不妊治療にかかる費用と助成金|不妊治療とお金の現実〜損をしないためのケーススタディ〜
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妊活お役立ち情報
2024.12.13
不妊治療
不妊治療にかかる費用と助成金|不妊治療とお金の現実〜損をしないためのケーススタディ〜
目次
不妊治療をはじめることになったけど、費用が心配…。 不妊治療が予想していた以上に費用がかかることがわかり仕事を増やそうか悩み中…。 子どもは欲しいけど、治療でお金がかかると、その後の育児へのお金が心配…。 このような悩みをお持ちの方少なくないのではないでしょうか?
今回は、不妊治療にかかる費用や助成金について、元胚培養士で、現在は妊活で悩まれている方や不妊治療を受けている方、治療と仕事の両立に悩む方へのサポートを精力的に行っている、株式会社QOOLキャリアの塚田寛人さんが解説します。
体外受精の保険診療化!実際の費用はどのくらい?
不妊治療、とくに体外受精治療は高額な治療費がかかることが知られています。 2022年に不妊治療内、生殖補助医療技術(体外受精)が保険診療化され、適用範囲内であれば診療にかかる費用が、かかった診療費の3割となったことで、治療をうける方にとっては、体外受精を受けるハードルが下がったように思えます。
実際にかかる体外受精費用を見てみましょう。
例:41歳の女性が体外受精を受ける場合の試算
【採卵周期スタート~採卵まで】
① 採卵周期スタート~採卵
エコー費用①:約1,600円
エコー費用②:約1,400円
エコー費用③:約1,400円
② 採卵(9個採卵できる)
③受精5個をふりかけ法で、4個を顕微授精法で受精を試みる
④胚培養(8個受精し、6個を胚盤胞培養する)
1) 初期胚培養
2)胚盤胞培養(培養3日目~凍結まで)
⑤胚凍結保存(3個を凍結する)
【移植】
⑥移植周期開始~移植まで(3回通院する)
エコー費用①:約1,600円
エコー費用②:約1,400円
エコー費用③:約1,400円
⑦移植(凍結胚移植を行った)
凍結胚移植:36,000円
アシステッドハッチング:3,000円
高濃度ヒアルロン酸含有移植用胚培養液:3,000円
【その他】
薬剤費や管理料など:+α
【合計】
約200,000円
1回の採卵と1回の移植で、約200,000円かかりました。実際は、採卵できた卵子個数や顕微授精を行った卵子個数、培養を行った受精卵の数…などによって費用は変わってきます。個数が多くなれば費用は高くなり、少なくなれば費用はよりかからなくなります。
また、保険診療と併用して使用できる「先進医療技術」もおこなった場合、更に費用は高額になります。
不妊治療と併用できる、先進医療とは?
先進医療とは、保険診療治療と併用できる特殊な技術のことで妊娠率や流産率などの改善を期待される技術です。 しかし、誰でも、いつでも、どこの治療施設でも受けられるわけではありません。患者さんに適応があり、胚が育たない、移植しても妊娠しない、妊娠しても流産を繰り返すなどの場合が適応となります。 そして、治療施設によって設定している費用が異なることも特徴です。
現在不妊治療では13項目が登録されています。
このように、先進医療を利用した場合は、保険診療費だけではなく、高額な費用がかかってきます。先進医療に認定された技術は、施設毎に自由に料金設定ができるため、金額については各施設にご確認ください。
不妊治療の費用負担が大きい!どうしたら?
保険診療になり費用負担が少なくなったとはいえ、まだまだ厳しいと感じる方も少なくないのではないでしょうか?
