生殖補助医療の調節卵巣刺激。自分に合う卵巣刺激はどの方法?

ARTICLE

2024.08.14

不妊治療

生殖補助医療の調節卵巣刺激。自分に合う卵巣刺激はどの方法?

生殖補助医療(ART)では、体外で受精させるために採卵を行って卵子を獲得することが重要です。そこで採卵に向けて調節卵巣刺激方法が選択されます。排卵誘発剤などを用いて卵巣を刺激し、卵胞を発育させていく方法ですが、具体的にはどのような方法があるのでしょうか。不妊症看護認定看護師の小松原千暁さんが解説します。

卵胞の発育から排卵までのプロセスを知ろう

卵胞の発育から排卵までのプロセスを簡単に説明します。月経3~5日目になると、脳の下垂体からFSH(卵胞刺激ホルモン)が出て、卵胞が育つように指示します。するとAFC(胞状卵胞)が少しずつ大きくなっていきます。

いくつかある卵胞のうち、1つが大きくなって主席卵胞となり、他は閉鎖卵胞になって卵巣内に吸収されます。E2(卵胞ホルモン)が分泌されて子宮内膜が厚くなると、LHサージが発生。最終的に成熟した1個が排卵するのです。その後、黄体ホルモン分泌が促されます。

体外受精の調節卵巣刺激とは

体外受精の調節卵巣刺激とは、この卵胞の発育から排卵までの流れを、薬を用いて調節する治療です。一般的には、排卵誘発剤を使用し、卵巣内で閉鎖卵胞になるはずだった卵胞を成長させます。採卵時に複数が成熟卵となるように、継続して注射していく方法です。

調節卵巣刺激方法は、大きく分けると、高刺激法、低刺激法、自然周期法があります。個々の年齢や卵巣機能の状態によって医師から説明や提案があると思いますが、ご自身が判断する際の参考として、どのような方法があるのかを知っておきましょう。

調節卵巣刺激での高刺激法の種類

調節卵巣刺激での高刺激法は、注射を連日使って複数個を採卵できるようにする方法です。採卵前に排卵しないように抑えながら、誘発していきます。具体的にはロング法、ショート法、PPOS法、アンタゴニスト法があります。

高刺激法のロング法

ロング法は、体外受精の前周期から排卵抑制剤のGnRHアゴニスト製剤の点鼻薬で排卵しないようにブレーキをかけながら、月経3日目頃から排卵誘発剤のFSH・HMG注射を使っていく方法です。採卵2日前に排卵を促進させるためにhCG注射を投与します。

高刺激法のショート法

ショート法は、ロング法と同様に、GnRHアゴニスト製剤の点鼻薬で排卵しないようにブレーキをかけながら、FSH・HMG注射で誘発し、採卵2日前にhCG注射を投与する方法です。GnRH アゴニストの使用期間が本番周期からとなり短いため、ショートと呼びます。卵巣機能が低下傾向にある方に向くと言われています。

高刺激法のPPOS法

PPOS法は、プロゲスチン併用法とも言います。月経開始から黄体ホルモン剤を連日内服して排卵しないようにブレーキをかけながら、月経3日目頃からFSH・HMG注射をして卵巣を刺激していく方法です。採卵2日前にhCG注射で排卵を促進させます。

高刺激法のアンタゴニスト法

アンタゴニスト法は、月経3日目からFSH・HMG注射を投与して卵巣を刺激させ、卵胞径が約14mmになった段階で、GnRHアンタゴニストを注射して排卵を抑制させる方法です。採卵2日前にHCG注射で排卵を促進させます。

調節卵巣刺激での低刺激法や自然周期法

続いて、低刺激法や自然周期法についてです。高刺激法よりも薬剤使用が少ない特徴があります。

低刺激法

月経3日目頃に、クロミッドやフェマーラといった内服薬を飲み始め、FSHやLHの分泌を促す下垂体を刺激します。卵胞がある程度の大きさになったら、排卵誘発剤のFSH・HMGを毎日または1日おきに注射。卵胞径が約14mmになったら、排卵抑制剤のGnRHアンタゴニストの注射を少し使って排卵にブレーキをかけつつ、卵胞を育てていきます。強い抑制をかけていないので主席卵胞と閉鎖卵胞に分かれてしまう可能性があります。

