【流産について②】流産の手術方法と絨毛染色体検査

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2025.02.12

不妊治療

流産について②流産の手術方法と絨毛染色体検査

妊娠初期に起こりやすい流産。残念ながら妊娠した女性の約15%が流産するといわれています。流産と診断されたら、どのような手術方法や検査があるのでしょうか。不妊症看護認定看護師の小松原千暁さんが解説します。

赤ちゃんの心拍が見えない理由と再診察までの過ごし方


赤ちゃんの心拍が見えない、または止まっていても、1度の診断で流産とは診断しません。妊娠6~7週、8週の場合で説明します。

 

▶妊娠6~7週に心拍が見えない場合

心拍が見えるはずの6~7週に、心拍が見えない理由として考えられるのは3つです。

・赤ちゃんの成長が遅い、または成長が止まった

・赤ちゃんの成長と心拍が見える時期に誤差がある

・子宮内に出血が溜まることや子宮筋腫などで見えにくい

 

5~7日後に再度診察を受けます。その後に心拍が見えて成長することもあります。

 

▶妊娠8週に心拍が見えない、動いていない場合

妊娠7週のときは動いていた心拍が、8週になって見えない、動いていない場合の理由です。

・赤ちゃんの成長が止まった

・子宮内に出血が溜まることや子宮筋腫などで見えにくい

 

3~7日後に再度診察をします。その後に心拍が見えて赤ちゃんが成長することは、非常に稀ですが、起こることがあります。

 

▶お母さんの過ごし方

不安や心配、たくさんの気持ちが出てくると思いますが、お母さんの過ごし方としては次のことを心掛けてください。

・お薬が出ていれば指示通り内服する

・出血や腹痛があれば安静にして過ごす

・出血などの症状がなければ仕事をしても良いが無理しない

・不安や心配な気持ちがあるので家事などはパートナーにお願いする

・症状の増強時は病院へ状況を報告、指示を確認する

 

流産と診断されたら

 

9週になっても心拍が見えない場合、稽留流産と診断されます。手術やその後に予測される経過、日程などを説明されるでしょう。

 

しかし、流産の診断を1人で聞いた場合は、ショックが大きすぎて内容が頭に入ってこないこともあります。その場合は、改めてご夫婦で診察や看護師相談室などを予約して、一緒に話を聞くと良いかもしれません。

 

一般的には、1週間以内に手術をし、医療施設によっては日帰り手術も可能です。静脈麻酔で眠っている間にするので手術中の痛みは感じません。出血や腹痛がなければ、手術まで日常生活で制限はありませんが、医師の指示を確認しましょう。限られた時間になりますが、ご夫婦と赤ちゃんとの大切な時間をお過ごしください。

流産と診断された際の選択肢は2つ

流産と診断されたら、選択肢は2つあります。1つは病院で手術する子宮内容除去術、もう1つは手術をしない自然排出です。一般的には子宮内容除去術が推奨されますが、内容をよく聞いて選択してください。

 

▶子宮内容除去術とは

子宮内容除去手術の所要時間は、10~30分程度です。医療施設によっては日帰り手術も可能です。静脈麻酔で眠っている間に終わり、計画的に短時間で排出でき、子宮内容物が残りにくいメリットがあります。デメリットとしては麻酔のアレルギーや副作用、感染症や出血が起こる可能性、子宮穿孔や子宮癒着といった合併症などです。手術費用がかかります。

 

▶自然排出とは

自然排出は、手術の負担がなく、費用もかからず、麻酔のアレルギーや副作用が回避できるメリットがありますが、排出されるまでの時間がわからず数週間かかる場合があります。デメリットとしては、多量の出血、強い腹痛をはじめ組織が残る可能性もあり、最終的に手術が必要になることもあります。

 

子宮内容除去術の種類


 

子宮内容除去手術の種類は3つあります。いずれも保険適用で、静脈麻酔で眠っている間に行います。施設によって日帰り手術が可能です。

 

▶D&Cとは

掻爬(そうは)術と呼ばれ、トングのような器具を子宮内に挿入し赤ちゃんを袋ごと出し、スプーンのような器具で膜をかき出す方法です。器具を消毒して使えるので費用は安いというメリットはありますが、手術時間が20~30分と長めで、子宮口を広げる準備も必要です。デメリットとしては術後の痛みが強く、子宮内膜が薄くなるリスク、炎症や出血、子宮内膜の感染、癒着の可能性もあります。以前はこの方法がほとんどでした。

