不妊治療のやめどきはどう決める?納得感のある「卒業」の判断基準と心の整え方|おすすめ本8選
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妊活お役立ち情報
目次
- 多くの人が「不妊治療をやめたい」と感じる主な理由
- 後悔しない「やめどき(卒業)」を決める4つの指標
- 「諦める」から「卒業」へ:心のグリーフケア
- 決断のヒントと勇気をくれる「心の処方箋」8選
- ① 専門家の視点で「やめどき」を整理する
- 『不妊治療のやめどき』(松本亜樹子)
- 『不妊治療者の人生選択』(安田裕子)
- ② 体験者のリアルな葛藤と「その後」に触れる
- 『三色のキャラメル』(永森咲希)
- 『私が不妊治療をやめたわけ』(海原こうめ)
- 『まんが 子どものいない私たちの生き方』(森下えみこ/くどうみやこ)
- ③ 「子どもがいない人生」の新しい価値を見出す
- 『誰も教えてくれなかった 子どものいない人生の歩き方』(くどうみやこ)
- 『母にはなれないかもしれない』(若林理央)
- あなたの人生の主役は、あなた自身です
不妊治療を続ける中で、「もうやめたい」「いつまで続ければいいのだろう」と感じたことはありませんか。
そう思ったとしても、これまで費やしてきた時間やお金、感動して「子どもを望む気持ち」を考えると、簡単に立ち止まることはできない・・・多くの方が、そんな葛藤を抱えています。
不妊治療の「やめどき」には、明確な正解があるわけではありません。
だからこそ、「諦め」ではなく、自分たちなりに納得できるかたちで「卒業」という選択に向き合うことが大切です。
この記事では、不妊治療のやめどきに悩む方へ向けて、後悔しないための判断基準や、心を少し軽くするための考え方、順序として気持ちを整理するヒントとなる書籍をご紹介します。
多くの人が「不妊治療をやめたい」と感じる主な理由

不妊治療経験者の約2人に1人が「治療をやめよう」と思った経験があるという調査結果があります(※10)。その理由は多岐にわたりますが、主に以下の3点が挙げられます。
- 精神的な負担(60.4%): 終わりの見えない不安や、周囲との比較、結果が出ないことへの焦りが最大の要因。他人が妊娠しても喜べなかったり、親戚から子供の話をされるなど、様々な場面で負担がのしかかります。
- 経済的な負担(35.6%): 保険適用になったとはいえ、高度生殖医療(ART)は1回あたり約30万〜40万円の費用がかかり、蓄えが底をつく不安が重圧となります。助成金をたとえ活用したとしても、一度で結果が出るわけではないため、治療回数が重なれば、持ち出しの治療費はかさんでいきます。
- 身体的・年齢的な限界: 加齢に伴い成功率は低下し、42歳での生産率は5%以下、45歳では1%程度という厳しい現実があります(※1)。年齢が高くなればなるほど、高度生殖医療であっても、結果が伴いにくくなる上、治療回数が重なれば、身体的負担も増えてしまいます。
後悔しない「やめどき(卒業)」を決める4つの指標

なかなか治療の結果が出ない中で、「このままで良いのだろうか」と立ち止まる方は少なくありません。
ときには、治療を一時的に中止するという選択をされる方もいらっしゃいますが、不妊治療そのものを「卒業する」という選択肢が頭をよぎることもあるのではないでしょうか。
「やめどき」を単なる「諦め」にしないために。納得感のある「卒業」として受け止めるためには、夫婦でいくつかの視点を整理していくことが大切です。
ここでは、その判断の手がかりとなる4つの指標をご紹介します。
| 判断指標 | 具体的な検討ポイント |
|---|---|
| 年齢 | 医学的な成功率の低下(40歳、43歳、45歳など)を一つの節目とする。 |
| 回数 | 「採卵をあと〇回」「移植をあと〇回」と、具体的な回数で区切りをつける。 |
| 経済状況 | 治療にかけられる予算の上限をあらかじめ決め、生活設計を優先する。 |
| 心身の状態 | ストレスや不眠、夫婦関係の悪化を感じたら、それは心と体が限界に達しているサイン。 |
