患者様の声に応え、無駄のない治療で妊娠を目指す|小塙医院
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妊活お役立ち情報
2024.04.22
クリニック
患者様の声に応え、無駄のない治療で妊娠を目指す|小塙医院【前編】
茨城県の小美玉市に構える小塙医院。長年、地域の産科、婦人科、外科など、地域に根ざした医療機関として多くの患者様の健康を支えてきました。今回は、小塙医院院長の小塙理人先生に、妊活の歩み方編集部がお話をお伺いしました。
地域に根ざした婦人科も兼ね備えた不妊治療クリニック
編集部:小塙医院について教えてください
小塙先生:小塙医院は茨城県小美玉市にあり、茨城県の中心の北寄りに位置します。祖父の代から婦人科、産婦人科として開院し、産科、婦人科、外科のある施設でしたが、父の代から生殖医療をスタートしました。現在は不妊治療はもちろんですが、妊娠前のプレコンセプションケアや、閉経後の更年期のサポートなども積極的に行っています。地域医療として全ての女性の健康と妊娠をサポートする施設として日々診療しています。
編集部:患者様の年齢層を教えてください
小塙先生:患者様はだいたい30代から40代の方が多くなっています。一番多いのは30代の前半~後半の方になります。患者様のおよそ9割が車で通院されています。そのため広い駐車場を完備しています。
編集部:病院の待ち時間を教えてください
小塙先生:平均30分程度お待ちいただいているかなと思います。受付からお会計が終わるまで、トータルで1時間くらいでしょうか。予約制となっており、ウェブから予約が可能です。
少ない待ち時間、無駄のない検査で患者様の負担を軽くしたい
編集部:治療の通院回数を教えてください
小塙先生:通常だとタイミングは、2週間に2~3回ほどご来院いただき、人工授精や体外受精は2週間に3~4回ほどで、1回ぐらい増えるぐらいかなというところです。
編集部:初診ではどんな検査を行いますか
小塙先生:一般的にやってるのは感染症の検査とホルモンの検査を行います。タイミング法に入る時に子宮鏡検査を1回実施させていただいています。意外と内膜の炎症があったり、ポリープがあったり、超音波で見てもわからないものなどがある場合もあるので、早期に対処することで、体外受精にいかなくてもタイミング法で妊娠できる可能性を探ります。早めに子宮鏡検査で診て、必要ならば手術をする、という方針にしています。
編集部:早めに体外受精に進まれた方が良いケースの場合どこまで検査されますか
小塙先生:AMHも含めて初診で診させていただきます。また、体外受精の前に子宮鏡検査も行います。
編集部:先生や看護師、培養士などスタッフの構成はどのような体制でしょうか
小塙先生:医師が私含めて3名います。2名は非常勤で週1回来ていただいています。私は週6日でおります。看護師が4名、培養士が4名、そしてカウンセラーが1名おります。
編集部:タイムラプスは導入されていますか?
小塙先生:当院はタイムラプスは導入しておりません。それも培養士のこだわりもありますが、タイムラプスは先進医療になって有名になりました。 タイムラプスを使った時に妊娠数が上がるかどうかという検討が海外でも色々されたのですが、結果、妊娠率自体は上がらないと言われています。胚の発生率に関しては上がる可能性がある、と言われていますが、それもビッグデータによると差はない*、という結果が出ています。
培養士の技術が良ければ、その技術に頼らなくても良い胚ができる、妊娠率が上がるという点で、タイムラプスを導入しなかった背景があります。
また、タイムラプスがどうしても無加湿でドライなインキュベーターが多く、ドライなインキュベーターですと浸透圧というのが上がって胚に影響することがあるので、当院では浸透圧変化を防ぐ加湿型のインキュベーターを使用しています。
一部加湿型のタイムラプスも販売されていますが、加湿型の従来のインキュベ-ターの方が保湿の点で優れているので当院は従来のインキュベーターを使用しています*。また、タイムラプスのように胚をできるだけ外気に触れないように観察回数を最低限にしており、胚発生に影響を及ぼさないように管理を徹底しております。
編集部:治療のステップダウンやステップアップについてのお考えについてお聞かせください
小塙先生:不妊治療のステップアップに関しては、多分ほとんどの施設と変わらないと思いますが、タイミング法で3~6回ぐらい行って、人工授精にステップアップをし、人工授精も、3~6回くらいです。
どうしても累積妊娠率が頭打ちになってくるので、年齢と共に考えますが、だいたい3~6回行って難しければ、次の段階にステップアップを検討します。また、年齢が40歳以上、AMHが1.2未満など、卵巣機能が低い方に関しては、早期に体外受精にステップアップするようにします。
ステップダウンは、結果がなかなか出ない方や、明らかに治療で疲弊しているというか、何回も通院して疲れている方、ご夫婦で治療方針が異なっている場合は相談の上でステップダウンという選択肢も推奨しています。
奥様は体外受精をやりたいが、ご主人が同意しないケースや、逆にご主人が体外受精をやりたいが、奥様が反対するといった場合はまずお二人と相談します。お二人の方針が合っていないとなると、お金をかける治療ですし、しっかり相談した上でステップダウンという選択肢も検討します。
セカンドオピニオンもまずはオンラインで対応可
編集部:オンライン診療はされていますか?
