【卵子凍結】未来の妊娠のために知っておきたい基礎知識とクリニック選び
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妊活お役立ち情報
目次
- 卵子凍結とは?未来の妊娠への「選択肢」
- なぜ卵子凍結が必要?年齢と卵子の質・数
- 卵子凍結のメリット:時間を止めて未来に残す
- 卵子凍結のデメリットと知っておくべきリスク
- リスク1:採卵手術に伴う身体的リスク
- リスク2:凍結・融解のリスクと将来の不確実性
- リスク3:将来の「母体年齢」のリスク
- 卵子凍結にかかる費用(採卵・保存・将来の使用時)
- ポイント1:採卵・凍結の初期費用(自費診療)
- ポイント2:凍結保存の年間更新料
- ポイント3:将来、体外受精を行う時の費用
- 卵子凍結の成功率と年齢|何歳までに何個必要?
- 年齢別・必要な凍結卵子数の目安
- 卵子凍結の「適齢期」は?
- 卵子凍結の具体的な流れ(初診から保存まで)
- STEP1:初診・カウンセリング・検査
- STEP2:卵巣刺激(排卵誘発)
- STEP3:採卵手術
- STEP4:卵子の凍結保存
- 後悔しない「卵子凍結クリニック」の選び方 4つの重要ポイント
- ① 卵子凍結・体外受精の実績
- ② 培養士(エンブリオロジスト)の技術力と体制
- ③ カウンセリングの丁寧さ(リスク説明の有無)
- ④ 通いやすさとサポート体制(費用・立地)
- 卵子凍結に対応するクリニックの種類
- 生殖医療専門クリニック
- 卵子凍結を専門とするクリニック
- 大学病院
- 卵子凍結は「未来の選択肢を広げる」ための医療
- 卵子凍結の助成金について
- 【全国】卵子凍結ができる病院・クリニック一覧
「いつか子どもを授かりたい。でも、仕事もあるし、パートナーの状況もある。今の年齢で何を準備できるのだろう…?」
そんな不安や迷いから、卵子凍結(社会的適応)を検討する女性が増えています。 卵子凍結は「将来の妊娠の選択肢を残す」ための有力な手段の一つです。
今の自分を大切にしながら、未来の自分にも選択肢を残すために、ここでは、卵子凍結の基礎知識から、費用の目安、デメリット、そして後悔しないためのクリニック選びの重要なポイントまでを詳しく解説します。

卵子凍結とは?未来の妊娠への「選択肢」
なぜ卵子凍結が必要?年齢と卵子の質・数
女性の卵子は年齢とともに数も質も低下していきます。卵子は新しく作られることがなく、生まれ持った数が年齢とともに減少し、同時に卵子そのものも老化していきます。
→【参考記事】妊娠適齢期は何歳?なるべく早く妊活を始めたほうがいい理由を生殖医療専門医が解説
特に35歳頃からその低下は急速になると言われ、将来の妊娠(妊娠率や流産率)に大きく影響します。
卵子凍結のメリット:時間を止めて未来に残す
卵子凍結とは、質の高い若いうちに卵子を採卵し、超低温で凍結保存する医療技術です。
凍結された卵子は、採卵した瞬間の“時間が止まった状態”で保存されます。将来、妊娠を希望する際には、その凍結した若い年齢の卵子を使えることが最大のメリットです。
将来の妊娠率は「その時の年齢」ではなく「採卵した時の年齢」に強く影響されます。そのため、若いうちに卵子を“そのまま未来に残せる”卵子凍結は、キャリアやライフプランを考えながら、将来の妊娠の可能性を広げる有効な手段となります。

卵子凍結のデメリットと知っておくべきリスク
卵子凍結は未来への投資ですが、メリットばかりではありません。卵子凍結を行ったからといって、必ず妊娠が保証されるわけではありません。いくつかのリスクやデメリットも理解した上で判断することが非常に重要です。
リスク1:採卵手術に伴う身体的リスク
卵子を採取するためには、排卵誘発剤(多くは自己注射)を使用して卵巣を刺激し、複数の卵子を育てます。その過程で、以下のようなリスクが伴います。
- 卵巣過剰刺激症候群(OHSS): 排卵誘発剤の影響で卵巣が腫れたり、腹水や胸水が溜まったりする副作用です。重症化すると入院が必要になる場合もあります。
- 採卵手術のリスク: 採卵は麻酔(静脈麻酔や局所麻酔)を使用し、膣から細い針を刺して行います。稀ですが、出血や感染症、周辺臓器(膀胱や腸など)の損傷といったリスクもゼロではありません。
- 薬剤の副作用: 注射による痛みや、ホルモン剤による一時的な体調不良(むくみ、吐き気など)を感じる人もいます。ごくまれに「アレルギー反応」や「血圧低下」などによるショックが起こる可能性があります。
リスク2:凍結・融解のリスクと将来の不確実性
現在の凍結技術(ガラス化法)は非常に進歩していますが、それでも全ての卵子が凍結・融解のプロセスに耐えられるわけではありません。
- 凍結した卵子を融解(溶かす)する際に、一部の卵子が変性・破損して使えなくなる可能性があります。
- 融解できた卵子がすべて受精し、良好な胚(受精卵)に育つとは限りません。
