妊活中・不妊治療中のお酒は控えるべき?アルコールと妊娠しやすさの関係を解説

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2026.08.07

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妊活中・不妊治療中のお酒は控えるべき?アルコールと妊娠しやすさの関係を解説

「妊活中や不妊治療中は、お酒をやめた方がいいのでしょうか」不妊治療の現場でも、このような質問を受けることは少なくありません。

先に結論からいうと、少量飲酒については研究結果が一致しておらず、明確な「安全量」は分かっていません。

一方で、大量飲酒や飲酒頻度の高い習慣は、妊娠しにくさや体外受精(IVF)の成績低下と関連する可能性があると考えられています。特に、排卵後、胚移植後、妊娠の可能性がある時期、そして妊娠が分かった後は、できるだけ控える方が安心です。

男性の多量飲酒も精液所見やホルモンに影響する可能性があるため、夫婦で一緒に見直していくことが大切です。
今回は、アルコールが妊活や不妊治療にどのような影響を与えるのか、その理由や体外受精との関係、控え方のポイントまで分かりやすく解説していきます。

妊活中にお酒を飲んでいる人はどれくらい?

まず、日本の現状を見てみましょう。
近年、日本では女性の飲酒率は少しずつ増加しているとされています。背景には、女性の社会進出やライフスタイルの変化などがあると考えられています。


その一方で、妊活中や不妊治療中になると、飲酒との向き合い方に悩む方は少なくありません。


日本で体外受精(ART)を受けている女性を対象とした調査では、何らかの飲酒があった方は32.4%、習慣的な飲酒があった方は15.5%でした
このことから、妊娠を希望した段階で自ら飲酒量を見直している方もいる一方で、治療中でも飲酒を完全にやめるのが難しい方が一定数いることが分かります。


また、この調査では、男性パートナーに現在の飲酒習慣がある場合、女性にも飲酒習慣がある可能性が高いことが示されました。
ですから、妊活中の飲酒は女性だけの問題ではなく、夫婦で生活習慣を見直す視点が大切と言えるでしょう。

アルコールが自然妊娠や体外受精に与える影響

アルコールが健康に影響することは知られていますが、実は妊娠のしやすさや不妊治療とも関係している可能性があります。ここからは、自然妊娠や体外受精にどのような影響が考えられているのかを見ていきましょう。

1,自然妊娠への影響

女性では、飲酒量が多い場合に、妊娠までの期間が長くなることや、排卵、月経周期、黄体機能に影響する可能性が報告されています。


また、飲酒量が多いほど、ホルモンバランスの乱れや排卵障害、月経不順、流産リスク上昇との関連が示唆されています。
一方で、少量飲酒については影響が明確でない研究もあり、まだ結論ははっきりしていません。


そのため、「少しなら絶対に大丈夫」と言い切ることも、「少量でも必ず悪い」と断定することも難しいのが現状です。

2,体外受精への影響

体外受精(IVF)においても、アルコールが採卵数や妊娠率、出生率に影響する可能性が指摘されています。特に、排卵期や黄体期の多量飲酒が、妊娠しやすさの低下と関連したとする報告もあります。


一方で、すべての研究で同じ結果が出ているわけではなく、治療成績との関係はまだ検討が続いている段階です。


ただ、少なくとも大量飲酒や一度にたくさん飲むのは、妊活中・不妊治療中ともに避けた方がよいと考えるのが自然です。

また、男性側の生活習慣も治療成績に関わる可能性が報告されています。特に精液検査の所見に影響が出る可能性が示唆されており、精子数の減少、精子運動率の低下、精子DNA断片化の増加、テストステロン(男性ホルモン)の低下、勃起不全(ED)のリスク上昇などが知られています。

ですから、女性だけが頑張るのではなく、パートナーと一緒に見直していくことが大切です。

妊活中・不妊治療中のお酒はどこまで控えるべき?

ここは、多くの方が一番気になるところだと思います。
現時点では、少量飲酒の影響は研究結果が一致しておらず、「妊活中でもこの量なら安全」と言い切れる明確な基準はありません。

①妊娠を考えている時期

ASRMは、妊娠を希望する女性では1日2杯を超える飲酒は避けるのが望ましい一方、それ以下の飲酒の影響についてはまだはっきりとは言えないとしています。


男性でも、多量飲酒は精液所見やホルモンへの悪影響が問題になるため、まずは大量飲酒や一度にたくさん飲むのを避け、普段より少なめを意識するところから始めるのが現実的です。

②排卵後・胚移植後・妊娠の可能性がある時期

研究によっては、月経周期の後半(黄体期)や排卵期の多量飲酒が、妊娠しやすさの低下と関連したとする報告がありますが、妊娠が成立した後の飲酒の安全量はまだありません。

なので、排卵後や胚移植後は、すでに妊娠している可能性も考えて、できるだけ控えましょう。

アルコールはなぜ妊娠しにくさに関係するの?

