2~3組がドナーでマッチングし、私たちが台湾に戻って1~2週間ほどで初診にいらっしゃった方もいました。

 

 

東尾:なるほど。台湾に初診で行った時でなくても、その前に日本で開催される説明会に参加してドナーを決めることもできるんですね。例えばメール上でも決められるものなのでしょうか?またドナーが決まってから実際に移植までどのくらいの期間がかかりますか?

 

沈先生:卵子提供での不妊治療は慎重に行う必要があるので、基本的にあまりメールでのやりとりはしません。説明会か台湾のクリニックで実際にお会いして決める形になります。

 

説明会でマッチングに成功した場合でその後の流れを説明しますと、初診の予約をして台湾に来ていただき、先ほど説明したような台湾政府の担当部署に申請手続きを行います。申請が通るまでにかかる期間は3〜4週間。この申請が通ったら、移植周期の準備などがありますので、すべての期間を合わせると、ドナーが決まってから実際に移植までに最短で2~3か月ほどになります。

 

卵子提供での不妊治療にかかる費用はどのくらいかかる?

 

東尾:卵子提供での不妊治療の費用は、どのくらいかかるのかを教えてください。

 

沈先生:卵子提供での不妊治療の費用と初回の移植までを合わせると、現時点(2024年)ではおよそ55〜60万台湾ドル、その時のレートにもよりますが、日本円でだいたい260万~280万円となります。書類申請の費用やドナーさんへの栄養費*、移植周期に使用する薬、培養室の技術費、1年間の凍結胚の保管料なども含まれています。渡航費や宿泊費は別途かかります。費用は変更の可能性もありますし、2回目以降の移植には追加料金がかかりますので、実際に治療を受ける際にはその時点で必ずご確認ください。

*栄養費は、台湾ではドナーになること自体がビジネスとならないよう、ドナーへの支払いが栄養費として上限が定められています。

 

 

移植前、自分自身で取り組めること、やっておいた方がいいことは?

 

東尾:身体への準備でいう点では、卵子提供での不妊治療に向けて整えておくべきことはありますか?

 

 

沈先生:レシピエントの方が期待する気持ちも、不安な気持ちもよく理解できます。生活習慣や運動の習慣を見直す以外にもリラックスした気持ちでいることがとても大事だといつもアドバイスしています。よく聞かれることとして、漢方で身体を調整したほうが良いかとか、他にカウンセリングを受けたほうが良いかということがあるのですが、これらも試されたら良いと思います。ただ私は、客観的な検査を行って問題がなければ、身体の状況を整えるだけで妊娠率は高くなると思っています。

 

東尾:新鮮胚移植も希望できるのでしょうか?

 

沈先生:時間に余裕がある場合は新鮮胚移植もお選びいただけます。もしくは受精させてPGT-Aをしてから移植するなど、どのような方法でも医師と相談していただけます。新鮮胚移植を行う場合、必要なことが2つあります。

 

1つは奥さまの生理周期を医師が調整できていること、2つめは受精と内膜の育ち方が同じタイミングで進んでいることです。どちらも私たちで調整できますのでご安心ください。

 

不妊治療で用いる薬や移植方法。台湾と日本で違いはある?

 

東尾:不妊治療の際にお薬を使用すると思うのですが、沈先生が感じる台湾と日本との違いがあれば教えてください。

 

 

沈先生:体外受精の治療で目指しているところは台湾も日本も同じですが、個人的には採卵でいえば、日本の先生のお薬の量は少なめだと感じています。台湾の多くは今も注射がメインです。

 

また胚移植の際に、日本ではホルモン補充を目的としたエストラーナテープが用いられることがありますが、台湾ではテープはありません。ほとんどが飲み薬です。それから黄体ホルモン剤でいえば、台湾でも注射、膣剤、飲み薬を使いますが、私がお会いした日本の患者さまは、ほとんどの方が飲み薬であれば最後までの飲み薬、膣剤であれば最後まで膣剤を続けている印象があります。

 

東尾:基本的に胚移植はホルモン補充周期になりますか?自然周期を採用することもあるのでしょうか?

 

 

沈先生:レシピエントの状況次第になります。過去にあった例で言いますと、ホルモン補充周期になるレシピエントの方の状況には大きく2つあって、1つめは排卵するけれど卵子の質が悪いケース、2つめは排卵が正常にできないケースです。

 

ただ最近は台湾も患者さまの排卵のタイミングが規則的であれば、自然周期を採用することもあります。しかし排卵が規則的でもレシピエントの方の多くが高齢です。そのため患者さまとお話をして決めることになります。あまり多くの薬を使いたくないということであれば自然周期を選択することもあります。

 

東尾:自分はこういった胚移植が良いと思ったらお話させていただいて、それに沿った方法も検討していただけるということですね。

 

沈先生:ぜひ医師にご相談ください。皆さまそれぞれにご希望があると思いますし、お薬を実際に服用して、合う、合わないなども出てくると思います。例えば、膣剤を使ってかゆくなってどうしても使いたくないなどです。そういった場合でも、医師が責任をもって患者さまに合う最高の治療を提供いたします。治療の過程で何かあればぜひご相談ください。

 

東尾:胚移植の周期は子宮内膜が厚くならない時もあると思いますが、台湾だと飛行機の予約もあったりして、みなさんどうしているのでしょうか?

 

 

沈先生:そうですね。お薬を使い始めたけど内膜の育ち方があまり良くなかったり、レシピエントの体調が優れなかったりすることもあるかと思います。この時にも先ほど申し上げた日本でのバックアップクリニックがとても大事な存在になります。

少なくとも台湾に来てから、胚移植がキャンセルになることを避けられるメリットがあります。遠距離での治療の場合、日本での検査が終わり次第、こちらにご連絡いただければ、私たち医師が確認し、この周期での移植があまりおすすめできないといった中止の判断をします。そして再度日程を調整し、改めて移植に来ていただく、ということになります。

 

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今回は、台湾で卵子提供を用いた不妊治療を受ける場合、実際に何を準備しどう進めたらよいのかが具体的にわかりました。

次回は、年齢が若くても卵子提供を受ける人はいるのか?についてお伺いしていきます!

 

 

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