- 卵子凍結は「妊娠を保証するものではない」ことを理解しておく必要があります。
リスク3:将来の「母体年齢」のリスク
卵子凍結によって卵子の年齢は若く保てますが、将来それを使って妊娠・出産するときの「母体(自分自身)の年齢」は止められません。
高齢での妊娠・出産には、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの合併症リスク、また出産時の体力的負担が伴います。卵子は若くても、母体の健康状態は年齢相応であることも考慮に入れる必要があります。
卵子凍結にかかる費用(採卵・保存・将来の使用時)
卵子凍結は、原則として健康保険が適用されない「自費診療」です。クリニックによって費用は大きく異なりますが、一般的な目安を理解しておくことが重要です。
卵子凍結には大きなメリットがある一方で、
「どれくらい卵子が必要なのか」
「年齢によって成功率がどう変わるのか」
「将来どのくらい費用がかかるのか」
など、事前に理解しておくべき大切なポイントがありますのでご紹介します。
ポイント1:採卵・凍結の初期費用(自費診療)
初診から採卵、凍結までにかかる費用です。検査費用、排卵誘発剤の薬剤費、採卵手術費、凍結処理費などが含まれます。
費用の目安:約30万円~50万円程度 (※排卵誘発の方法や、採卵・凍結できた卵子の数によって変動します)
1回の採卵で希望する数の卵子が確保できない場合、複数回の採卵が必要になることもあり、その場合は費用がさらにかかります。
ポイント2:凍結保存の年間更新料
凍結した卵子を保存し続けるための費用(維持費)です。多くの場合、1年ごとに更新料が発生します。
費用の目安:年間 約3万円~10万円程度
※凍結する卵子の数で値段が決まることが多いです。
ポイント3:将来、体外受精を行う時の費用
最も重要な点として、凍結した卵子を将来使う(妊娠を目指す)際にも、別途費用がかかります。この際も保険適用にはならず、体外受精(顕微授精・胚移植など)はすべて自費診療 となります。
凍結卵子を融解し、精子と受精させ(顕微授精)、培養して胚(受精卵)にし、それを子宮に戻す(胚移植)までの一連のプロセス(体外受精)が必要です。
費用の目安:約30万円~50万円程度(1回の移植あたり)
卵子凍結の成功率と年齢|何歳までに何個必要?
卵子凍結の「結果(=将来の出産率)」は、どの年齢で卵子を採ったか で大きく変わります。
同じ10個の卵子でも、34歳と40歳では妊娠・出産につながる確率に大きな差があります。
年齢別・必要な凍結卵子数の目安
年齢が上がるほど、染色体異常を持つ卵子の割合が増えるため、1人の出産に必要な卵子数も急激に増加します。
▼ 年齢別「75%の確率で1人の出産をめざすために必要な卵子数(成熟卵子)」
(Goldman et al., 2017/Labryo Fertility 解説より)
-
34歳:10個
-
37歳:20個
-
42歳:61個
卵子凍結の「適齢期」は?
医学的には、卵子の質の低下が始まる前の35歳未満、可能であれば30代前半までに実施することが推奨されます。ただし、採卵時の年齢が高い場合(例:40歳以上)でも、卵子凍結が全く無意味というわけではありません。現状の卵巣機能(AMHなど)を検査し、医師と相談することが重要です。
卵子凍結の具体的な流れ(初診から保存まで)
「卵子凍結をしたい」と思ったら、どのようなステップを踏むのでしょうか。一般的な流れをご紹介します。
STEP1:初診・カウンセリング・検査
まずはクリニックで初診を受け、卵子凍結に関する説明(メリット・デメリット・費用・リスク)を受けます。同時に、現在の卵巣の状態を知るための検査(血液検査によるAMH=卵巣予備能の測定、超音波検査など)を行います。
STEP2:卵巣刺激(排卵誘発)
月経周期に合わせて、卵巣を刺激し、複数の卵子を育てるための薬剤(主に自己注射による排卵誘発剤)を使用します。開始時期や方法は、その人の体の状態やクリニックの方針によって異なります。この間、何度か通院して卵胞の育ち具合を血液検査や超音波でチェックします。
STEP3:採卵手術
卵胞が十分に育ったら、採卵日が決まります。手術は、一般的に静脈麻酔や局所麻酔のもとで行われます。膣から細い針を刺し、卵子を吸引します。手術時間自体は10~20分程度で、日帰りで帰宅できる場合がほとんどです。
STEP4:卵子の凍結保存
採卵した卵子の中から、成熟した良好な卵子を選び出し、培養士(エンブリオロジスト)が専門の技術で凍結処理を行います。凍結された卵子は、専用のタンク内で液体窒素を用いて保管されます。
後悔しない「卵子凍結クリニック」の選び方 4つの重要ポイント
卵子凍結の「質」は、クリニックの設備・技術力・培養士の経験に大きく左右されます。また、「安心して通えるか」「自分の価値観に合っているか」も非常に重要です。