また、先進医療を利用する、となった場合は更に費用がかさみます。しかし、これらの費用を地方自治体などが助成する動きもあります。
保険適用なのに高額な助成をする自治体も
保険適用前まで、不妊治療にかかる費用を国が助成する助成金制度がありましたが、保険診療化後には廃止されています。 当時の助成金は、定額(約50万円)ほどの支給もあったことから、保険診療で受診する不妊治療の方が逆に家計に打撃だと考える方もいるようです。 そこで、自治体によっては独自の助成金を設けることもあります。
不妊治療に助成を行う地方自治体の例
北海道
●保険適用の不妊治療と併用して実施した費用
・先進医療にかかった自己負担分の10分の7(35,000円を上限)
●自宅から医療機関までの距離が片道25kmを超える方の交通費
・距離に応じた交通費等の一部
●不育症に関する治療や検査を受けている方
・不育症治療費(1回につき上限100,000円)
・申請期限:1回の検査・治療の終了毎に、終了した日の翌日から60日以内
北海道の助成金、詳細はこちら>>
東京都
●保険医療機関にて行った不妊検査及び一般不妊治療にかかる費用
・夫婦1組につき1回限り(50,000円を上限)
・申請期限:検査開始日から1年以内
●保険診療(体外受精・顕微授精)と併せて実施した「先進医療」にかかる費用
・1回の治療につき、自己負担額の7割まで(150,000円を上限)
・申請期限:「1回の治療」が終了した日の属する年度末3月31日
●保険医療機関にて行った対象となる不育症検査にかかる費用
・夫婦1組につき1回限り(50,000円を上限)
・申請期限:検査終了日から6か月以内
東京都の助成金、詳細はこちら>>
長野県
●夫婦がともに受けた不妊に関する費用の一部
・一組の夫婦につき1回まで(25,000円を限度)
・申請期限:検査が終了した日の翌日から90日以内
●保険診療と併用可能な先進医療費用の一部
・先進医療費分自己負担額の2分の1(50,000円を上限)
・申請期限:検査が終了した日の翌日から90日以内
●不育症の診断に係る検査及び治療に要する費用の一部
・1回の妊娠に係る検査及び治療(1回につき50,000円を上限)
・申請期限:検査が終了した日の翌日から90日以内
●先進医療として実施される不育症検査を対象に、費用の一部
・1回の検査に要した費用の10分の7(60,000円を上限、千円未満切捨て)
・申請期限:検査が終了した日の属する年度内
長野県の助成金、詳細はこちら>>
補足:長野県松本市で単独で行っている助成金
●松本市在住、申請年度内に不妊治療を行ったご夫婦(事実婚関係にあるものを含む)に対する治療費の一部
・保険適用分の自己負担額の3分の2を助成(300,000円を上限)
・補助の申請は、一夫婦につき年度内に1回となり、通算5年度助成
・申請期限:年度の最終治療日から6か月以内
※長野県へ申請する前に市町村等から助成を受けた場合、長野県からの助成を受けることができないことに注意。詳しくは松本市にお問合せください。
松本市の助成金、詳細はこちら>>
栃木県
●先進医として実施される不育症検査の費用の一部
1回の検査に要した費用の10分の7(60,000円を上限、千円未満切捨て)
申請期限:検査が終了した日の属する年度内
補足:栃木県宇都宮市で単独で行っている助成金
●宇都宮市在住、妻が42歳未満の不妊治療を行ったご夫婦(事実婚関係にあるものを含む)に対する治療費の一部
・初回:保険適用分を含む自己負担額、10割を助成(450,000円を上限)
・2回目以降:保険適用分を除く自己負担額の7割を助成(300,000円を上限)
※混合診療(保険適用の治療と先進医療を併用)の場合は、先進医療に対し70,000円を上限に助成
・補助の申請は、一夫婦につき年度内に1回となり、通算5年度
・申請期限:1回の治療ごとに治療終了日の翌月から翌年の治療終了日同月まで
宇都宮市の助成金、詳細はこちら>>
富山県
●不妊治療の開始時の妻の年齢が40歳未満である場合の保険適用外となる通算7回目以降の治療
1回の治療の費用(300,000円を上限)
申請期限:治療が終了した日の属する年度の末日
●先進医療として実施される不育症検査を対象
1回の検査に要した費用の10分の7(60,000円を上限、千円未満切捨て)
申請期限:検査が終了した日の属する年度の末日
