使用薬剤を知っておこう#5 不妊治療で排卵誘発に使われる注射剤やLHサージを起こす薬

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2024.04.18

不妊治療

使用薬剤を知っておこう#5 不妊治療で排卵誘発に使われる注射剤やLHサージを起こす薬

一般不妊治療であるタイミング療法と人工授精の違いについて、それぞれどのような使用薬剤があるのか、漢方薬剤師の住吉忍さんが全6回にわたって解説します。前回は排卵誘発に用いられる飲み薬についてお伝えしました。5回目の今回は排卵誘発に用いられる注射剤やLHサージを誘起する薬についてです。

排卵誘発の注射には「hMG製剤」と「FSH製剤」がある

第2度無月経など内因性のエストロゲンの分泌が十分ではなく、排卵誘発剤の飲み薬の効果が期待できないケースなどには、注射剤であるゴナドトロピン療法が選択されます。現在国内では、閉経後の女性の尿から精製した「hMG製剤」、遺伝子組み換えた精製「FSH製剤」があります。

hMG製剤は、FSH(卵胞刺激ホルモン)とLH (黄体化ホルモン)の両方を含むものです。含有比率が異なる製剤が数多くあるので、内因性のLHの分泌の状態によって使い分けることができます。ただしLHサージが起こりにくくなる特徴があるので、投与開始後に超音波検査などで卵胞の大きさを確認して、排卵を誘発させるためのLH作用を持つ製剤を投与する形になります。

タイミング療法や人工授精では、hMG製剤やFSH製剤を用いて排卵誘発をした場合、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)や多胎妊娠の可能性もありますので、ドクターの指示に従って行う必要があります。

LHサージを起こす「hCG注射」と「点鼻薬」

排卵を起こすLHサージを誘起する薬についても説明します。hCG注射と点鼻薬があります。hCG注射の薬品名はオビドレルと注射用hcg、点鼻薬はスプレキュアです。

hCG注射は、点鼻薬と比較すると、より確実にLHサージを起こすことができ、費用が安価である特徴があります。考慮すべき点としては、中刺激から高刺激の排卵誘発後に使用することでOHSSを発症する可能性があることです。

一方で点鼻薬は、鼻にスプレーして鼻腔粘膜から吸収するものなので、自分でできるので来院の必要がありません。考慮すべき点としては、鼻腔粘膜からの吸引が不安定なので、LHサージがやや起こりにくい、また排卵しない場合もあるととらえられていることです。

次回は、周期療法や漢方薬の使い方などをお伝えします。
>>漢方医学の周期療法や低温期での漢方薬の使い方

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