① 卵子凍結・体外受精の実績
卵子凍結は、将来の体外受精(融解・顕微授精・移植)までを見据えた医療です。「凍結」だけでなく「融解後の妊娠・出産実績」が豊富なクリニックを選びましょう。年間の採卵件数、凍結卵子の数、年齢別の実績などを公開しているか確認しましょう。
② 培養士(エンブリオロジスト)の技術力と体制
卵子凍結では「採取する医師の技術」だけでなく、「卵子を扱い凍結する培養士」の技術が結果に直結します。 培養室の環境管理(クリーン度、温度など)が徹底されているか、経験豊富な培養士が何名体制で在籍しているかなど、培養室の情報を公開しているか確認すると安心です。
③ カウンセリングの丁寧さ(リスク説明の有無)
初診時に、メリットだけでなく、デメリットやリスク(OHSS、将来の費用など)についても丁寧に説明してくれるかが「信頼できるクリニック」の最大のポイントです。
- あなたの年齢や卵巣機能(AMH)に基づき、必要な卵子数の目安を提示してくれるか
- 費用の総額や内訳を明確に説明してくれるか
- 疑問や不安に寄り添ってくれるかどうかも大切です。
これらを確認しましょう。
④ 通いやすさとサポート体制(費用・立地)
採卵周期に入ると、複数回の通院が必要になります。特に仕事をしながら進める方は、立地(駅からのアクセス)や診療時間、予約の取りやすさ、オンライン相談の有無なども重要なチェックポイントです。
卵子凍結に対応するクリニックの種類
卵子凍結は、主に以下の3つのタイプの医療機関で行われています。
生殖医療専門クリニック
体外受精(IVF)を専門に行う不妊治療施設です。採卵・培養・凍結の技術力が高く、卵子凍結の実績も豊富です。将来の融解・移植までを一貫して任せられる安心感があります。
卵子凍結を専門とするクリニック
近年、若年女性のキャリア形成支援(社会的卵子凍結)として、卵子凍結に特化したクリニックも増えています。 説明がわかりやすく、相談しやすい雰囲気で、初めて卵子凍結を考える方に人気です。
大学病院
安全性や医療体制の厚さを最優先したい方には大学病院という選択もあります。医学的適応の卵子凍結も大学病院が安心でしょう。ただし、不妊治療や卵子凍結を専門としていない場合や、予約が取りづらい・待ち時間が長いなどの傾向があるため、事前に確認が必要です。
卵子凍結は「未来の選択肢を広げる」ための医療
卵子凍結は、キャリア、パートナーシップ、ライフプラン… すべてが“今の状況だけ”で決まってしまわないために、未来の自分へ贈る“選択肢”です。
年齢のことを考えて焦るのではなく、「知って、比べて、自分に合う形を選ぶ」ことが大切です。その第一歩として、まずは一度、専門クリニックに相談をしてみてください。
卵子凍結の助成金について
卵子凍結の費用負担を軽減するため、助成金制度を設けている自治体もあります。お住まいの地域(都道府県・市区町村)の情報を確認してみてください。
東京都と大阪府をご紹介します。
東京都
→対象者:東京都に住む18歳から39歳までの女性 (採卵を実施した日における年齢)
→助成額:採卵・凍結にかかった費用に対し、上限20万円(※将来、凍結卵子を使用する際にも別途助成制度があります)
大阪府
→対象者:東京都に住む18歳から39歳までの女性
医療機関において、早発卵巣不全の診断を受けていることなど
採卵日時点において婚姻(事実婚を含む。)をしていないこと
→助成額:採卵準備のための投薬、採卵及び卵子の凍結に要する費用に対し20万円
【全国】卵子凍結ができる病院・クリニック一覧
●卵子凍結実施している病院・クリニック一覧(2025年度妊活の歩み方アンケート結果より) 詳細はクリニックに直接お問い合わせください。 *順不同
*施設(最寄駅)
【関東エリア】
● 東京都
新宿区
千代田区
中央区
港区
文京区
東京科学大学病院リプロダクションセンター(旧:東京医科歯科大学医学部附属病院(お茶の水)
目黒区
世田谷区
渋谷区
豊島区
大田区
東邦大学医療センター大森病院リプロダクションセンター(大森・蒲田)
足立区
杉並区
国分寺市
武蔵野市
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妊活の歩み方 編集部
森瞳
株式会社TGP プロデューサー/NPO法人TGP 理事/『妊娠できるか検査に行ってみた』著者
自身の妊活経験で感じた「こんなはずじゃなかった!」という想いを原動力に、正しい知識と選択肢を広げる活動を展開。
若いうちに子どもを持つことを一方的に推奨するのではなく、「子どもを持たない」人生も、「子どもを持てない」人生も、自分の意思と納得で選べる社会を目指している。女性だけでなく男性も当事者として捉え、すべての人が後悔のない人生設計を描けるよう、公平で本質的な妊活支援を届けている。
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