 

▶EVAとは

電動吸引法です。金属製の吸引管と電動式の吸引器を使用して、子宮内の赤ちゃんを袋ごと吸い出します。メリットとしては、手術時間は15~20分と短く、吸引するのでD&Cよりは子宮内膜を傷つけるリスクや痛みが減る点です。器具を消毒して使えるので費用は安いです。デメリットとしては炎症や出血が発生するリスク、子宮内膜の感染が起こる可能性があります。

 

▶MVAとは

手動真空吸引法です。プラスチック製の吸引管と手動式の真空吸引器を使用して子宮内の赤ちゃんを袋ごと吸い出す方法です。手術時間が10分程度と短く、その分麻酔の時間も短いので体の負担が少ないメリットがあります。子宮内膜損傷、感染などのリスクは低く、術後の痛みも少ないです。出血や炎症などのリスクは少ないですが、デメリットとしては使い切りの器具なので、ほかの方法よりも費用が高めな点です。WHOが推奨する手術になります。

 

流産の原因を知るPOC検査とは


流産の原因を調べるための絨毛染色体(POC)検査について、2つを説明します。どちらの検査も流産手術時、または胎嚢組織の排出時当日しか行えません。「当日」しかできないので、短い期間ではありますが、検査をするかどうかを決める必要があります。どちらも検査結果は2~3週間後に出て、60~80%の異常を確認し、性別判定が可能です。

 

▶G-band分染法とは

流産手術時のみに実施できる染色体検査です。無菌状態で絨毛、胎児組織を採取し、組織を培養して染色体の数と形態を詳細に調べます。過去に1回以上流産歴がある場合に保険適用です。

 

▶SNPマイクロアレイ法

細胞を培養する必要がないため、組織の状態が悪くとも検査に出せます。進行性流産によってご自宅などで血液の塊と一緒に赤ちゃんの袋が出てしまった場合に、清潔なビニール袋に入れて医療施設へ問い合わせてください。無菌状態でなくても検査はできますが、実施できない施設もあります。保険適用対象外です。

 

POC検査の結果が出た後の検査について

 

検査結果では、染色体異常あり、染色体異常なしで、その後の検査の有無などが変わってきます。3つのケースを説明しましょう。

 

▶染色体数的異常だった場合

例えば、トリソミーやモノソミーなど染色体が1本多い、足りない、倍数体など染色体数的異常の場合は、偶発的な胎児染色体異常のため、母体側の原因の検査は不要になります。

 

▶染色体数的異常以外の異常だった場合

例えば、モザイクやマーカー染色体、転座、欠失、逆位などの構造異常があった場合、夫婦どちらかが染色体の均衡型転座保因者である可能性があり、夫婦の染色体検査が推奨されます。遺伝カウンセリングにて情報の収集や整理をして意思決定をしましょう。

 

▶染色体異常なしの場合

染色体の異常がない場合は、母体側に異常がある可能性が考えられます。不育症の検査が推奨されます。

 

流産はお母さんが何かをしたからではない

 

流産の原因の約7割は、赤ちゃんの染色体異常です。お母さんが何かをしたから流産になるわけではありません。流産と診断されて、混乱の中で手術や検査を受けるか受けないかを決めることは、とても難しいことだと思います。

 

赤ちゃんの染色体検査は、流産の手術や胎嚢が排出された当日にしかできません。「やっぱり検査をしておけば良かった」と後悔しないよう、分からないこと、心配なことなどがあれば、医師や看護師に聞き、ご夫婦で相談して決めましょう。

 

悲しみや辛い気持ちがあれば、医師、看護師に伝えていただいて構いません。感情に蓋をしてしまわないようにしましょう。

 

この記事の動画はこちらから

本日お話をおうかがいした方

不妊症看護認定看護師/生殖医療コーディネーター

小松原 千暁

不妊治療の専門クリニックに勤務して20年、妊活をしている方の母的存在になれるように日々頑張っています。 不妊治療は時間もお金もかけて頑張って通院するのですから、一緒に勉強して自分達の歩く道を自分達で決めてみませんか?
妊活相談はこちらから https://lin.ee/AxZ48aG

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