アルコールが妊娠のしやすさに影響する仕組みは、まだ完全には解明されていません。
ただ、背景にはいくつかのメカニズムが考えられています。

①アセトアルデヒドによるダメージ

アルコールは体内で分解される際に、アセトアルデヒドという有害物質を生じます。
このアセトアルデヒドは二日酔いの原因として知られていますが、同時に酸化ストレスを増やし、卵子や精子を含む細胞にダメージを与える可能性があります。


さらに、日本人にはアセトアルデヒドを分解する酵素(ALDH2)の働きが弱い方が少なくないため、人によっては同じ量でも影響を受けやすい場合があります。

②ホルモン分泌への影響

卵子や精子は、脳(視床下部・下垂体)と卵巣・精巣から分泌されるホルモンによって細かくコントロールされています。

HPG軸(視床下部-下垂体-性腺軸)と呼ばれる仕組みですが、アルコールはこのホルモンバランスを乱し、卵子形成や排卵、精子形成に影響を及ぼす可能性があります。


③体重増加や肥満を介した影響

アルコール飲料は意外と高カロリーで、飲酒によって食欲が増し、おつまみが進みやすくなることもあります。例えば、ビール中ジョッキ1杯は、おにぎり約1個分のエネルギーがあるとされています。


こうした積み重ねで体重増加につながると、肥満を介して妊孕性に影響する可能性も出てきます。肥満そのものも妊娠しにくさと関係することが知られているため、アルコールは間接的にも影響している可能性があります。


さらに、男性では慢性的・多量の飲酒が、精液量や精子運動率、精子形態、テストステロン低下などと関連する可能性も報告されています。

改善するには?

妊活中や不妊治療中の飲酒は、「絶対に飲んではいけない」と0か100かで考えるよりも、まずは飲酒量や飲酒頻度を少しずつ見直していくことが大切です。

①飲み方の見直し

まずは、家にお酒を買い置きしない、ノンアルコール飲料を活用する、休肝日をつくるなど、続けやすい工夫から始めてみましょう。
お酒以外のストレス解消法を増やしたり、パートナーと一緒に取り組んだりするのも、無理なく続けるためには大切です。


妊活中だからといって完璧を目指しすぎず、「いつもより少なめ」「飲まない日を増やす」を意識するだけでも一歩前進です。
また、治療中、特に採卵前後や胚移植周期の飲酒については、処置や内服との兼ね合いもあるため、主治医や通院先の案内に従ってください。


ただ、一度飲んでしまったからといって必要以上に自分を責めず、次から整えていく視点を持つことも大切です。気になることがあれば、施設に直接確認すると安心です。

②医療機関への相談

飲酒量が多くてなかなか減らせない場合や、ストレスや睡眠の問題が背景にある場合は、主治医に相談してみてください。


また、排卵障害や月経不順、精液所見の低下などがある場合も、生活習慣の改善だけに頼らず、婦人科や生殖医療専門医に相談してみるのがよいでしょう。体外受精治療では、疑問点をそのままにせず、納得しながら治療を進めていくことも大切です。

必要に応じて、栄養や生活習慣全体を含めたサポートを受けることができます。

【まとめ】

現在の研究では、大量飲酒や飲酒頻度の高い習慣は、男女ともに妊孕性を低下させる可能性があり、体外受精(IVF)の成績にも影響する可能性があります。


一方で、少量飲酒の影響ははっきりしていません。
まずは大量飲酒を避け、排卵後・胚移植後・妊娠の可能性がある時期は控えること、そして無理のない範囲で飲酒量を減らしていくことが大切です。
必要に応じて、主治医や通院先のスタッフと相談しながら、自分に合った方法を考えていきましょう。

【引用】

1.厚生労働省 健康に配慮した飲酒に関するガイドラインについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38541.html
2.日本産婦人科医会 妊娠中の飲酒について
https://www.jaog.or.jp/lecture/10-%E5%A6%8A%E5%A8%A0%E4%B8%AD%E3%81%AE%E9%A3%B2%E9%85%92%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/
3.Sato M, et al. Risk Factors for Alcohol Consumption after Starting Assisted Reproductive Technology Treatment among Japanese Women. Int J Environ Res Public Health. 2023;20(24):7152. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10742806/
4.ASRM. Optimizing natural fertility: a committee opinion. 2022.
https://www.asrm.org/practice-guidance/practice-committee-documents/optimizing-natural-fertility-a-committee-opinion-2021/
5.ESHRE Press Release. Drinking alcohol is linked to reduced chances of pregnancy. 2021.
https://www.eshre.eu/Press-Room/Press-releases-2021/alcohol_fertility
6.Nguyen-Thanh T, et al. Investigating the association between alcohol intake and male reproductive function: A current meta-analysis. Heliyon. 2023;9(5):e15723.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10163664/
7.Lubau NSA, et al. Investigation of Uncovering Molecular Mechanisms of Alcohol-Induced Female Infertility-A Rational Approach. Reprod Sci. 2024;31(12):3660-3672.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11611948/

本日お話をおうかがいした方

塚田寛人

大学卒業後、検査会社にて動物検査業務に従事。その後、医療法人三秀会中央クリニックにて胚培養士として勤務。また、クリニック開業時の培養室立ち上げにも参画。現在は川越レディースクリニックで医療部マネージャーを務めながら、高度生殖補助医療(体外受精)や妊活に関するオンライン相談を行い、患者様支援に幅広く携わっている。

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