不妊鍼灸の効果は? 不妊治療の採卵・移植などステージ別の鍼灸とは

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2025.04.30

不妊治療

東洋医学

不妊鍼灸の効果は? 不妊治療の採卵・移植などステージ別の鍼灸とは

妊活の一環として鍼灸に通うことを考えている方もいるでしょう。いつ、どのくらいの頻度で通うのが良いのでしょうか。妊娠しやすい体を目指すために、不妊鍼灸に通う頻度や時期、回数などについて、鍼灸師の徐大兼さんが解説します。

採卵や移植に向けた不妊鍼灸

 

不妊鍼灸とは、不妊治療の補助として行われるものです。体内の血流を促進したり、ホルモンバランスを調整したり、またリラックス効果などを目的とし、西洋医学と併用することで治療の成果を後押しします。

 

欧米においては採卵や移植前に鍼灸の受診率が上がっています。不妊鍼灸は日本より普及していると言えるでしょう。

 

 

鍼灸に期待される効果

 

不妊鍼灸は、次の4つの効果が期待されます。

効果1:血流の促進

子宮や卵巣の血流を改善することで、卵の質の向上や子宮内膜の厚みを整える効果が期待されます。

効果2:ホルモンバランスの調整

自律神経や内分泌系に働きかけ、ホルモンの分泌をサポートすることが期待されます。ホルモンバランスが調整されることで、排卵のタイミングや月経周期が整います。

効果3:ストレス軽減

不妊治療では、ストレスはつきものです。鍼灸のリラックス効果でストレスや不安をやわらげましょう。移植や採卵時の体調を整えることにもつながります。

効果4:免疫力の調整

着床に関連する免疫機能を正常化することが期待されます。着床しやすい子宮環境をサポートします。

不妊鍼灸を利用する患者さんはさまざま

 

不妊鍼灸は、さまざまな状況の方が利用しています。自然妊娠したい方、ご自身でタイミングを取ったり、シリンジ法を行ったりしている方、クリニックに通ってタイミングやシリンジの指導を受けている方、人工授精の方もいらっしゃいます。

 

また不妊治療をステップアップし、体外受精で鍼灸を併用されている方、なかには海外で卵子提供を受けて妊娠を目指したいという方もいらっしゃいます。

 

不妊鍼灸を受けるのに、妊活の状況や治療段階に特に決まりはありません。興味があれば、気軽に問い合わせてみましょう。

 

 

体外受精と不妊鍼灸の併用について

 

体外受精でいうと、年齢や回数制限はありますが、保険適用になってから、鍼灸を併用される方が増えています。今や10人に1人は体外受精で生まれる時代に突入していると言われています。私が不妊の鍼灸に携わった20年以上前は100人に1人ほどだったと記憶しているので、かなり普及した医療だと思います。

 

ただし、あるART治療周期数(2022)の統計でみると、42歳の女性は、体外受精をする方が多い一方で、分娩に至った数は、ほかの年齢に比べると下がっています。このギャップをどう埋めるかがカギで、欧米では体外受精のサポートとして鍼灸が着目され、クリニックのなかで不妊鍼灸を提供しているところが多いです。

 

体外受精の結果を左右する因子として、精子や卵子の質が挙げられます。それらの質を上げるサポートとして、鍼灸は効果的だと考えられています。

 

体外受精の採卵における不妊鍼灸


体外受精の採卵は、世界的な基準でいえば、成熟卵をできるだけ多く採ること、胚盤胞到達率を上げることが重要になります。つまり、未熟卵や空胞を最小限にすることが大切です。

 

成熟卵が採れない、受精率が悪い、胚盤胞到達率が悪いといった悩みに対し、不妊鍼灸では、採卵に向けて良好胚を得るために、血流を促し、ホルモンや栄養を血流にのせて、しっかりと卵巣や子宮に届けることを目的として行います。

 

卵胞の発育は、排卵直前のものに育つまでには、およそ90日かかるといわれています。卵子の質のために不妊鍼灸を始めるのであれば、3か月は余裕をもって受けることをおすすめします。

 

体外受精の移植における不妊鍼灸

 

体外受精では、移植がキャンセルされる場合もあります。これは、子宮内膜が厚くならないのが理由であることがほとんどです。一般的には基準値として7~8ミリ以上の厚さが望ましいといわれています。子宮内膜を厚くするために鍼灸を訪れる方も多いのが現状です。

 

また、着床しやすい環境を整えるためには、内膜に加えて免疫力を整えることも必要です。免疫力が整っていないと、免疫機能が過剰反応して受精卵を排除してしまうことがあります。そこで不妊鍼灸では、移植に向けて、子宮内膜の厚くすること、免疫力を確保することを目的とします。

 

鍼灸を始めるタイミングとしては、移植予定の1か月前からをおすすめします。移植がキャンセルになった場合、その時点で次の移植に向けて鍼灸を始めると良いでしょう。また子宮内膜は厚くなるけれど着床しないという場合、免疫力を確保するために移植を予定している周期で鍼灸を開始します。

 

 

治療のサポートとして鍼灸を取り入れよう

 

体外受精に限らず、一般的に、鍼灸では生理が始まったら低温期に子宮内膜を整え、高温期に入る直前に排卵を促したり子宮内膜の血流を促進したり、リラックス効果で着床を促したりすることを目指します。

 

これまで妊活の歩み方では、不妊鍼灸院の選び方、セルフケアで取り組める妊活に効果的なツボなどを解説した記事や動画があります。また、男性不妊に効果的なお灸のポイントをまとめたものもありますので、ぜひ参考にしてください。

 

この記事の動画はこちらから

本日お話をおうかがいした方

アキュラ鍼灸院

鍼灸師/認定 不妊カウンセラー

徐 大兼

「こころもからだも温める」 開院から20年、鍼灸と独自のアキュラメソッドでこころとからだを整え、お一人おひとりが持つ妊娠するチカラを最大限に引き出す鍼灸治療を目指しています。一人で悩まれている方、一緒にお悩みの解決をしていきましょう! アキュラ鍼灸院:https://ninkatsu-ayumi.com/facility/629/

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