高プロラクチン血症は妊娠できる?薬はどんなものを使うの?

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2024.11.13

基礎知識

東洋医学

高プロラクチン血症は妊娠できる?薬はどんなものを使うの?

プロラクチンとは、一般的に授乳期間中に高くなるホルモンですが、通常時に高いと「高プロラクチン血症」といって、不妊の原因にもなるといわれています。そこで今回は「高プロラクチン血症」で使われる薬剤について、薬剤師で国際中医師の住吉忍さんが解説します。

高プロラクチン血症って何?不妊の原因になる?


まず、高プロラクチン血症について、簡単にご紹介します。

プロラクチンは脳下垂体から分泌され、乳腺を刺激するホルモンと呼ばれています。母乳を作るためには欠かせないホルモンです。

女性が赤ちゃんを出産して母乳を出すという時期には「排卵をさせない状況」に持っていきますので、プロラクチンはどちらかというと「卵巣の機能を抑える」という働きを持っています。

そして高プロラクチン血症は、自分が「妊娠をしていない」「授乳をしていない」場合でも、体内のプロラクチンの濃度が高いという状態です。

プロラクチンの濃度が高いことで、排卵障害を招いてしまう、もしくは黄体機能不全というような状態になり、月経不順や不妊の原因になってしまうといわれています



自覚症状がとても出づらく、「おっぱいを絞ると母乳が出る」というような症状がない場合には、ご自身で気付くのが難しいとも考えられています。

またプロラクチンは 夜に分泌が増えるということも多いので、 寝ている間に胸が張っていたとしても、気付けないということもあります。高プロラクチン血症は 妊娠に対しては影響するため、お薬にをよって適切にコントロールしていくということが大切です。

プロラクチン、妊娠していないのに高くなる原因は?


プロラクチンが高くなってしまう原因をいくつかお話します。


まず考えられるのが「プロラクチノーマ」です。プロラクチノーマとは、 下垂体にできる良性の腫瘍です。
これがプロラクチンの過剰分泌を引き起こします。

しかし、プロラクチンが高いからといって、必ずしも全員に「プロラクチノーマ」ができているというわけではありません。あくまでも、こういった症状で高くなってしまうということもあると認識いただければと思います。


また、お薬の副作用として プロラクチン値が上がってくるということもあります。どういった薬で上がってくるかというと、「抗うつ薬」「抗精神病薬」などが例として挙げられます。また。「降圧薬」なども、プロラクチンの分泌を促進します。


また甲状腺ホルモンが不足してしまって、プロラクチン分泌が増加してくるということもあります。更に身体的 ・精神的なストレスがプロラクチンの分泌を増加させてしまうということもあります。

高プロラクチン血症の治療は?どんな薬を使用するの?

高プロラクチン血症の治療では、「カバサール」というお薬が使われます。これを服用し、血中のプロラクチンが低下すると、高い確率で排卵が回復しますので、持続性があるお薬といえます。

もう一つ、「パ―ロデル」というお薬もあります。こちらはプロラクチンの分泌を押さえてくれる働きがあり、高プロラクチンの原因となる「排卵障害」であったり「無月経」 「母乳が出る」という症状に対して有効といわれています。(こちらに関しては毎日の服用が必須です)


なお、先ほど説明した「プロラクチノーマ」という腫瘍ができている場合、薬物療法で効果がある場合もありますが、効果がない場合には手術で腫瘍摘出することもあります。


また甲状腺機能の低下が原因の場合には「甲状腺機能の改善」が必要なため、 甲状腺ホルモンの補充療法というのが行なわれます。

そしてお薬を服用することで、その副作用としてプロラクチンが上がってしまっている、という場合には、その原因となっている薬剤の中止、ないしは変更を検討していただくことになります

高プロラクチン血症へ漢方の対応は?


高プロラクチン血症へ対処する方法として、漢方を利用することもあります。中国漢方では、古くから「煎り麦芽」を断乳のために使用しています。


この経験から「煎り麦芽」を高プロラクチン血症の方に応用したところ、ホルモン値の改善が見られたため、有効であるのではないかといわれているのです。

 

「煎り麦芽」は、高プロラクチンの方にも、断乳が必要な方にも処方することがありますが、非常によく効いてくれるという印象があります。

また、プロラクチンの分泌の抑制をしてくれるだけではなく、「ホルモンバランスの醸成」という観点で、『なんとなくイライラしてしまう』という症状についても、改善効果が認められることがあります

 

さらに「煎り麦芽」は、消化を促進してくれる、胃もたれ症状を改善してくれる、という効果が期待できることもポイントです。

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本日お話をおうかがいした方

ウィメンズ漢方

薬剤師/国際中医専門員

住吉 忍

相談薬局で生まれ育ち、薬剤師となる。自身も不妊治療を経験し、妊活、女性のヘルスケアを専門に対応するため、ウィメンズ漢方(https://ninkatsu-ayumi.com/facility/1330/)創業。複数の不妊治療専門クリニックの漢方外来を担当し、西洋医学の不妊治療に適した漢方処方の提案を得意としています。

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