タイミング療法と人工授精法、年齢で妊娠率や治療が進む早さは違う?!
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妊活お役立ち情報
不妊症の基本検査をカップルで受けた後に、その結果によって医師から治療方法が提案されます。
不妊治療には、タイミング療法、人工授精法、体外受精法の3つがあり、多くは一般不妊治療と呼ばれるタイミング療法や人工授精法からスタートします。
タイミング療法や人工授精法はどのような治療なのでしょうか?
妊娠率や年代別での治療の進むスピードについて、不妊症看護認定看護師の小松原千暁さんが解説します。
タイミング療法とはどんな治療?妊娠率や通院の回数
医療施設での不妊症の基本検査で特に異常がなかった場合、一般的にタイミング療法から治療が開始されます。タイミング療法とは、医師が予測した排卵期に性交を持ち、精子と卵子がタイミングよく出会えるようにする治療方法です。
排卵期の予測は、女性側の超音波検査で卵胞計測して医師がアドバイスします。
排卵直前の目安とされる卵胞の大きさは、通常は20ミリ前後、排卵誘発剤を服用している場合は22ミリ~24ミリです。
必要時には女性側に、排卵誘発剤などの薬を使用することがあります。卵胞を成熟、排卵させて黄体ホルモンを促進する注射をしたり、黄体ホルモン剤を服用して補充したりします。通院は1周期に1~2回ほど。タイミング法での妊娠率は2~3%と言われています。
>>関連記事:「タイミング療法、人工授精の基礎知識を解説!使用薬剤を知っておこう#1 」こちら
人工授精法とはどんな治療?妊娠率や通院の回数
人工授精法は、医師が予測した排卵期に、マスターベーションで採取した精液を洗浄、濃縮し、運動良好な精子を子宮内に注入し、精子が卵子と出会えるまでの泳ぐ距離を短くする治療方法です。
人工授精法は、次のようなカップルに適応されます。
・精子の数が少ない、運動率が低い
・抗精子抗体陽性
・性生活がうまくできない(ED、性交障害)
・タイミング療法で妊娠に至らなかった
・不妊期間が3年以上経過している
通院は1周期に2~3回ほどです。人工授精法の妊娠率は7~8%といわれています。
治療中は基本的には避妊の必要はありません。ただし排卵誘発剤の服用で多数の排卵発育が予測される場合は、避妊する必要があります。
医師に相談しましょう。
人工授精法の実際。精子処理や治療にかかる時間
人工授精法について、もう少し詳しく解説していきます。
タイミング療法と異なる点は、精液採取や処理、子宮内注入がある点です。
採取された精液の処理方法
採取された精液は、密度勾配遠心法やSWIM-UP法などの方法で処理されます。異物や細菌が除去され、運動良好な精子が回収されます。
人工授精法の子宮内精子の注入
回収された運動良好な精子は、人工授精用注入器に充填されて子宮内に注入されます。女性側に痛みはほとんどなく、数分で終了します。後の流れは自然妊娠と同じです。
性交障害など夫婦生活が持てない方も、最適なタイミングで子宮内に精子を送り込め妊娠を目指せるメリットがあります。
ただし受精したかどうか、または卵子が卵管に入ったかどうかまでは分かりません。
年齢別でみる人工授精の妊娠率と施行回数
続いて人工授精法の妊娠率を、女性の年齢別で紹介しましょう。
IVF大阪クリニックのデータによると、25歳未満のグループ、25~29歳のグループでは、ともに30%近い妊娠率となっています。
しかし、30歳を超えたグループでは妊娠率は徐々に下がっていき、40~44歳のグループになると約5%の妊娠率になってしまいます。
また人工授精法で妊娠した人の妊娠までの施行回数と妊娠率では、4回目までで妊娠した方が8割近く、6回目までで妊娠した方が約9割です。
人工授精法は、精子数に問題がある場合は効果的ですが、不妊期間6年以上では妊娠率が低いとも言われています。
年齢別でみる不妊治療のステップアップの早さの違い
妊活は、妊娠がゴールではありません。その先にある出産と子育てを考える必要があります。子どもは何人欲しいのか、段階的に進めたいのか、また一刻も早く妊娠するためにスピード重視なのか。
不妊治療は、カップルで優先順位を考えて進めていきましょう。
女性の場合は、年齢別でステップアップする治療の進度は変わってきます。
タイミング療法や人工授精法の一般不妊治療から体外受精法まで、どのくらいの回数でステップアップしていったら良いのか、目安として3つの年代に分けて紹介します。
〇20~34歳は一般不妊治療は複数回行える
タイミング療法は4~6回。
妊娠に至らなければ人工授精法を4~6回。
その後、体外受精法に進んでいくのが一般的です。
第1子を妊娠・出産後、子育てに1~2年経過しても第2子の妊娠、出産、子育てには時間的な余裕があります。
〇35~39歳は数回の治療で次のステップへ
タイミング療法は2~3回。
妊娠に至らなければ人工授精法を3~4回。
その後、体外受精法に進むのが一般的ですが、子どもが2人欲しいならば、早めに体外受精法にステップアップすることをおすすめします。
体外受精で妊娠しその際に余剰胚の凍結ができたら、卵子の老化を止められ第2子の妊活に使用できるのが理由です。
〇40歳以上は最初から体外受精を見越して積極的に
タイミング療法は0~1回、人工授精法は1~2回を目安に。
できるだけ早く体外受精法に進むのが一般的です。
妊娠率が下がり、流産率が上昇する前に積極的にチャレンジしましょう。
以上を念頭において、今後のライフプランなどを考えるきっかけにしてください。
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本日お話をおうかがいした方
不妊症看護認定看護師/生殖医療コーディネーター
小松原 千暁
不妊治療の専門クリニックに勤務して20年、妊活をしている方の母的存在になれるように日々頑張っています。 不妊治療は時間もお金もかけて頑張って通院するのですから、一緒に勉強して自分達の歩く道を自分達で決めてみませんか?
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