アルギニンは子宮内膜を厚くする?不妊治療中に賢く取り入れる方法とは?!
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妊活お役立ち情報
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「今周期は子宮内膜が厚くならなかったので、移植はキャンセルしましょう」。不妊治療中に、そんな辛い経験をされた方もいらっしゃるでしょう。ふかふかのベッドを用意したくても、なかなか厚くならない子宮の内膜。
その対策の一つとして、近年「アルギニン」というアミノ酸が注目されています。今回、なぜアルギニンが子宮内膜に期待できるとされているのか、その科学的なメカニズムから、実際の研究報告、そして安全な摂取方法までを、論文を元に詳しく解説します。
アルギニンとは?体のめぐりを促すアミノ酸
アルギニンは、私たちの体を作るタンパク質の構成要素である「アミノ酸」の一種です。体内で「一酸化窒素(NO)」を生成する働きがあり、この一酸化窒素が、体の”めぐり”を良くする上で非常に重要な役割を果たします。
アルギニンが「血流」を改善するメカニズム
アルギニンから作られる一酸化窒素(NO)には、血管を拡張させる作用があります。血管が広がることで血流がスムーズになり、体の隅々まで酸素や栄養素が届きやすくなります。この「血流改善」こそが、アルギニンが妊活で注目される最大の理由です。
【論文から見る】アルギニンは子宮内膜の厚さにどう影響する?

「血流が良くなることが、なぜ子宮内膜に関係するの?」という疑問について、実際の研究報告を元に解説します。
1. 子宮への血流増加が、内膜を育てる
子宮内膜は、豊富な血液から栄養を受け取って厚くなります。
アルギニンの摂取によって子宮動脈の血流が増加することで、内膜の成長に必要な栄養素が十分に行き渡り、結果として内膜が厚くなるのを応援すると考えられています。いわば、内膜という”畑”に、栄養たっぷりの水をたくさん送ってあげるイメージです。
2. 臨床研究での報告
実際に、アルギニンの摂取が、不妊治療中の女性の治療成績に良い影響を与えたという研究が複数報告されています。
- 子宮内膜が薄い不妊女性にL-アルギニンを1日6g摂取してもらったところ、子宮への血流が増加し、内膜が有意に厚くなったという日本の研究結果があります。*1
- また、体外受精の際に卵子があまり採れない「低反応群(Poor Responder)」の患者に1日16gのアルギニンを摂取させた海外の研究では、アルギニンを摂取したグループで採卵数と胚の数が増加し、3名の妊娠が確認されたと報告されています(非摂取グループでは妊娠者なし)。*2
ただし、まだ研究の数は限られており、全ての人に同じ効果が見られるわけではありません。あくまで治療の一つの選択肢として、医師と相談することが不可欠です。
アルギニン摂取の実際と、日本での選択肢

アルギニンは、ただやみくもに摂れば良いというものではありません。摂取を検討する際には、その方法や注意点を理解しておくことが大切です。
1. なぜ「大量摂取」が必要?その具体例
不妊治療の研究で用いられるアルギニンの量は、1日6g(6,000mg)にもおよびます。一般的なサプリのカプセル1粒が500mgだとすると、毎日12粒ものカプセルを飲まなければなりません。
また、海外製品に多いパウダータイプは、スプーン1杯で高用量を摂れますが、特有の飲みにくさがあります。この「摂取の大変さ」が、アルギニンを利用する上での一つの課題です。
2. 食事からアルギニンを摂るなら?
