ブライダルチェックって何?いつやるべき?

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2025.04.04

基礎知識

ブライダルチェックって何?いつやるべき?

妊活を始めたての方の中には「私ってそもそも妊娠できるのだろうか?」と漠然とした不安を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。そこでそんな方に知って頂きたい「ブライダルチェック」について、元培養士の塚田寛人さんから詳しくお届けします。

妊活について調べると、「ブライダルチェック」というワードが目に付くようになってきていますね。
特に婦人科や産婦人科、不妊治療専門クリニックHPには、実際の費用とともに掲載されていることも多いと思います。

ブライダルは結婚という意味ですから、ブライダルチェックは妊活に関わる検査なんだろうなというのはわかると思いますが、その検査で何がわかるのか、何故クリニックでは推奨しているのかというのは文字だけでは中々わかりにくいかと思います。

そこで、今回はブライダルチェックを行う目的や、費用、そして助成金の有無について見ていきたいと思います。

ブライダルチェックとは


ブライダルチェックとは、自分の健康状態を知り、妊娠や出産に適した体かどうかを調べる検査です。あくまでも自分の身体を知るための検査ですから、治療ではありません。

そのため、ブライダルチェックをされる方には、結婚後に将来妊娠を望むカップルや、結婚予定のカップル、過去の病気などにより妊娠できるか不安な方などが多く含まれていますが、そういった方ではなくとも、「今の自分の身体を知る」目的でブライダルチェックを受ける方もいらっしゃいます。このような場合は、「今の自分の身体を知る」ことで、結婚や妊娠に自分のキャリアも含めた人生計画の参考として利用されているようです。

ブライダルチェックはどこで受けられる?


ブライダルチェックについてお話をすると、必ず「ブライダルチェックはどこで受けることができますか?どこで受けても一緒ですか?」と質問をいただきます。答えはNoです。ある程度の検査項目は一緒なのですが、細かい部分で異なることがあります。

まず、ブライダルチェックを受けることができる主なクリニックは、
婦人科クリニック
不妊治療専門クリニック
泌尿器科クリニック
男性クリニック
ですが、他にもブライダルチェックを受けることができる医療機関はありますが、大きくはこれらでしょう。婦人科クリニックと男性クリニックでは検査内容が若干異なり、婦人科クリニックでは女性の子宮検査ができるものの、男性クリニックでは行っていないなどがあります。

男性クリニックの中には、それ以外の検査(性感染症やホルモン検査、風疹など)を女性向けブライダルチェックとして提供しているクリニックもあります。

このように、医師の専門性による違いもありますから、もしブライダルチェックを受けたい場合はクリニックHPで調べてから通院することをおすすめします。
次はブライダルチェックの目的について見ていきながら触れていきましょう。

ブライダルチェックの目的とは?


ブライダルチェックの検査内容の目的は大きく3つにわけられます。

1, 妊孕性を調べる
2, 妊娠や出産に関わる婦人科系疾患の早期発見
3, 妊娠中の胎児への感染が懸念される、妊娠への悪影響が考えられる感染症の発見

です。

1、 妊孕性を調べる
2や3も妊孕性を調べる目的としても当てはまるのですが、ここでは切り離してご説明します。妊孕性とは「妊娠するために必要な能力を持っているか」です。

卵巣内に眠る卵子の数や、妊娠に関係するホルモンが正常かどうか調べるといったことがイメージしやすいかと思いますが、男性の精液検査も当てはまります。

妊孕性というと、女性だけをイメージしがちですが、妊娠は卵子と精子がなければ絶対に起きません。つまり、男性側にも妊孕性というワードは当てはまるのです。実際に射出精液内に精子がいない、少ないといったこともありますから、早めに調べる必要があると言えます。


ブライダルチェックを行っているクリニックHPを見てみると、女性用ブライダルチェックと男性用ブライダルチェックをわけて費用と共に掲載していることもありますから、それだけ男性の検査も重要と考えられていると言えるでしょう。

2、 妊娠や出産に関わる婦人科系疾患の早期発見
妊娠や出産は、卵子や精子の有無だけでなんとかなるものではありません。
例えば、卵子と精子が合わさり(受精)、成長した後は子宮の子宮内膜という部分に着床し妊娠しますが、子宮内に課題があった場合は着床ができず、妊娠できない要因になり得ます。


また、子宮内に筋腫があった場合は、妊娠後の胎児発育遅延の懸念、更には早産や分娩障害のリスクが高まることが知られています。

他にも子宮頸がんの検査もこちらに含まれます。子宮頸がん初期の早期発見は症状がないために自身で気づくことが難しいことが知られています。妊娠中に発覚することもあり、その場合の判断が非常に難しいこともあるため、妊娠前に前もって検査をして場合によっては治療をされたほうがいいと指導する医師もいます。

3、 妊娠中の胎児への感染が懸念される、妊娠への悪影響が考えられる感染症の発見
梅毒という感染症を聞いたことがありますか?代表的な性感染症の1つで、近年梅毒が流行しているとの報道もあり、知っている方は少なくないと思います。