決断に迷う場合は、一度「休止期間」を設け、治療のプレッシャーから離れた生活の中で自分たちの本音を探ることも大切です。
「諦める」から「卒業」へ:心のグリーフケア

治療をやめることを「諦め」や「挫折」と捉えると、喪失感や自己否定に陥りやすくなります。しかし、視点を変えれば、それは「自分たちの心身と未来を大切にするための主体的な選択」で、新しい人生のための「卒業」でもあります。
不妊治療は「曖昧な喪失」とも呼ばれ、目に見えない可能性を失う痛みを伴います。この悲しみを否定せず、自分たちが注いできた努力を認め、パートナーと共有することが、心の回復(グリーフケア)への第一歩となります。
そこで、ご自身の迷いや、卒業の決断のために、実際に不妊治療を経験し、その後、卒業した方の声や、生き方を知ることが、大きなヒントとなるかもしれません。
決断のヒントと勇気をくれる「心の処方箋」8選
実際に、「やめどき」に迷う時、または卒業を決めた後の人生を主体的に生きていく上で参考となる、当事者や専門家の書籍などをご紹介します。これらの本は、どの内容も不妊治療を卒業することを始めとし、自分の人生を今後どう生きていくか、参考となるものばかりです。気になるものは是非手に取って読んでみてください。
① 専門家の視点で「やめどき」を整理する
『不妊治療のやめどき』(松本亜樹子)
5,000人以上の当事者を支援してきた専門家が、納得して「卒業」するための具体的な9つのヒントを提示しています。
芸能人の高齢出産ニュース、高度な医療技術の進展に、「やめどき」を失う女性が続出。不妊治療で避けて通れないお金、体力、健康、仕事、精神的安定、夫との関係……など、16人の体験談とともとに、不妊治療をやめた女性たちのロールモデルを紹介する。産婦人科医師・看護師・培養士・生殖心理カウンセラーなど、専門家からの多様な意見もまとめ、不妊治療のハッピーとゴールを考える。(WAVE出版HPより引用 ※2)
『不妊治療者の人生選択』(安田裕子)
心理学の立場から、治療を終結させた後の多様な人生の歩み方を肯定し、心の回復プロセスを支えます。
子どもを産めないこととは? 家族を築くこととは? 不妊治療をやめ養子縁組を選んだ女性たち,中絶した未婚女性たちへのインタビューから浮かび上がる子どもをもつことをめぐる葛藤と人生選択。秘められがちな経験にアプローチした貴重な記録。(新曜社HPより引用 ※5)
② 体験者のリアルな葛藤と「その後」に触れる
『三色のキャラメル』(永森咲希)
治療断念の喪失感を、「子どもを育てないと一人前ではない」という固定観念からの脱却へと繋げた感動の記録です。
”最初の結婚の失敗で男性不信になり、仕事に没頭する年月が続いた。二度目の結婚で、ようやく子どもを持ちたいと思った時には、妊娠・出産ができるかどうか微妙な年齢になっていた。それでも医療の手を借りれば、妊娠・出産は可能だと思い込んでいた……。6年間の不妊治療も実らず、我が子を抱くという夢を断念せざるを得なくなった体験を通し、女性の生き方を見つめ直した体験記。”(文芸社HPより引用 ※6)
『私が不妊治療をやめたわけ』(海原こうめ)
5年間の治療を経て「心が納得してやめた」境地にいたるプロセスが、共感とユーモアを交えた漫画で描かれています。
”30代前半に結婚したこうめは子宮筋腫と卵巣のう腫の手術を経て、36歳で不妊治療をスタート。初めての不妊治療にとまどいつつ、しぶる夫に協力を要請し……タイミング法、人工授精、顕微授精と治療を進めていくことに――。治療の赤裸々な体験談やお金のこと、そして素直な心の動き―期待、失望、葛藤―がテンポ良く描かれます。笑いあり、涙ありの5年間。そして夫婦が出したひとつの結論は―――。ひと組の夫婦が真剣向き合った不妊治療の一部始終を軽快に描くコミックエッセイです!(イースト・プレスHPより引用 ※3)”
『まんが 子どものいない私たちの生き方』(森下えみこ/くどうみやこ)
さまざまな理由で子どものいない女性たちの、リアルな「あるある」と救いが描かれています。