アルギニンは、肉類、大豆製品、ナッツ類など、タンパク質が豊富な食品に多く含まれています。日々の食事に、これらの食品を意識して取り入れることは、体づくりの基本として非常に良いことです。
アルギニンを多く含む食品と含有量の目安
| 食品 | 目安量 | アルギニン含有量(約) |
|---|---|---|
| 豚ロース肉(生) | とんかつ用1枚(100g) | 1,300mg |
| 鶏むね肉(生) | 1/2枚(100g) | 1,500mg |
| かつお節 | 小分け1パック(5g) | 220mg |
| 高野豆腐(乾燥) | 1個(17g) | 870mg |
| 大豆(国産・乾燥) | 大さじ1(15g) | 500mg |
| 落花生(いり) | 20粒(20g) | 640mg |
(参考:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」)
ただし、表を見て分かる通り、研究で用いられるような1日6g(6,000mg)といった量を食事だけで摂取するのは非常に困難です。このことから、特定の目的のために高用量のアルギニンを摂取する場合には、医師の指導のもとでサプリメントを活用するのが現実的な選択肢とされています。
2. 日本で入手しやすい、飲みやすいサプリの形状
この「飲みにくさ」を解消するため、日本のメーカーからは、以下のような工夫を凝らした製品が販売されています。
- ドリンクタイプ: 味を調整し、手軽に高用量を摂取できるよう工夫されたもの。例えば、ネスレから販売されている「アルジネードウォーター」は、1本でアルギニン2,500mgと亜鉛10mgが摂れるため、非常に便利です。
- ジュレタイプ:「エンゼルストークベーシック」は、一包でアルギニンが1000㎎取れます。また、葉酸も200㎍摂れるので、葉酸も摂りたい女性や男性、粒タイプが苦手な人にピッタリのサプリメントです。
- 単体・高配合タイプ: アルギニンを高用量でしっかり摂取することに特化した、パウダータイプの製品も選択肢です。例えば「ドクターズチョイス L-アルギニン5000プラス」は、アルギニン5,000mgに加え、その働きを応援するL-シトルリンなども配合されています。
医師と相談する際には、ご自身が続けやすい形状についても相談してみると良いでしょう。
3. 摂取における注意点(副作用など)
アルギニンの摂取を検討する場合、以下の点に注意が必要です。
- 医師への相談は必須:自己判断での大量摂取は絶対に避け、必ず医師の指示する量を守りましょう。
- 摂取を避けるべき人:ヘルペスウイルスの持病がある方や、急性心筋梗塞の既往がある方は、服用を避けるべきとされています。
- 副作用:過剰に摂取した場合、胃の不快感や下痢などの消化器症状が出ることがあります。
【男性向け】精子への効果も期待できる
アルギニンは、精子を活動的にするために必要な成分でもあります。複数の研究で、精子数の増加や運動性の改善に効果が期待できると報告されています。
アルギニンは男性妊活において重要な成分の一つですが、より総合的なケアを目指すなら、亜鉛やコエンザイムQ10といった他の栄養素もバランス良く摂取することが大切です。男性向けの妊活サプリには、これらの成分がまとめて配合されているものも多くあります。詳しくは、こちらの記事も参考にしてみてください。
⇒ もっと詳しく:[(内部リンク案)【男性妊活サプリ】おすすめ5選]
まとめ
今回は、体の”めぐり”に着目したアミノ酸「アルギニン」について解説しました。
- アルギニンは、一酸化窒素(NO)を介して血流を促し、子宮内膜を厚くする効果が期待されている。
- 「内膜が薄い」と悩む方にとって、治療の一つの選択肢となり得る。
- 高用量が必要なため、サプリでの補給が基本となるが、摂取は必ず医師への相談が不可欠。
ご自身の判断で安易に始めるのではなく、まずはかかりつけの医師に「アルギニンという選択肢はどうでしょうか?」と相談することから始めてみてください。
参考文献
- *1 Takasaki, A., et al. "Endometrial growth and uterine blood flow: a pilot study for improving endometrial thickness in the patients with a thin endometrium." Journal of Ovarian Research 3.1 (2010): 34.
DOI: 10.1186/1757-2215-3-34 / URL: https://ovarianresearch.biomedcentral.com/articles/10.1186/1757-2215-3-34 - *2 Battaglia, C., et al. "Adjuvant L-arginine treatment for in-vitro fertilization in poor responder patients." Human reproduction 14.7 (1999): 1690-1697.
DOI: 10.1093/humrep/14.7.1690 / URL: https://academic.oup.com/humrep/article/14/7/1690/623588
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