妊活に効果を発揮するセルフ灸_足三里(あしさんり)について

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2024.09.25

東洋医学

妊活に効果を発揮するセルフ灸_足三里(あしさんり)について

妊活中に取り入れたい習慣のひとつ「セルフ灸」。温熱によって血行促進やリラックス効果などが期待できます。

自分でセルフ灸を行うにあたって、どのようなツボが効果的なのか、鍼灸師の徐大兼さんが解説します。

今回は「足三里(あしさんり)」についてです。お灸に期待できる効果や注意点を押さえ、セルフ灸を毎日の習慣にしてみましょう。

江戸時代から健康長寿のツボとされた足三里

 

足三里は、膝のお皿の外側のくぼみから指幅4本ほど下がったところにある、最もくぼんだ場所です。

 

東洋医学では胃の経絡上にあるツボとなります。膝の下には脛骨という骨があるのですが、脛骨の少し外側、押してみて圧痛があるところが足三里です。

 

そもそも日本では昔から養生の一環として、のぼせや高血圧、脳卒中の予防、食欲不振、慢性疾患などに対して、足三里のツボを使っていました。

 

養生とは、生を養うこと。すなわち人間の身体の状態を整え、健康を増進し、病気の自然治癒を促すことです。

 

江戸時代のベストセラー医書とされる「養生訓」(1712年、貝原益軒著)には、健康長寿のツボである足三里に毎日お灸をすると良いといった記載もあります。

 

「奥の細道」で知られる江戸時代の俳人・松尾芭蕉も、足三里にお灸の養生をして疲労回復しながら、約5か月で600里(約2400キロメートル)の旅をしたと伝われています。

妊活に期待できる足三里のツボ効果

 

健康長寿、疲労回復のツボとして古くから知られる足三里は、妊活においても期待できる効果がたくさんあります。

 

  • 胃腸の症状を良くすること
  • 自律神経失調の回復
  • 免疫の調整作用への期待

 

まず、胃腸の症状を良くすることです東洋医学では、胃腸の調子が悪いと、栄養吸収がうまくいかず、卵巣にも栄養が届かないため、妊娠しにくくなると考えます。

 

妊活中は食べたものがしっかりと分解されて体のすみずみまで届くことが大事です。胃の経絡上にある足三里を刺激することで、胃腸の働きをサポートし栄養の吸収が良くなると言われています。

 

次に、自律神経失調の回復です交感神経が優位になりすぎると、緊張状態が続き卵巣や子宮の血流が悪くなると考えます。

 

足三里にお灸することで緊張状態を解き、自律神経のバランスを整えていきます。

 

そもそもお灸の香り成分シネオールには鎮痛や抗炎症の効果も期待できるので、リラックスできるでしょう。

 

さらに、免疫の調整作用への期待です免疫機能は、着床、流産を繰り返す不育に関連すると考えられています。足三里を刺激することで、免疫を調整し妊娠力を上げていきます。

 

余談ですが、お灸と免疫の話でいうと、医学博士の原志免太郎氏(1882~1991)の結核治療に対する研究が世界的に知られています。104歳まで現役医師として活躍し、健康な時にあらかじめお灸をしておくことで結核に対抗できると提唱しました。

 

現在、アフリカ諸国において足の三里にお灸をすることで、結核、薬剤耐性結核、AIDSウイルス重複感染結核治療の有効性が明らかになっています。

 

妊活中の養生として、ストレス解放、十分な睡眠、適度な運動、バランスの取れた食事、禁煙など生活習慣の見直しが挙げられます。これらに加えて足三里にお灸することを毎日の習慣にすると良いでしょう。

お灸に期待できる4つの効果

お灸は、ヨモギの葉の後ろの産毛のような繊維(モグサ)を燃やし、ツボを熱で刺激する東洋医学の治療法です。日本では江戸時代、もしくはそれ以前から民間療法として行われていました。お灸に期待できる4つの効果についても押さえておきましょう。

 

  • 血行が良くなる
  • 細胞活性と免疫調整
  • 体のエネルギーの流れを良くする
  • 鎮痛・リラックス効果

 

1つめは、血行が良くなることです。温熱効果によって血管が収縮・拡張して局所の充血や貧血を調整します。

 

2つめは、細胞活性と免疫調整です。お灸によって皮下にある筋肉や血管、リンパ節などが刺激されて細胞が活性化し、体内の免疫機能の調整につながります。

 

3つめは、体のエネルギーの流れを良くすることです。東洋医学では「気・血・水」を体のエネルギーとし、その流れが健康に関係すると考えます。お灸は、気血水の流れをスムーズにし、冷え性や肩凝り、腰痛、目の疲れ、むくみ、ストレス、不眠などさまざまな症状改善を後押しします。

 

4つめは、鎮痛・リラックス効果です。ヨモギには強力な殺菌、鎮静、鎮痛作用がある有効成分が含まれています。皮膚から内部に浸透し、痛みを和らげる効果が期待できます。また香りからもリラックス効果が得られるでしょう。

 

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

自宅でできる!お灸でセルフ妊活

セルフ灸を行う際の注意点

 

今は、ドラッグストアでもいろいろなお灸が販売されていまが、セルフ灸では台座灸と呼ばれるものが使いやすいです。

 

お灸は火を使うものなので、セルフ灸を行う際には火傷や火事には気をつけてください。必ず、購入したお灸の説明書や注意事項を熟読して理解してから使用しましょう。

 

さまざまな効果が期待できるお灸ですが、個々の体質によっては効果が見られない場合、適さない場合があります。熱さや不快さを感じた場合は、無理をせずに、ただちに使用を中止するなど、自己責任でお灸を活用しましょう。妊娠中にセルフ灸を行いたい際は、自己判断せずに鍼灸師または医師に相談してください。

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本日お話をおうかがいした方

アキュラ鍼灸院

鍼灸師/認定 不妊カウンセラー

徐 大兼

「こころもからだも温める」 開院から20年、鍼灸と独自のアキュラメソッドでこころとからだを整え、お一人おひとりが持つ妊娠するチカラを最大限に引き出す鍼灸治療を目指しています。一人で悩まれている方、一緒にお悩みの解決をしていきましょう! アキュラ鍼灸院:https://ninkatsu-ayumi.com/facility/629/

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