”子どものいない女性共感必至のあるある満載。理由は不妊、病気、仕事、お金、介護、時機を逸してなど人それぞれ。でもちょっとした生きづらさや気まずさを抱えているのは、おひとりさまも、既婚者も、同じです。本書では、そんな子どものいない人生を生きることになった6人の、本音と迷いと覚悟(のようなもの)が描かれます。4年間の不妊治療を終えて自分の存在意義に悩むミホさん。気付いたらタイムリミットを迎えていたマユミさん。”(小学館HPより引用 ※7)
③ 「子どもがいない人生」の新しい価値を見出す
『誰も教えてくれなかった 子どものいない人生の歩き方』(くどうみやこ)
100人以上の本音を基に、子どもがいない人生を一つの豊かな選択肢として肯定するバイブルです。
”本書は、ご自身も病気で子どもを持つ人生をあきらめた著者が、13人の女性と2人の男性に体験談を聞き、60人以上にアンケートを取り、脳科学・心理学・社会学・看護学の女性研究者5人に、「子どもがいないと幸せではないのか」「子どもがいない人は大人ではないのか」「子どもがいないと母性が芽生えないのか」という問いをぶつけ続けました。そこで見えてきたものとは? この本で、これからご自身が歩んでいく人生の「幸せ」のヒントがきっと見つかります!”(主婦の友社HPより引用 ※4)
『母にはなれないかもしれない』(若林理央)
産まない・産めない女性たちが立場を超えて寄り添い合う「連帯」の重要性を提唱します。
”「子どもを産まない」その一言が言いづらい。「なんで産まないの?」「次は子どもだね」「産んだらかわいいって思えるよ」「産んで一人前」友だち、親、同僚、パートナー、SNSの言葉に戸惑い、傷つく女性たち。女性たちの「産まない・産めない・産みたくない」を丁寧に聞きとったインタビューと著者自身の「産まない」を紐解くエッセイから見えてくる、日本の女性たちのリアル。(旬報社HPより引用 ※8)”
『父ではありませんが』(武田砂鉄)
男性の視点から社会の「普通の家族」という規範を問い直し、父親ではない立場の意義を考察します。
”子どものいないあなたにはわからないと言われるけれど——「ではない」立場から見えてきたこととは。「父親とは…」「母親とは…」「子育てとは…」大きな主語で語られ、世の中で幅を利かせる「普通の家族」をめぐる言説への違和感を「父ではない」ライターが遠巻きに考えてみた。(集英社HPより引用 ※9)
あなたの人生の主役は、あなた自身です
不妊治療のやめどきに「唯一の正解」はありません。大切なのは、周囲の期待や社会的な規範に流されるのではなく、夫婦で対話を重ね、お二人が納得できるタイミングを見つけることです。
治療を終えることは、決して物語の終わりではありません。
それは、自分自身の身体と時間を取り戻し、より自分らしい人生の「第二章」を始めるための、ひとつの選択です。
治療をやめる、あるいは「卒業する」という決断が、前向きな一歩として新しい人生につながっていくことも少なくありません。
だからこそ、急いで結論を出す必要はありません。今回ご紹介した書籍などもヒントにしながら、焦らず、ご自身の気持ちに丁寧に向き合い、納得のいくタイミングを見つけていただけたらと思います。
参考文献一覧
※1 日本産科婦人科学会「ARTデータブック」/ 国立成育医療研究センター 調査報告
※2 WAVE出版HP『不妊治療のやめどき』(松本亜樹子 著)
※3 イースト・プレスHP『私が不妊治療をやめたわけ』(海原こうめ 著)
※4 主婦の友社HP『誰も教えてくれなかった 子どものいない人生の歩き方』(くどうみやこ 著)
※5 新曜社HP『不妊治療者の人生選択』(安田裕子 著)
※6 永森咲希『三色のキャラメル:不妊と向き合ったからこそわかったこと』(文芸社)
※7 小学館HP『まんが 子どものいない私たちの生き方』(森下えみこ 著 / くどうみやこ 構成)
※8 旬報社HP『母にはなれないかもしれない:産まない女のシスターフッド』(若林理央 著)
※9 集英社HP『父ではありませんが:第三者として考える』(武田砂鉄 著)
※10 医療法人浅田レディースクリニック「不妊治療に関する実態調査」
編集:妊活の歩み方
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