使用薬剤を知っておこう#2 タイミング療法、人工授精の流れを月経期間別に解説

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2024.04.15

不妊治療

使用薬剤を知っておこう#2 タイミング療法、人工授精の流れを月経期間別に解説

一般不妊治療であるタイミング療法と人工授精の違いについて、それぞれどのような使用薬剤があるのか、漢方薬剤師の住吉忍さんが全6回にわたって解説します。2回目の今回は各治療の流れを、月経を基準にした期間別でお話します。

月経1日目~5日目に行うこと:医療機関の受診

排卵誘発剤の使用を検討する場合、この時期での医療機関の受診が必要となります。排卵誘発剤には内服と注射の2種類に分かれています。診察の中でどの薬を使っていくかを決めていきます。また、排卵誘発をしなくても卵子が十分成長する人もいますので、しないことを決める方もいます。ドクターとよく相談する時期と言えるでしょう。ここでの薬については後述します。

 

月経5日目~14日目に行うこと:内服・自己注射

排卵誘発剤の使用を決めた場合、薬剤による排卵誘発を行う時期になります。内服の場合は、指示された用法や用量を守ってください。または注射の場合は、看護師の方に打ってもらうか、自分で打つ自己注射があります。看護師の方が注射する場合は、指定回数の通院が必要になり、手間や時間、交通費などもかかります。自己注射の場合は、通院の手間はありませんが、最初に看護師の指導のもと、練習する必要があります。比較的打つのが簡単なペンタイプの注射もあるので相談してみましょう。ここでの薬については後述します。

月経10日目~12日目に行うこと:超音波検査

排卵日を予想することを目的に超音波検査が行われます。タイミング療法の場合は、卵胞が順調に成長しているかどうかを確認した後に、ドクターから性交渉を持つタイミングの指導を受けます。人工授精の場合は、実施の特定を行います。後述しますが、排卵誘発剤としてレトロゾールを用いた周期は、卵胞の発育とエストロゲンの値が相関しないので、エストロゲンの採血は基本的には行わない施設が多いです。

月経12日目~13日目に行うこと:注射・点鼻薬の使用

必要な方には、LHサージを誘起していきます。排卵の前には、LH(黄体ホルモン)値が急激に上昇するLHサージが起こります。自然にLHサージが起こる方は、特に受診の必要はありません。確実にLHサージを起こしたい、排卵させたいという方は、排卵させたい時間の36~40時間前に合わせて、注射や点鼻薬を使用していきます。ここでの薬については後述します。

月経13日目~14日目に行うこと:性交渉や人工授精

性交渉を持つ時期です。タイミング療法の場合は、体調を整えてドクターから指示された日に。人工授精の場合は、精子の注入が行われます。

月経14日目以降:黄体補充療法

排卵後の時期に、タイミングを取った後に必要な方には黄体補充療法を行うことがあります。受精卵が着床しやすい子宮内膜の環境を整え、黄体機能の維持を目的とするものです。黄体ホルモンだけのもの、黄体ホルモンと卵胞ホルモンがセットになったもの、内服薬や膣坐剤、注射などがあります。

月経28日目以降:妊娠判定

妊娠判定が行われます。月経開始の予定日になっても出血がない場合は、妊娠の可能性があります。妊娠の可否を調べるために、血液検査を行います。採血によるhCGホルモンの値を測定し、妊娠を判定します。値が高ければ妊娠成立と判定されます。

一般不妊治療の流れをとらえた上で、次回は排卵までの流れをお伝えしていきます。
>>排卵までの流れを確認しましょう

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