自然周期法

排卵誘発剤や排卵抑制剤を使用せず、卵胞が自然に大きくなるのを待ち、採卵2日前にhCG注射を投与し採卵する方法です。採れる卵子は1個、もしくは小さいままで育たたない場合もあります。排卵にブレーキをかけていないので、採卵前に排卵してしまう可能性もあります。

卵巣のタイプ別で見る卵胞の数と質

一般的に、年齢を重ねるごとに、卵胞数は少なくなっていき、卵子の質はだんだん低下していくと言われています。年齢だけでなく、卵巣の状態も卵胞数や質に影響を及ぼします。主なタイプを挙げていきましょう。

・PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)

卵胞数が多いが、卵子の質がやや不良傾向にあるタイプ

・内膜症(チョコレート嚢胞)

卵胞数が少なく、卵子の質がやや不良傾向に。先に治療したほうが良いか医師と相談

・POF(早期卵巣不全)

40歳未満で、卵子が少ないタイプ。年齢相応の良質な卵子なので育つのを見守る

・DOR(卵巣予備能低下)

40歳以上で、年齢とともに卵子が少なくなり、卵子の質も低下しているタイプ

自分の卵巣機能を知るには何を見れば良い?

ご自身の卵巣機能を知るためには、「FSH」「AMH」「AFC」の3つを見ます。これらで何がわかるのかについても。押さえておきましょう。

FSHとは

FSHは、卵巣刺激ホルモンです。その周期の卵巣の疲労度合いがわかります。月経2~4日目頃に測定し、10以下が良いと言われています。10を超えると疲労度が高いと判断します。

AMHとは

AMHは、抗ミュラー管ホルモンです。将来の卵子数の予測ができます。前胞状卵胞から出るホルモンで、月経周期によっての変動はありません。年齢によって基準値があります。AMHが3~4あれば誘発剤の刺激に反応できると予測しますが、1など低い場合はたくさん刺激をしても卵子がうまく育たない可能性が予測されます。

AFCとは

AFCは、胞状卵胞です。その周期に育つ卵胞の予測ができます。月経2~4日頃に超音波検査で胞状卵胞数を測定します。前周期の後半に測定することもあります。

調節卵巣刺激方法の選び方

調節卵巣刺激は、FSH、AMH、AFCより卵巣予備能に応じた方法を選択します。例えばAMHが1未満で低い場合は、たくさん誘発剤を使って刺激しても卵胞は育たないかもしれないと予測し、低刺激法や自然周期法を選択したり、AMHが少なくてもAFCで数があれば刺激してみようと判断したりすることもあります。

またAMHが4以上ある場合、基本的にアンタゴニスト法やPPOS法が選択されますが、年齢が40歳以上でFSHから卵巣が疲れていると判断した場合は、うまく刺激に反応しない場合があるので、同じ方法でも薬の量を変えてみるなどアプローチが変わってきます。

このように個々の状態に応じて、選択する卵巣刺激の方法が変わってきますので、ぜひご自身でも把握しておきましょう。

この記事の動画はこちらから

本日お話をおうかがいした方

不妊症看護認定看護師/生殖医療コーディネーター

小松原 千暁

不妊治療の専門クリニックに勤務して20年、妊活をしている方の母的存在になれるように日々頑張っています。 不妊治療は時間もお金もかけて頑張って通院するのですから、一緒に勉強して自分達の歩く道を自分達で決めてみませんか?

RELATED ARTICLEおすすめ関連記事

RANKING⼈気記事

KEYWORDキーワード検索

ALL TAGSタグ一覧人気のタグ

CATEGORY

会員限定記事

会員限定の記事です。
ログインしてからご覧ください。会員登録は無料です。