小塙先生:はい、行っています。ウェブからご予約をいただいて、オンライン相談を中心に行っています。セカンドオピニオンや他のクリニックに通院されている方の対応と不妊治療をしたことがない方の御相談にのらせていただいています。体外受精のオンデマンド説明会は初診受診後にご案内しております。
*オンライン相談はこちらからご予約いただけます。
編集部:セカンドオピニオンでは、転院などを検討している場合、検査の結果など前の病院で行った検査結果は使えますか?
小塙先生:検査結果は是非お持ちいただきたいです。最近行った検査はもちろん採用させていただきますし、精液検査などはクオリティが変わったりするので、もう1回行うことがありますが、基本的には持ってきていただけます。逆に、患者様がセカンドオピニオンに他院へ行く場合でも、検査結果をお渡しするようにしています。セカンドオピニオンに関しては自費診療で対応しています。
編集部:二人目不妊のご対応はいかがでしょうか
小塙先生:待合室でお子様がいらっしゃると良い気持ちがしない患者様もいらっしゃるため、保育所と連携して預けられるような体制をとっています。費用に関しては、各連携の保育所でお支払いをいただいています。
妊活前にプレコンセプションケア外来や無料不妊相談も
編集部:プレコンセプションケア外来はやっていらっしゃいますか?
小塙先生:ブライダルチェックをしたいと思っている方や、子宮がん検診で来る方がご来院されます。最近では、プレコンセプションという呼び方自体が徐々に広まってきてはいますが、まだ分からない方もいらっしゃるので、当院ではブライダルチェックという呼び方で実施しています。
編集部:無料で不妊相談も行っていらっしゃいますが、どのような方のご相談が多いですか
小塙先生:はい。20代の方から、30代前半の方が多いですね。結婚していないけれども、不妊症の可能性のある方もいらっしゃいます。生理痛が酷いので不妊症になるのではないかとか、内膜症があるので不妊症なのではないか、など心配されている方がいらっしゃいます。また、妊娠したいけれど生理がこない、といったアスリートの方が相談されます。
編集部:男性不妊外来がありますが、どういった治療をされていますか?
小塙先生:TESEの手前まで、例えば、血流がどうか、腫瘍がないか、精液分析、ホルモン値の計測などの診察までは泌尿器科の先生が行っています。TESEや精索静脈瘤の手術が必要な場合は、つくば学園病院と連携しており、紹介状をお渡しして連携治療を行なっております。
*参考文献
Zhang XD, Zhang Q, Han W, Liu WW, Shen XL, Yao GD, Shi SL, Hu LL, Wang SS, Wang JX, Zhou JJ, Kang WW, Zhang HD, Luo C, Yu Q, Liu RZ, Sun YP, Sun HX, Wang XH, Quan S, Huang GN. Comparison of embryo implantation potential between time-lapse incubators and standard incubators: a randomized controlled study. Reprod Biomed Online. 2022 Nov;45(5):858-866. doi: 10.1016/j.rbmo.2022.06.017. Epub 2022 Jun 28.
ESHRE Working group on Time-lapse technology; Apter S, Ebner T, Freour T, Guns Y, Kovacic B, Le Clef N, Marques M, Meseguer M, Montjean D, Sfontouris I, Sturmey R, Coticchio G. Good practice recommendations for the use of time-lapse technology†. Hum Reprod Open. 2020 Mar 19;2020(2):hoaa008.
Bossi RL, Pinto BCV, Sampaio MAC, Geber S. How to optimize culture media osmolality during Assisted Reproductive Technologies treatments. JBRA Assist Reprod. 2023 Mar 30;27(1):35-40. doi: 10.5935/1518-0557.20210123.
今回お話をお伺いした先生
小塙先生の座右の銘:学生時代から変わらず「初心忘れるべからず」。何かを始める時、医師になる時、生殖医療を始める時もそうですが、何を大事にしていたか、というのを忘れないようにしています。そこを忘れてしまうと目標を見失ってしまうと思っています。休みの日は、筋トレやランニング、妻との買い物などでリフレッシュしています。
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地域に根ざして、不妊治療から更年期まで幅広く対応されている小塙医院。時代と共に保険適用などの対応も臨機応変に行いながら、様々な患者様のご要望に応えながら診察されています。次回は、研究者でもある小塙先生による、不妊治療のプロトコルのためのアプリ開発のお話や、小塙医院での不妊治療についてより詳しくお伺いします。
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