富山県の助成金、詳細はこちら>>
補足:富山県南砺市で単独で行っている助成金
●南砺市にご夫婦どちらかが在住、妻が43歳未満の不妊治療を行ったご夫婦(事実婚関係にあるものを含む)に対する治療費
・治療に要した費用の一部(令和6年4月1日から令和7年3月31日まで、300,000円を上限)
・申請期限:令和7年9月30日
南砺市の助成金、詳細はこちら>>
鳥取県
●夫婦そろって不妊検査を受けた場合の検査費用の一部
・保険適用外となる費用の全額(26,000円を上限)
・申請期限:治療終了日が令和6年4月1日~令和7年1月31日の場合は、令和7年3月31日(月)の正午まで
・令和7年2月1日~令和7年3月31日の場合は、令和7年5月30日(金)の午後5時15分まで
●体外受精及び顕微授精のうち、保険適用外となる治療(先進医療)に要した費用の一部
治療1回につき(50,000円を上限)
・申請期限:治療終了日が令和6年4月1日~令和6年12月31日の場合は、令和7年3月31日(月)の正午まで。
・令和7年1月1日~令和7年3月31日の場合は、令和7年5月30日(金)の午後5時15分まで。
●自由診療で実施された治療
・治療1回分の費用(採卵できない場合は110,000円、採卵できた場合は300,000円を上限)
もしくは保険適用回数または前述の助成上限回数を超えた治療費(100,000円を上限)
・申請期限:治療終了日が令和6年4月1日~令和6年12月31日の場合は、令和7年3月31日(月)の正午まで。
・令和7年1月1日~令和7年3月31日の場合は、令和7年5月30日(金)の午後5時15分まで。
●不育症検査費用の助成
・1回の検査分(60,000円を上限)
・申請期限:検査をされた年度内(4月1日から翌年3月31日)まで
鳥取県の助成金、詳細はこちら>>
島根県
●保険診療として行われる生殖補助医療と併せて行われる先進医療の一部
・1回の治療周期における先進医療(50,000円を上限)
・申請期限:治療が終了した日の属する年度内
●保険適用外の男性不妊検査に係る費用の一部
・男性不妊検査の一部(28,000円を上限)
・申請期限:検査が終了した日の属する年度内
●先進医療として実施された不育症検査を受けた場合、その費用の一部
・1回の検査(60,000円を上限)
・申請期限:検査が終了した日の属する年度内
島根県の助成金、詳細はこちら>>
その他にも不妊治療の助成金を行っている地方自治体もありますので、下記をご参考にしてください。
都道府県の助成金について│不妊治療情報センター参照
助成金の他にも、高額療養費制度によって保険でかかった費用を国が補助する制度もあります。
高額療養費制度
保険適用内で医療機関や薬局でかかった費用が、一カ月で上限額を超えた場合、その超えた金額を国が支給する制度です。金額が超える月が多くなった場合は、更に費用支給が多くなることもあります。
※上限額は、年齢や所得によって異なります。 加入している公的医療保険(健康保険組合、国民健康保険など)に、申請・手続きを行う必要があります。 最後に 体外受精が保険診療となり、患者さんの費用負担が大幅に軽減されるようになりました。
しかし、治療そのものにかかる費用が高額のため、保険診療となった後も、高額な費用が家庭の負担になってしまうことで治療断念をされる患者さんはまだまだ少なくありません。
クリニックの医師によっては、 「保険診療の回数制限が、治療を断念するきっかけにもなっている。もう少し治療をすれば子どもが授かれるかもしれないのに…。と思う事も少なくない」とこぼすこともあります。 助成金や高額療養費制度、民間の保険などを利用することも必要なのかもしれませんね。
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本日お話をおうかがいした方
塚田寛人
大学卒業後、検査会社にて動物の検査業務を担当。その後、医療法人三秀会中央クリニックにて胚培養業務に従事。クリニック開業に伴う、培養室立ち上げにも参画。現在は、高度生殖補助医療(体外受精)や妊活で悩む方へのオンライン相談や、妊活製品や不妊治療記事の監修など多角的に活動している。
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