年齢が若くても卵子提供を受ける人はいる?

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2024.08.30

不妊治療

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年齢が若くても卵子提供を受ける人はいる?#5|NUWA生殖医療センター

不妊治療を経験した東尾理子が、妊活に役立つアイテムや取り組みについて、関係者にさまざまな角度から質問を投げかけ深掘りしていく連載です。

今回は台湾最大規模のグループ生殖医療センター「NUWA生殖医療センター(以下、NUWA)」台北院の沈孟勳(シェン・モンシュン)副院長と東尾理子の対談を、全6回でお届けします。

 

前回は台湾で卵子提供を用いた不妊治療を受ける場合のプロセスについて伺いました。

 

5回目は年齢が若くても卵子提供を受けるケースがあるのか、また台湾の若い世代の卵子凍結など妊活への意識について迫ります。

 

  • >>卵子バンクとは?台湾の卵子提供による不妊治療事情#1はこちら
  • >>卵子提供での不妊治療。卵子数や胚盤胞到達率、妊娠率は?#2はこちら
  • >>卵子提供での不妊治療。台湾のNUWA生殖医療センターの特徴 #3はこちら
  • >>日本から台湾で卵子提供を用いた不妊治療を受けるまでの流れ #4はこちら

若い世代も卵巣機能の状態では卵子提供を受けることもある?

東尾:卵子提供での不妊治療は、これまでいろいろと不妊治療を重ねて結果が出ずにいる人が次のステップとして考えるものと捉えていましたが、年齢が若い方でも卵子提供を受けるケースもけっこう増えているのでしょうか?

沈:おっしゃる通り、レシピエントの傾向としては、30代で体外受精を始め、40代になるまで頑張った方が多いので、卵子提供での不妊治療を受ける人の年齢は高めです。女性の卵巣機能は年齢とともに衰え始めるといわれていますが、現代では若くとも卵巣機能が衰え始めている方の割合が少しずつ増えてきているんです。したがってレシピエントの方の年齢は必ずしも高いとは言い切れません。

東尾:沈先生の経験でも、年齢が若いけれど卵子提供による不妊治療を受ける患者さんがいらっしゃるのですね。


沈:
そうですね。年齢が若くとも卵巣機能が良くなく、卵子が使えないという診断を受け、卵子提供に踏み切ったケースはあります。また大変な苦労をされた患者さんもいらっしゃいます。先天的な染色体の問題や後天的なことが原因で、年齢は若いのに自分で卵子を作り出すことができなくなったというケースです。

台湾の若い世代の妊活や卵子凍結に関する意識

 

東尾:若い世代ということでいえば、日本では今、若い女性やカップルに対して、将来の妊娠を考えながら自分たちの生活や健康に向き合うプレコンセプションケアが注目されています。
クリニックでも結婚前から検査して自分の体を知ろうといった動きもあるのですが、台湾ではいかがでしょうか?

 

沈:台湾も同じような状況にあります。ここ数年、芸能人やブロガー、YouTuberが卵子凍結の経験も含めて自分の妊活の情報を多くシェアするようになりました。その影響で、台湾の若い女性たちは、自分の卵子状態を知りたいと思うようになりました。

多くの方が、卵巣機能の状況を知るためにAMH数値の検査に来ます。将来妊娠して子どもを産みたいならば早めに検査をしたほうが良いといった具合です。

 

 

東尾:台湾では、卵子凍結を行う若い世代は多いのでしょうか?

 

沈:今、少しずつ若い方たちの卵子凍結に対する認識が広まっているところです。芸能人やブロガー、YouTuberがシェアする経験談のほかに、ネット上にもいろんな情報が豊富にあるからです。

NUWAも「産むチャンスを残す」という概念を若い方たちに提供しています。また台湾の桃園地区では、卵子凍結をする場合、政府の助成金が受けられます。


東尾:
台湾では、卵子凍結の費用はいくらぐらいかかるんですか?日本と同じくらいでしょうか。目安として教えてください。


沈:現時点での目安として言うと、卵子凍結の費用はお薬代や採卵手術の費用も含めて現在のところ12~14万台湾ドルです。

もちろん使用するお薬によって多少の差は生じます。注射の費用がどうしても高くなります。例えば卵巣機能の状態がとても良い方であれば、そこまでたくさんの注射を打つ必要がないこともあるので、その場合、トータルの費用はもう少し安くなります。

 

 

ドナー報酬を自身の卵子凍結に回す人はいる?

 


東尾:
卵子を提供するドナーは若い方が多いと伺ったのですが、台湾ではどのようなことがきっかけでドナーになろうと思うのでしょうか?特に募集などはしていないですよね。また自分の卵子凍結をしながらドナーになることは可能なのですか?


沈:台湾ではドナーになっていただくことを、私たちNUWAは宣伝できません。ドナーの多くはお友達がドナーになったことがあり、そのときの経験談を聞いたりして、私も誰かの助けになりたいという気持ちで検査に来てくれます。

検査をして卵巣機能がとても良く、その他の身体状態が良ければ、正式にドナー登録して卵子を提供することが可能となります。ただし自分の卵子凍結をしながら、同じ周期にドナーとして卵子提供することはできません。

 

東尾:ドナーになるにはいろんな検査をする必要があるということで、視点を変えれば、ドナーになることで自分の体のことが無料で検査ができて、さらにドナーの報酬も得るということですよね。

だとすれば、若い方がドナーで得たお金を自分の卵子凍結の費用として使えるのかなと思ったのですが、実際にそういう方はいらっしゃるのでしょうか?

 


沈:
台湾では、栄養費という名前でドナーへお礼を支払っています。現時点では、卵子の提供が終わった後に9万9000台湾ドルを受け取ることができます。

もちろんそのお金をご自身の卵子凍結のために使おうという方も実際にはいらっしゃいます。ただしこれまで私が出会ったドナーの方々は、年齢が若くてご自身の卵子凍結を考えるところまでは至っていない方が多かったです。またドナーになることで体験した注射がけっこう辛かったという方もいたりします。

 

東尾:もし日本にそのようなシステムがあれば、卵子凍結したいけれど、お金の面でハードルが高いと感じる若い日本人女性が、卵子バンクに提供することで、その費用を捻出できて、自分の身体のことも知られることは良いことだなあと感じました。

 

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