排卵障害にも繋がる「耐糖能低下」。耐糖能低下の薬剤は?
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妊活お役立ち情報
2024.11.06
不妊治療
東洋医学
排卵障害にも繋がる「耐糖能低下」。耐糖能低下の薬剤は?
目次
血糖値を正常に保つための働きを「耐糖能」と言います。
耐糖能に異常があると、排卵障害、不妊症や不育症の原因になるといわれていますが、今回は「耐糖能低下」で使われる薬剤について、薬剤師で国際中医師の住吉忍さんが解説します。
血糖値が高すぎる「耐糖能異常」とは?
耐糖能低下というのは、体の中で「インスリン」を適切に利用することができず、 血糖値が正常範囲を超えて高くなっているという状態です。
耐糖能低下は、耐糖能が異常であるともいえ、これは空腹時の血糖値が、正常値と異常値(糖尿病と判断される値)の間にある状態です。
また、耐糖能が落ちると糖尿病になる確率が高まります。このようなことをふまえ、耐糖の異常は「糖尿病の予備軍」や「境界型糖尿病」ともいわれます。
なお、耐糖能異常が生じやすいのは、次のような場合です。
- 体内のインスリンの分泌量が少ない
- インスリンの働きが悪くなって血中のブドウ糖の量がどんどん増加し、高血糖の状態になっている
耐糖能異常は、排卵障害につながることも?!
耐糖能の低下が、実際に敏感値にどういった影響を及ぼすのかもご紹介します。
まず、耐糖能の低下は、排卵障害につながることがあると考えられています。インスリンの抵抗性があると、卵巣でアンドロゲン・男性ホルモンの酸性が増加してしまいますので、排卵が不規則になるためです。これによって 排卵障害が生じてしまったり、妊娠に影響したりすることがあります。
また、PCOS、単能法性卵巣症候群に関連しているともいわれています。PCOSは卵巣に多数の小さな卵胞が形成されるという状態です。月経不順であったり、不妊症の原因となってしまいます。
そして、流産リスクが増加することも見逃せないポイントです。高血糖の状態が続くと流産のリスクが増加する傾向があります。
また、胎児の発育に影響を与えるということも考えられています。
耐糖能低下の原因とは?
耐糖能低下の原因としてまず挙げられるのが「肥満」です。体脂肪が多いとインスリンの抵抗性というのが高まりやすくなります。そのため、肥満には注意しなければなりません。
「遺伝」も耐糖能低下の原因となりえます。ご家族に糖尿病の患者様がいらっしゃる場合、 耐糖能低下のリスクが高まるのです。(私もご相談の中で糖尿の話が出た時には、ご家族の状況についても必ずお伺いしております)
また「生活習慣」も原因の一つです。 不規則な食事・運動不足・ストレスなどが、インスリン抵抗性を悪化させてしまうということがあります。
耐糖能低下の診断は何を基準にしているの?
耐糖能の低下の診断の際は、空腹時の血糖値を検査します。
「75Gの蛍光のブドウ糖不可試験」では、甘いサイダーなどを飲みます。これはブドウ糖溶液を含んだサイダーを飲んだ後に、血糖値を測定していただくという検査です。
もう一つは「ヘモグロビンA1C」の検査です。こちらは「その時の血糖値を見る」というよりは、「過去2、3ヶ月の平均血糖値を反映する数値」という観点で測定されます。
耐糖能低下に対する治療薬はどんなもの?
では、耐糖能低下の治療で使われるお薬についてご紹介いたします。
「メトロコ」「メトロコロミン」といった飲み薬で治療します。もともとは糖尿病の治療薬ですが、PCOSの原因の一つと考えられているインスリン抵抗性を改善させて、排卵障害の治療として用いられることがあります。
なお、血糖値が下がりすぎて「低血糖」という状態になってしまうと、それはそれで危険な状態です。ただし、メトゴルフだけでは低血糖になる可能性が低いので、使いやすいお薬といえます。
また、薬を使用し始めると「ちょっと気持ち悪くなってしまう」という副作用が出る方もいます。しかし飲み続けていくと慣れていくというような方もいらっしゃいますので、この点は薬剤師に相談してみてください。
生活習慣が原因の場合は、食事療法や運動療法をとることも
耐糖能低下原因が「生活習慣」の場合には、治療として「そもそもの生活習慣」を改善していくこともあります。
たとえば食事療法として、血圧が上がりづらい低GI食品を食べることなどが代表例です。もちろん、バランスよく食事することも必要になります。
運動療法としては、定期的な有酸素運動や筋力トレーニングが推奨されます。そして体重管理も重要です。適切な体重を維持することで、インスリン抵抗性というのが改善されると考えていただければと思います。
耐糖能低下への漢方・医学的なアプローチは?
続いて、体糖の低下に対する、漢方・医学的なアプローチも紹介します。まずは、水分代謝の改善を図るような処方が挙げられます。
また、「腎虚」というものを改善していくための保腎剤として、「ロクムジオガン」などを使用することもあります。腎虚というのは、腎臓を含む漢方医学的な体の機能のことです。
腎臓の状態というのは、インスリンの働きと密接な関係があります。そのため、腎臓の働きをフォローをすることが重要です。
また、腎臓だけではなく、その他の「水分代謝」「過励」「代謝」などをフォローするために、保腎剤を使用することもあります。
「瘀血」の改善を目的とした、「活血剤」というものあります。「瘀血」というのは血液がドロドロしている状態、つまり血流が悪い状態です。
血糖値が高いと血流が悪くなってしまう(ドロドロしてくる)といったこともあるため、改善を目指して「血脂副量感」などを使用することもあります。ただし、これらはあくまで「この症状だから」「糖尿病だから」 処方されるとわけではありません。
一人ひとりに必要な処方を提案させてもらうことになるため、一例として知ってもらえればと思います。
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本日お話をおうかがいした方
ウィメンズ漢方
薬剤師/国際中医専門員
住吉 忍
相談薬局で生まれ育ち、薬剤師となる。自身も不妊治療を経験し、妊活、女性のヘルスケアを専門に対応するため、ウィメンズ漢方(https://ninkatsu-ayumi.com/facility/1330/)創業。複数の不妊治療専門クリニックの漢方外来を担当し、西洋医学の不妊治療に適した漢方処方の提案を得意としています。
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