難治性不妊の次のステップ|子宮鏡検査と慢性子宮内膜炎【黒田院長解説】
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妊活お役立ち情報
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着床の成否は、受精卵を受け入れる側の「子宮環境」にも大きく左右されます。超音波検査だけでは見えない問題が隠れていることも少なくありません。ここでは、子宮鏡検査の重要性や、患者自身が主体的に治療と向き合うための病院選びの視点について、杉山産婦人科丸の内の院長、黒田先生にお話を伺います。

東尾:杉山産婦人科 丸の内院長の黒田先生にお話を伺います。よろしくお願いいたします。
黒田先生: よろしくお願いします。
手術でしか解決しないケースも。子宮鏡検査の重要性
東尾: 新宿院と丸の内院では、治療に違いはあるのでしょうか?
黒田先生: 基本的に行っている治療は同じですが、丸の内院では特に腹腔鏡や子宮鏡といった手術を数多く行っています。実は、手術をしないと妊娠に至らない方もいらっしゃるんです。
丸の内で手術が必要な方は、新宿に来ていただいて手術することもあります。
東尾: 自分に手術が必要かどうかは、いつ頃わかるものなのでしょうか?
黒田先生: ご自身で判断するのは難しいですね。最終的な診断には「子宮鏡検査」という、子宮の中を直接カメラで見る検査が有効です。超音波検査である程度疑わしい方は事前に検査しますが、それで異常が見つからない方でも、実は問題が隠れていることがあります。
東尾: では、全員が子宮鏡検査を受けるべきなのでしょうか?
黒田先生: いいえ、必ずしもそうではありません。体外受精を始める方全員に子宮鏡検査を行っても、最終的な妊娠率は大きく変わらないという研究結果があります。
ただし、その先のスタディもあって、「3回、4回と移植してもうまくいかない方」に絞って検査を行うと、明らかに治療成績が上がる、という結果になっています。
子宮鏡検査のタイミングはいつ?自分から先生に相談するの?
東尾:子宮鏡検査のタイミングというのは、自分から先生に言うべきなのか、待っていればいいのかどちらでしょうか?
黒田先生:そうですね。ご自身から言ってみてもいいと思いますが、1点問題点があるのが、子宮鏡検査をやっていない病院がある、ということです。内視鏡の検査なので、それなりに技術が必要なんですね。
慣れている施設であれば、外来で数分、痛みもほとんどなく終わります。保険適用で自己負担は3,000円程度です。ですから、1〜2回移植してうまくいかない場合には、一度見てみましょう、というお話をしますね。

東尾:子宮鏡検査は痛みもないのですか?
黒田先生:痛みはないですね。
東尾:先生は子宮鏡検査は得意でいらっしゃるのですか?
黒田先生:はい。子宮鏡の認定医(日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡、子宮鏡))を持っています。

患者自身が「知る」ことの重要性

東尾:自分が通っている病院が、そうした専門的な子宮鏡検査に対応しているか、どうすれば見極められますか?
黒田先生: それが非常に難しい点です。各病院がどの検査や技術に対応しているか一覧表でもあれば良いのですが…。以前、ある会社に「病院を探すためのアプリを作ってくれませんか?」と提案したこともあります。患者さん自身が治療法で病院を選べるようにした方がいい、と。
東尾:そうですよね。先生、実は私たちそういうホームページ(妊活の歩み方)を作っているのです!どんな検査があるのか私たち患者は知らないんですよ。
本当に、先生方に言われてから、「そんな検査があるんですね。知らなかった!」となってしまうので、私がやりたかったのは、検査項目をまず載せておくことで、まず「これはどんな検査だろう?」という疑問をもっていただくことがスタートだと思ってます。

患者が病院を見極めるにはどうしたら?
東尾: ホームページなどで先生の資格を見て、「内視鏡の認定医」といった記載があれば、判断材料になりますか?
黒田先生: それくらいしか判断材料がないのが現状かもしれません。ただ、所属している学会名がたくさんあっても、必ずしも技術を保証するものではないので、難しいところです。
患者さん自身が「ここでは難しいかな」と気づいて、自分で動ける仕組みが本当は必要だと思います。
慢性子宮内膜炎を疑うタイミング

東尾: 不妊の原因のひとつ、慢性子宮内膜炎の検査は、どのタイミングで考えるべきですか?
黒田先生: やはり、複数回(3〜4回)移植してもうまくいかない、いわゆる着床不全と診断される方に絞ってから行うべきだと考えています。
そうした方がこの病気を見つけて治療すると、妊娠率が劇的に上がるというデータが世界中で報告されています。その基準をどこで定めるかというのは、今学会でいろいろと話し合いを重ねている段階です。ただ、分かっているのは
・何回も着床がうまくいかない人
・ポリープや子宮内病変がある人
東尾:そうすると、体外受精を2回、3回トライしてみて、うまくいかなかったという場合は、いろいろな可能性を考えて、子宮の環境が原因というふうに患者は捉えたらいいですか?
黒田先生:はい。そうですね。
黒田先生から妊活に励む方へのメッセージ

黒田先生: 私たちは、大半の方を結果に繋げられる方法を持っています。ただ、限界がある場合もありますが、まずは婦人科に行くこと、そして分からないことは専門家に聞くことが非常に大事です。もし、うまくいかないと感じたら、ご自身で動いて調べるというのも一つです。ぜひ、皆さん頑張ってください。
東尾:先生の優しいお人柄がにじみ出るメッセージをありがとうございました。
本日お話をおうかがいした方
杉山産婦人科丸の内
院長
黒田恵司先生
2001年順天堂大学医学部卒業、同大学産婦人科学講座入局
2003年産科婦人科舘出張佐藤病院
2004年東京女子医科大学第二生理学教室体外受精・卵活性化について研究
2005年順天堂大学 産婦人科学講座助手
2007年順天堂大学院 医学博士課程 学位授与、産婦人科学講座 助教
2010年Imperial College, London Hammersmith Campus, Research fellow 子宮内膜脱落膜化について研究
2011年University of Warwick, Research fellow 原因不明不育症・着床不全について研究
2013年順天堂大学 産科婦人科学講座 准教授
2018年杉山産婦人科新宿 難治性不妊症診療部長 内視鏡診療部長
2023年杉山産婦人科丸の内 院長 現在に至る。
資格:産科婦人科専門医、生殖医専門医、産科婦人科内視鏡技術認定医(腹腔鏡、子宮鏡)、オフィス子宮鏡手術認定医、不育症認定医
著書:データから考える不妊症・不育症治療, メジカルビュー社
エビデンスで答える女性診療で必要な栄養素・サプリメントの知識90, メジカルビュー社
Treatment Strategy for Unexplained Infertility and Recurrent Miscarriage, Springer社など
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