多くは性行為によって感染し、感染したまま妊娠をすることで母子感染により流産,、死産、早産、そしてさまざまな先天異常および罹患率などの深刻な結果を引き起こすことが知られています。

梅毒以外にもクラミジア、淋菌、マイコプラズマ、トリコモナス、HIV、B型肝炎、C型肝炎の感染の有無を調べる検査もあります。特にB型肝炎やC型肝炎においては、男性側も検査することがあります。

B型肝炎ウイルスに感染した男性は、男性不妊になるリスクが高いことが報告されていることから、必要を感じたら検査をしてみるといいかもしれませんね。

ブライダルチェックのもう一つのメリット


ブライダルチェックは、自分の健康状態を知り、妊娠や出産に適した体かどうかを調べる検査であると同時に、「もし課題があった場合にそのまま医師に相談できる、診療ができる」という大きなメリットもあります。

課題あれば、すぐにその治療を行う環境がある

というのは非常に有用かと個人的に考えています。イメージとしては、一般的な健康診断と同様にお考えいただくといいでしょう。

ブライダルチェックは、課題を見つけその治療を行うことができるツールとして早めに受けてもらった方が良いという医師もいるほどです。その背景には、不妊で悩む患者さんの姿があります。

不妊治療を受ける患者さんとお話をすると非常に多いのが、
「もっと早く受診しておけばよかった」
「もっと早く治療をしておけばよかった」
という声です。
それと同時に、医師や医療者も、「もっと早く受診してほしかった」と思うことも少なくないのです。

妊娠しない、というのは身体の不調が出るものではありません。それゆえ、何度かトライすれば子どもができるだろうと考える方も少なくありません。 また、流産しても、次大丈夫だろうと個人で考えてしまうケースもあります。

ですが、その中でうまく妊娠と出産をされる方がいる一方で、大きな不妊になる課題が隠れていることもあることは知っておいてもいいのかもしれません。

しかし、費用がかかるということも検査をあきらめてしまう要因の1つだと思います。

ブライダルチェックの費用

ブライダルチェックのお金について
ブライダルチェックは、自由診療、つまり完全な自費になります。〇〇症や風邪といったことを治療する目的ではなく、イメージとしては健康診断と同様ですから、自由診療になります。

そして、それはクリニック毎に検査費が異なることに繋がっています。
大体どのクリニックでも30,000~40,000円、高くとも50,000円程度で受けることができます。

クリニックによっては、目的別、もしくは検査内容によって複数のコースが選択できるようになっていますから、もし迷われた場合は一度クリニックにお問合せいただき、説明をうけてからコースを選択していただければと思います。

また、自治体によっては、助成金を設けていることもありますので、お住まいの自治体HPにてご確認ください。

※東京都では、「将来の妊娠に向けてヘルスチェックを行いたい、といった検診目的で受けたブライダルチェック等は対象になりません。」とあるように適応があるようなので、詳しくは自治体もしくは検査実施機関にお問合せください。

参考:「埼玉県新ウェルカムベイビープロジェクト関連事業早期不妊検査・不育症検査に関する助成制度」
・早期不妊検査費助成事業
男女そろって受けた不妊検査費用を助成。
※助成要件等は実施市町村によって異なる場合があります。申請前に必ずお住まいの市町村へお問い合わせください。
※ブライダルチェックにつきましては、一般的に明確な定義がなく、検査項目、対象者等様々な内容で行われているようですので、県で実施している助成事業の要件や検査対象に該当するかは判断ができません。受診される医療機関にご相談いただくとともに、助成制度の詳細については、お住まいの市町村の担当窓口にお問い合わせください。

引用:新ウェルカムベイビープロジェクト関連事業(早期不妊検査・不育症検査に関する助成制度 ) - 埼玉県

最後に


ブライダルチェックは、自身の身体を知るきっかけになると同時に、もし課題があれば、すぐに医師に相談できるという大きなメリットがあります。 特に赤ちゃんを希望する際は、まず受けてみるという選択も、妊活のスタートと言えるのではないでしょうか。

妊娠やその後の出産に至る道のりは、カップル毎に大きく異なります。かかる期間も大きく変わってきます。

不妊の要因があるのに、それを知ってから妊娠を目指すのと、知らないで妊娠を目指すのでは、かかる期間も大きく異なってくるでしょう。

そういう人もいる、という認識ではなく、自分がそうかもしれない、という意識を持って早めに自分の体について知ってもらうきっかけとして、ブライダルチェックを利用してもらいたいなと個人的には思います。

次回以降は、ブライダルチェックの検査の内容をもっと掘り下げていきたいと思います。

本日お話をおうかがいした方

塚田寛人

大学卒業後、検査会社にて動物の検査業務を担当。その後、医療法人三秀会中央クリニックにて胚培養業務に従事。クリニック開業に伴う、培養室立ち上げにも参画。現在は、高度生殖補助医療(体外受精)や妊活で悩む方へのオンライン相談やのほか、株式会社QOOLキャリア(https://career.qo-ol.jp/)へ協力し、企業に勤める女性へ医療情報を提供するなどのサポートを行っている。

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